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ラオスの首都、ビエンチャンに滞在中、レンタルバイク屋を探してウロウロしていたところ、偶然「レンタル電動自転車」を発見した。

なんと、日本を代表するバイクメーカー「ヤ✕ハ」(自主規制)の商標がベッタベッタにくっついた代物だが、その野暮ったいフォルム、くすみきったカラーリング、巨大な鉛バッテリーを見て「ヤ✕ハ」の商標権を侵害したインチキ商品であることを三秒で見破ったまでは良かったが……。

傍にいた友人が「借りてみようぜ」というので値段を聞くと、1日5万キープ(730円)。高いのか安いのか、話のネタに借りてみた。そして、汗と涙の2時間を体験した!

・中華テクノロジーの結晶、フル電動自転車とは?

見るからにボロボロな、メーカー不明の怪しい自転車。いやな予感はしたけれど、友人Aさんと二台でツーリングにチャレンジ。

実は私、電動自転車にまたがるのは今回が初めて。しかもレンタルした中国製の「フル電動」自転車は、日本で主流の「電動アシスト」とは似て非なる全く別種の乗り物。人間の力をアシストするのではなく、ペダルを漕がなくてもモーターの力だけで走行できる。つまりペダルは飾り。百歩譲って電池切れ時の緊急用で、通常は右手でスロットルを調節しながら走る。raos1

・いきなりぶっ壊れたぞ!

ちなみにこれ、ラオスでは平気だけど日本ではバイク扱い。ネットで探すと日本でも売買されているようだが、法律上は公道を走るのにウィンカー、サイドミラー等の保安部品と、原付免許、ナンバープレートも必須となる。

ところが一部の通販サイトでは「私有地限定でご使用できます」という注意書きがあるのみで、事実上、売りっぱなし状態(ラオスでは警官にもシカトされましたが)。限りなく脱法テイスト漂う乗り物なのだ。th_101_500px

肝心の性能だが、走り出し不安だったものの、スロットルを回すと力強くスルスル発進。どんだけ引っ張ろうが時速25キロ程度が関の山のぬるいパワー。その上、ただ真っ直ぐ走ってるだけなのに、どこか微妙に傾いてるような気がするのは中国クオリティの成せる技か、それとも事故車だったりして?

──と! Aさんの自転車がいきなり停止。スロットルを回してもウンともすんとも言わない。たった15分でバッテリー切れか!? 不運なことに、ストップしたのは人っ子ひとりいない町外れのあぜ道だった……。th_111_500px

・ヤバい!重すぎだろ!なんだこりゃ!

仕方ない。借りたお店に戻ろうと、ペダルを漕いで来た道を引き返すAさん。ものの数分で息を切らし死にそうな表情。そんなに辛いものかと、試しに自転車を交換してみてびっくり!

10キロ近い巨大バッテリーを搭載した鉄の塊。重いのは百も承知だが、ペダルがスカスカなのは意外だった。目一杯漕ぎまくってもほとんど前に進まない。そもそも人力で走るよう設計してないんだから当然だ。modoru1

そうして来た道を引き返すさなか、休憩中に藁にもすがる思いでケーブルをいじくり回すと、あるタイミングで真っ暗だったデジタルモニターがいきなり点灯! 問題はバッテリーではなく、コネクタの接触不良にあったようだ。

不幸中の幸い……とフルスロットルで走り始めた20秒後。またもモーター停止。「くそ!」っと、路肩に停めてケーブルやコネクタを指でツンツン突いてみる。案の定復活! でもまたがった瞬間、シュルルル……みたいな事を何度繰り返したことか。modoru2

路面の凹凸や、近くを大型車が横切っただけで電源が切れたり入ったり。そっとコネクタをつついて、ご機嫌が変わらないよう、そろり、そろりとまたがり……。

自転車相手にアホみたいな作業を繰り返し、無事レンタル店に帰還した我々は、二台まとめて即時返却。運動になったし、ほんの少し楽しくもあったが、我が人生で最悪の乗り物でした。

Report : クーロン黒沢
Photo : Rocketnews24.

▼こちらが問題の「フル電動自転車」だ!
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▼「ヤ✕ハ」印の巨大な鉛電池
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▼あちこちに「ヤ✕ハ」の商標が刻み込まれている
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▼自称「メイド・イン・ジャパン」
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▼一皮むけば簡体字が……
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▼ホーンボタンの向きがおかしいような。気のせいか?
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▼速度とバッテリー情報が「なんとなく」表示される
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▼出だしは快適そのものだった
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▼好調に郊外まですっ飛ばしてみたが……
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▼簡単に戻れない辺りで、いきなり故障
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▼近くにはこんな建物がありました……のどかです。
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