事故や病気、迷子など、外は危険がイッパイ。なのでネコを飼う場合は、ネコを外には出さない『完全室内飼い』が推奨されている。にも関わらず、「どうしてもお外に出たい!」とお家を抜け出してしまう飼いネコはたくさんいるようだ。
そして「ただいま~」と家に帰ってきたネコの口には、鳥やネズミなんかが……。そんな “お土産” を発見しては、「気持ちは嬉しいけれど、できれば無用な殺生は嫌だな」と、ため息をついたことのある飼い主さんも多いはず。ということで今回は、“天性のハンター” であるネコから、鳥などの小動物を守る方法を伝授したい。
・派手な首輪 → 狩りの成功率が低下
今回、オーストラリアのマードック大学に在籍するキャサリン・ホールさんが、“よくお外に出る飼いネコ” 100匹を対象にある実験を行った。それは、「ネコが派手な首輪をつけると、狩りの成功率が低下するか?」というもの。
そしてネコが派手な首輪をつけた場合、鳥や爬虫類、両生類などに対する「狩りの成功率が54%にまで低下した」との結果が出たのだ。
・鳥たちはカラフルな色に敏感
実は、花を食料とする鳥の多くが、明るい色を捉えやすい性質を持っているのだとか。ネコが明るい色を身にまとえば、当然、鳥はその存在を察知しやすくなるのだ。また、爬虫類や両生類も、同様に鮮やかな色に対して敏感だという。
けれども、明るい色に鈍感なネズミなどの哺乳類に対しては、この首輪はあまり役に立たないようだ。ということで、鳥を守りながらネズミの繁殖を防ぎたい場合は、ネコに派手な首輪をつけるのはグッドアイディア。しかし、鳥もネズミも守りたい場合は、派手な首輪に “鈴” もつけた方がいいと、ホールさんは話している。
・「鳥を守るためのネコ首輪」は購入可
今回の実験で使用されたのは、鳥を守るために開発・販売されているネコ用首輪『Birdsbesafe』という製品で、ネット上でも購入が可能だ。髪留めのシュシュのようにヒラヒラとしており、確かに目立ちそうな見た目をしている。
ちなみに今回の調査に協力してくれたネコさんの中で、「首輪を全く嫌がらなかった」のは80%。他の17%も「2日間で首輪に慣れた」とされているので、つけ心地は悪くなさそうだ。
・ネコのせいで鳥の生息数が減っている?
さて、「ネコのせいで鳥の生息数が減少している」と言われることがあるが、本当なのだろうか? この件については、様々な説が発表されている。
例えば、ネコを飼っている人の割合が世界で最も高いニュージーランドでは、ネコによって9種類もの鳥が絶滅に追い込まれたとして、ネコをもう飼わないようになどと呼びかける “反ネコ運動” が提唱されたことがある。ちなみに80%もの人々が、この運動に反対の立場をとっている。
・人間の方がもっと悪いとのデータも
一方、ネコ保護団体「Alley Cat Allies」は、鳥を絶滅に追いやっているのはネコではなく、森林伐採や公害等を発生させる人間だと主張。風力発電機によって、年間44万羽もの鳥が殺されているということだ。
・外れやすい首輪をする
また、「鳥やトカゲを守りたい」とネコにカラフルな首輪をつける場合、注意すべきポイントがある。それは、首輪が木の枝などに引っかかってしまっても、首輪がすぐに外れるようにしておくこと。そうすれば、ネコの窒息死を防ぐことができるからだ。先述の『Birdsbesafe』の首輪も、ある程度の圧力が加わると、自動で外れるようになっている。
パッと出の浅知恵だけで、ネコの狩猟本能を必要以上に押さえつけてはいけないだろうが、鳥の保護だってとても大切なこと。両者が一緒に暮らしていくためにも、この首輪は有益な役割を果たすはずである。そしてなにより、『Birdsbesafe』の首輪をつけたネコさんの見た目は、とってもグーなのだ!
参照元:Smithsonian.com、Birdsbesafe、PHSY.ORG、Time、Alley Cat Allies、YouTube [1]、[2] (英語)
執筆:小千谷サチ
https://www.youtube.com/watch?v=MY-A5Abasyk
▼様々な色が用意されている「Birdsbesafe」
▼実際に付けてみるとこんな感じニャ