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【コラム】旅先で出会った衝撃的マッサージ師! ニンニク臭に耐えるも三角コーナーでノックアウト

2015年2月13日

マッサージとは、「お見合い」のようなものだ。運良く腕の良いマッサージ師に出会うことができれば、それから幾度となく通い詰め、その人一筋で何十年もお世話になることだってあるだろう。自分に合ったマッサージは、気分まで幸せにしてくれる。

逆に、自分には合わないマッサージ師に出会うと、初回のわずか一時間ほどで「この人は違うな」となり、それっきりだ。

一年ほど前、私(筆者)は友人と共に秋田へ女二人旅をし、「お見合い」をした。それは、これまでにない衝撃の体験だった。一年経った今でも、あの時の状況が脳裏をよぎり、見合い相手のことが忘れられずにいる。

・おばちゃんのマッサージ

旅館に到着した私と友人は、さっそくマッサージでもお願いしようということになった。ちょっとした贅沢である。予約をして部屋で待っていると、予定の時間ジャストに女性二名がやって来た。

一人は30代前後だと思われ、もう一人は私の母と同年代に見えたので60代くらいかと思う。彼女たちは素早く準備をし、自然な流れで若いほうの女性が友人担当、母と同年代らしきおばちゃんが私の担当となった。お見合い開始だ。

・ニンニク臭

おばちゃんは、和室に敷いた布団にうつ伏せになるよう私に指示をし、まずは肩から揉みに入った。なかなか良い感じにグイグイとコリをほぐしていく。力加減もちょうど良い塩梅だ。今回は期待できるぞと思った矢先、私はあることに気付いた。何やら臭うのだ。

「おばちゃん、昨日ニンニク食べたな!」と心の中で呟きつつ、とりあえず耐えるしかなかった。おばちゃんは相変わらず絶妙な強さで、肩から背中へグイグイと揉み進んでいく。

・それでも素晴らしい腕前

ニンニク臭に包まれながらマッサージは続いた。うつ伏せになり目は閉じているものの、そのニンニク臭がおばちゃんから発せられていることは明らかだった。彼女の鼻息と共に、ホワ~ンと押し寄せてくるのだ。

だが、それでもおばちゃんの揉みほぐしは素晴らしかった。「これならニンニク臭ぐらい耐えてやる!」と思わせるほどの腕前であった。いや、前日のニンニクがあったればこそのパワーみなぎる揉みほぐしだったのかもしれない。

・衝撃の事態

ところが、おばちゃんの揉みが背中から腕に移ったところで事件は起きた。つま先を立てて正座のような座り方をしていた彼女は、うつ伏せになっている私の腕をおもむろに持ち上げた。そして、自らの揃えた両脚の谷間に私の腕を置いて揉みほぐし始めたのだ。

私は瞬時に悟った。私の腕は今、正座のように座ったおばちゃんの脚の谷間に沿って置かれ、手はほぼおばちゃんの三角地帯に位置している。まさかの事態に目を開けて確認する勇気などなく、かと言って確認など必要ないくらい、いま自分とおばちゃんがどのような構図になっているのかは明らかであった。

・「おばちゃん、やめて~!!」

通常、マッサージを受けるときは体の力を抜いて楽にしているものだが、今この手を楽にしてしまったら完全におばちゃんの三角コーナーに私の指があたってしまう。衝撃的な事態に、私は思わず「おばちゃん、やめて~!!」と心の中で叫びながら、拳をギュッと握っていた。

「腕の良いおばちゃんだ」とか「おばちゃん、昨日ニンニク食べたな」などと、さっきから心の中で勝手におばちゃん呼ばわりしていたことを全部謝ってしまいたかった。そうまでしてでも、この腕の配置だけは勘弁してくれないかという想いだったのだ。頭は軽いパニック状態で、もはやニンニク臭など気にならなくなっていた。

・母でも嫌

混乱しながらも、なんとか落ち着こうとした私は、「母と同年代くらいなのだから、母親にやられているようなものだ」などと思ってみたりもした。だが、よくよく考えてみると、こんなの母親でも嫌である。

当然、この腕の揉みほぐしは左右両方において行われ、その間私はひたすら拳を握りしめ続けた。ようやく両腕が終わり、脚のほうの揉みほぐしが始まった頃には、あのニンニク臭も和らいでいた。

・忘れられぬ人

その後も絶妙な加減で足の先までグイグイと揉んでいき、一時間におよぶマッサージは終了した。おばちゃんたちが部屋を出た後、友人がボソッと「上手じゃなかった」と言った。どうやら友人の担当をした女性は力が弱く、終始さすっているだけの状態だったという。友人は、「あまりに下手なので早く終わってほしかった」とまで言っていた。

彼女のグチをひと通り聞いたところで、私もたった今経験したことの一部始終を報告した。腕前は完璧だったこと、ニンニク臭のこと、三角コーナーのこと。友人は笑いながら、「上手ならイイ」と言っていたが、正直、私は良かったのかどうかわからなかった。

かくして、私の秋田での見合いは結論の出ぬまま幕を閉じた。腕は確かであっただけに、今もあのおばちゃんが忘れられずにいる。

執筆:むねやけサンデー
イラスト: マミヤ狂四郎
Photo:RocketNews24.

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