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斬新なプロジェクトなどを企画し、多くの人々から少額の寄付を通して出資を集める手法が話題となっている「クラウドファンディング」。その企画が優れていれば百万や一千万単位の金額が集まることもあり、まさに夢が広がりんぐな資金調達方法である。

だが、企画がイケていなければ掲載すら断られてしまうという悲しい一面も。あの外食業界の風雲児と言われる、『ステーキハンバーグ&サラダバー けん』の井戸実社長ですらサイバーエージェントのクラウドファンディングサイト『Makuake』に掲載を断られ「新規事業でmakuake申し込んだら断られた。駄目だねぇ。伸びねえよ。」と苦言を呈していたこともある。

一代で日本のファミレス界に確固たるポジションを築き上げた、井戸社長ほどの実力者が掲載を断られるとは、サイバーエージェントもセンスねぇな! と思っていたが、ちょうど良いタイミングで『Makuake』で116万円もの出資を受けることに成功したレストランに呼んでいただくことができたため、どんなものか行ってみることにした。

・116万円も出資を受けた店「セララバアド」

そのお店の名前は「セララバアド」。スペインのEl Bulli、デンマークのNoma など世界でもトップのレストランなどで修行し、前職はマンダリンオリエンタル東京タパスモラキュラーバーで料理長を務めていた橋本宏一さんが2015年1月中旬にオープンしたレストランだそうだ。

天才の井戸社長が掲載を断られたぐらいなのだから、そんな狭き門をかいくぐり、さらに116万円も出資を受けた店が残念なお店なワケがない。1品目の料理が出てくる前の、前菜から「な、なんじゃこりゃああああっ!!!!」と拳銃で撃たれたあとの松田優作みたいな声をあげてしまった。

香りの良い北海道十勝産のどろ豚の生ハムに添えられているのは、透明なレンゲに入ったオリーブオイルの玉! パンに生ハムと一緒に乗せて食べると、プチっとした食感と共にオリーブオイルの風味が口いっぱいに広がり、とってもOCです。となる、文句の無いお味でした。

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・素晴らしい料理の数々

次に来たのは、「霜柱」と名付けられた、透明なポテトチップス! ポテトチップスが透明ってどういうことよ(笑)と思ったが、添えられた昆布や海藻で作られた泡に付けて食べると、上品な “のり塩ポテチ” といったお味。こちらも見た目が岸朝子先生のように非常にお美しく、美味しゅうございました。

そして甘い菊芋を外側カリカリ、中はホクホクトロリと焼き上げた「トビナンプール」や、根セロリで綺麗な折鶴を作った「根セロリ 折り鶴 柚子」、オリーブの粉とソースを大地に見立て、雪がかかっているように仕上げた野菜のフリット「早春の大地」、頭だけ揚げて身は刺身として食べられるクルマエビが添えられたリゾット「才巻海老 カルドッソ」などの料理が続々登場。

また、フランス産のトリュフをあしらったユリ根のエスプーマ「ユリ根 トリュフ」は、香りも味も最高! 絶品料理を堪能していると、なにやらオープンキッチンのほうから「ボワッ! ブボワッ!」といった謎の音が! なんや、火事でも起きたんかいな!? と思いビックリして見てみると……!!!

な、なんとカレイのソテーなどを容器に入れ、そこに燻製の煙を注入しているではないかッ! 提供された「カレイ 蕪 スモーク」の容器をパカッと開けると、良い香りと煙が漂う! 添えられたキンカンをかじりながら食べれば、まるで「現代に現れたカレイの玉手箱や~!」と言いたくなる素晴らしいものであった。

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・デセールも美しい

そしてメインのホロホロ鶏の次は、凍った湖をイメージして作った薄い飴の下にカスタードエスプーマを入れた「冬の湖」、「ラズベリーソーダ オリーブオイルグミ フィジーチョコ 京人参のマカロン」などのデセールが。約2時間のディナーだったが、最初から最後までオドロキと感動の連続だった!

最後に金額を聞くと、なんとこのコースで6800円だそうだ。コレだけ考え抜かれた料理を食べられて1万円しないとは……。ぜひ行きたい! という人に耳よりな情報をお伝えすると、現在のところ2月はほぼ予約で埋まっており、少人数で回しているため電話もつながりにくいことがあるとのこと。そのため予約サイトの「トレタ」というサービスを使えば確実だそうだ。

総評としては、確かに116万円の出資を受けても不思議ではないぐらい、絶対に流行りそうなお店であった。『Makuake』にセンスが無いと言っていたことを心から反省! 橋本シェフが作る「新しい日本を表現する料理」、ぜひ食べに行ってみることをおススメするぞ。

参考リンク:セララバアドトレタ(予約サイト)Makuake
Report:なかの
Photo:Rocketnews24.