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先日、成田空港B滑走路すぐ脇にある、超警戒厳重な “いわくつき” 神社を参拝した私。実は成田空港にはもうひとつ、飛行機が行き交う誘導路から徒歩ゼロ分という、これまた凄まじい謎のペンションがあるのだ。

空港ど真ん中のウルトラ一等地、専用プール完備の豪華さで、な、なんと1泊1000円という激安プライス。ビジネスマンもカップルも大満足! と思いきや、行ってびっくり。オシッコちびりかけた。

・世界一空港に近いホテルかも?

今回の目的地である「木の根ペンション」。衛星写真によると、周囲360°を飛行機が行き来する誘導路のど真ん中。道らしき道すらない。だがよく見ると、ペンションの建つ小さな丘だけが空港から孤立・隔絶し、地下のトンネルと繋がっている。なるほど、トンネルから行くのか……。

てなわけで、もよりの芝山千代田駅から、二重、三重に張り巡らされた有刺鉄線付きのフェンスを眺めつつ、誰一人いない閑散とした道を歩いた。

道路の死角には張り込み中の機動隊車両。中の人たちにガン見されながら15分ほど歩き、ごっつい監視カメラのついた長いトンネルを抜けると、右手に伸びる草ぼうぼうの坂道に、

「この先私有地につき、関係者以外立ち入り禁止」

という大きな看板が立ててあった。本当に立入禁止なら引き返すしかないが、実はこれ、ペンションが立てたものではなく、根深いオトナの事情で何物かが設置したものらしい。

傍らの茂みにうっすら覆われた「木の根ペンション・木の根プール」という表示を確認した私は、意を決して、センサー付きの白壁に囲まれた坂道をずんずん登った。

・電話には出ない。誰もいない。でも潰れたわけじゃないらしい

静かな丘のてっぺんには、かわいらしい時計のついた2階建てのペンションと、からっぽのコンクリ製プールが佇んでいた。かつて「木の根団結小屋」と呼ばれた反対派の拠点だったが、時代の流れでリニューアル?され、今はペンションになっている。

1000円と聞いて、泊まるつもりで玄関を叩いてみたが、応答はなし。苦労して探し当てた電話番号に何度もかけたがこれもダメ。ところがネットで検索すると、忘れた頃にイベントが催され、廃業しているわけでもない。謎多き建物である。

さて、このあたりから辺りが騒がしくなってきた。ペンションを囲む白い壁の後ろで、無線通信らしき声が激しさを増してきたのだ。例の神社で経験済み、私の件で騒いでいるのはほぼ確実である。

静まり返った空間に漂う張り詰めた緊張感。せわしない通信音と無線ノイズ。壁の覗き窓から感じる人の気配と容赦無い視線──。セキュリティは迎賓館クラスだが、生半可な神経では落ち着けない。というわけで、カップルにもビジネスマンにも、正直オススメできないかも……と弱気になりながらペンションを後にした。

Report : クーロン黒沢
Photo : Rocketnews24.
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▼不動産屋もびっくりの立地


▼FPSみたいな景色
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▼木の根ペンションに続く坂の入口
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▼いかめしい看板。でもこれ、ペンションが立てたものではないらしい
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▼こっちがペンションの看板。左のちっちゃな建物が目的地
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▼敷地はセンサー付きの壁に囲まれている。覗き窓付き
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▼着いた! 誰もいない、静かな空間だった
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▼横には干上がったプールが……。
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▼残念ながら留守だった!
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