プロ野球統一球問題とは、過去2年間、基準を下回る「飛ばないボール」を使用していたにも関わらずそれを世間や選手に隠蔽、さらに2013年に統一球を「飛ぶもの」に変更したにも関わらず公表していなかった一連の問題である。
組織のトップである加藤良三コミッショナーは、未だに誠意のない対応を続けていると批判されている。沈静化する気配はなく、問題はコミッショナーの進退にまで発展している。
・「統一球」とは何か
米大リーグの公式球に近いとされる低反発球。野球の国際化を目指し、2011年から導入された。以前使用していた公式球に比べ、芯を捉えないと飛ばないという特徴がある。ちなみに2013年3月に行われたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では、統一球とWBCで使用されたボールの違いに戸惑う選手が続出。導入の目的であった「野球の国際化」は達成できているとは言えなかった。
・2013年プロ野球・統一球問題とは
2013年になり、2011年に統一球を導入してからの2年間と今年では本塁打数に開きがありすぎることが発覚。2013年の統一球は「飛ぶボール」になったに違いないという疑惑が噴出した。
実際に統一球の反発力係数は変更されていたのだが、変更を公表してなかったことに加え、11年からの2年間は基準値を下回っていたことも発覚した。ようするに導入から2年間は基準に達していない「まったく飛ばないボール」が「統一球」として使用されていたということ。言わば「偽統一球」である。
・加藤コミッショナーは部下に責任転嫁
問題発覚後も、組織のトップである加藤コミッショナーは部下へ責任を転嫁し、辞任の意思がないことを明言。不祥事を起こした認識もないことから、非難を浴びているのが現状だ。
・不利益をこうむったのはプロ野球選手
今回の隠蔽で一番の被害を被ったのは選手だろう。不正統一球の影響で打てなくなり、引退に追い込まれた選手も少なくない。もし正式に情報が開示されていたならば、練習方法から用具など、対応策もとられたはずである。選手の生活基盤をも揺るがした不祥事。それが生んだ亀裂はもはや修復不可能なところまできている。
・加藤コミッショナーと選手会の深い溝
また、加藤コミッショナーと選手会の溝はそれだけではない。一昨年の大震災による開幕延期問題で衝突し、昨年には統一球で検証を求めた際に「朝令暮改はしない。日本野球の権威にかかわる」と突っぱねられている。さらにWBCでは出場を巡ってのボイコット騒動ありと、ことごとく対立してきた。
そこに追い討ちをかけるように発覚した統一球問題。既に信頼関係はズタズタなだけに、選手会がこのまま加藤コミッショナーが居すわり続けることを黙って見ているとは考えにくいのではないだろうか?
・加藤コミッショナーに対するネットユーザーの声
「加藤良三早く辞めろ!」
「これで加藤良三辞めないのならむしろ逆にすごいと思う」
「無能加藤良三辞めろや」
「加藤良三これでも辞めないとか言ってるからすごい」
「なんもかんも加藤良三が悪い」
「加藤良三よ、これが世論だ」
など、ネット上でも 加藤コミッショナーの続投の声はほとんどなく、辞任待望論が多く見られる。
・加藤コミッショナーのクビをとるのは選手会?
7月10日の12球団オーナー会議で加藤コミッショナーの罷免(ひめん)決議が行われる可能性があるが、それを前倒しにして選手会が反旗を翻すことも考えられる。オーナーは現場の声を無視する訳にはいかないだろう。選手会が行動に移るのも時間の問題かもしれない。
執筆:原田たかし
Photo:flicker theseanster93