4月3日より渋谷シネマアンジェリカで公開される水戸市市制施行120周年記念映画『ビバ!カッペ』。『特命係長只野仁』シリーズの植田尚監督が描く、農業青春ストーリーとして注目を集めている。公開が間近に迫っている中、映画の見所について、チーフプロデューサーとして映画の原案を手掛けた株式会社コンシャスの代表取締役木下碧唯さんに、お話を伺った。

1. 映画について教えてください。
この映画は、デザイナー志望の主人公『花子』が、デザイナーになれずに夢破れて故郷に帰って行くところから始まります。傷心で故郷に帰る花子ですが、そこで無農薬農法に挑戦する『太郎』という農業青年に出会います。違う生き方をして来た2人が、お互いに励まし合ったり傷つけ合ったりしながらも、人生にとって何が大切なのかを学んで成長して行く物語です。市制120年を迎えた水戸市の豊かな自然環境を舞台に、農業ファッションや映画の中でしか見られないオリジナル料理など、いろいろな要素の詰め込まれた見応えのある作品です。

2. この映画の見所を具体的に教えてください。
農業がテーマになっていますが、お伝えしたいのは農業のことだけではないんです。花子は東京で仕事に就けず、挫折して田舎に帰って行きますが『田舎に帰ること=夢を諦める』ではないと思うんですね。ひたむきに夢に挑戦する太郎の姿に心打たれて、花子はもう一度夢を強く持つようになるんです。夢を持って生きて行く素晴らしさを、感じ取って頂きたいですね。全編にその素晴らしさが散りばめられていますので、見所としては全部ですね。

3. どんな人に観てもらいたいですか?
撮影は水戸市で行われたんですが、季節の移ろいをじっくり撮影しているんです。田んぼや畑って、日本の原風景だと思うんです。普段は身近に農業に接することのない人でも、すぐそばに、こんなに豊かな自然があることを知らないんじゃないでしょうか。映画をご覧頂ければ、映し出される風景に『懐かしさ』と感じて頂けると思います。そして癒されます。繰り返し観ることで、その感じ方が深まると思うので、2~3度観て頂ければって思います。皆さんに観て頂きたいです。

4. 映画をご覧頂く皆さんに一言
多分、誰にでもあることだと思うんですけど、私も主人公の花子と同じように、挫折や失敗を味わったことがあります。今の若い人は特に不況の波に飲まれて、就職がうまく行かなかったりしていると思います。でも、自分のやりたいと思うことがあるのなら、そのための一歩を進んで欲しいです。農業を通して自分らしさを表現した花子のように、本当にやりたいことは、場所を選ばないと思うんです。その一歩を踏み出す勇気を、映画から受け取って頂きたいです。それから劇中に『太陽と土と水がこんなにも、やわらかいなんて知らながった』という台詞があるんですけど、この台詞に代表されるような美しい風景が、映像の中にたくさん詰め込まれています。日本の良さを改めて感じ取って頂けると思いますので、是非ご覧下さい。

5. 今後の展望について教えてください
映画の公開期間中(4月3~17日)なんですが、南青山の玄米菜食を提供するオーガニック・カフェ・コンシャスで『カッペ丼』という映画連動メニューを提供します。茨城県産の無農薬野菜と玄米を使った丼です。要予約ですが、是非農家の皆さんが一生懸命お作りになったおいしいお野菜をご賞味下さい。それから5月2日には、玄米の田植え体験会を企画しています。茨城県の常陸大宮市で開催します。普段は土に触れることのない皆さんと、農家の皆さんが出会い、『食』や『農業』をより深く理解して頂ければと思っています。これからも若い人たちと一緒に、日本を盛り上げて行けるように、イベントや情報を発信して行きます。