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他県ではまず見ない光景! 奈良のローカルスーパー「吉野ストア」で感じた、地元らしさ

約1時間前

奈良県の、吉野の入り口あたりに『吉野ストア』という超地域密着型のスーパーがある。現在(2026年夏)は吉野地方に3店舗あるだけなので、奈良県北部に住んでいる人は見たことがないかもしれない。

つまりとてもレアなスーパーであり、周辺で暮らす人たちにとってはなくてはならない大切な存在だ。もしなくなれば、彼らの日々の暮らしは途端に困難になってしまうことだろう。

記者の生活圏内にも存在しない吉野ストアだが、先日久しぶりに立ち寄る機会に恵まれた。その時に「さすがヨシストだなあ」と、感心させられる出来事があったのだ。吉野に根差して約75年。地元の人たちに寄り添い続けているスーパーだからこそ、の光景である。

・ひと目でわかる優れもの

吉野ストアは昭和26年(1951)、現在本社がある吉野郡大淀町に駄菓子屋と食堂を兼ねた食料品店を開業したことにはじまるという。その後も吉野地方を中心に店舗を増やしたり減らしながら、今でも大淀町・五條市・吉野町の3つの地域で、地域の人たちの暮らしを支え続けている。

その日、記者は吉野で暮らす人から、柿の葉寿司の作り方を習った帰りだった。柿の葉寿司作りは思いのほか難しく、自宅でも練習が必要だと頭を悩ませていたところ「吉野ストアに寄って帰るといいよ」と教えてくれたのだ。

なんだろうかと思いながら、車を走らせる。いつもは横を通り過ぎるだけで、使う機会はほぼない吉野ストア。最後に足を踏み入れたのは何年前だったか。店の近くで上がる花火を見るために、飲みものを買ったのが最後の記憶だ。

久しぶりの店内は、記憶と変わらない風景だった。こぢんまりとしながらも品揃えは豊富で、視界を遮らない絶妙な高さに商品が並べられている。さて、ここに何があるのか。話の流れからして、恐らくは柿の葉寿司作りに必要なものだろうけれど、はたして。

店内をぐるりと周っていると、一目で「これだ」と分かるものが目に飛び込んできた。それは、柿の葉寿司用にカット塩漬けされた、鯖と鮭。聞けば、かつては柿の葉も売り場に並んでいたという。

酢飯さえ用意すれば、自宅ですぐに柿の葉寿司が作れてしまう優れものである。吉野の人びとにとって、柿の葉寿司は買うものではなく自宅で仕込むものなのだと、この売り場から伝わってくる。ものすごく「吉野」らしい空間だ。

・柿の葉寿司を作ってみる

せっかく作り方を教わったばかりであるし、買って帰ることにしよう。鯖も鮭も捨てがたいが、鯖だけでも30枚と、なかなかの量になりそうなので今回は鯖だけにしておく。近いうちにまた鮭を買いに来ればいい。

持ち帰り用に鯖を冷やす氷をもらい、急いで帰路についた。すでにしっかり塩漬けされているためか、賞味期限は当日限りではなく数日先まである。猶予があるのはありがたい。

あとは肝心の柿の葉だ。どこかで手に入れねばと、道すがら産直市場や道の駅に寄ってみたものの、残念ながら売っていない。困ったなと思っているうちに、自宅へ着いてしまった。

そこで「かくなる上は」と、ご近所さんの家のチャイムを鳴らす。そのお宅のお庭に、柿の木が植えられているのを知っていたからだ。事情を話して「柿の葉を分けていただけないか」とお願いすると「何枚でも持って行って。100枚くらいいる?」と笑いながら快く了承してくださった。

「柿の葉寿司には渋柿の葉が良いけれど、うちのは甘柿だから(ごめんね)」と言いながら、プチプチと葉をもぎってくれるご近所さん。通常、葉の柔らかさや風味の点から、渋柿の葉が適していると言われるのだ。とはいえ、この時期(夏)の葉であれば、甘柿でも十分だ。

摘みたての瑞々しい葉をありがたく頂戴し、家へと持ち帰る。酢飯を作り、吉野ストアの鯖を乗せ、良い香りの葉で包んで重しを乗せれば、あっという間に仕込み完了だ。柿の葉寿司は少し時間を置いて味が馴染んだ方が美味しいため、食べるのは翌日までおあずけにする。

そうして迎えた次の日、葉を開くと美しく仕上がった柿の葉寿司が顔を出した。あらかじめ、均等な厚さに切られていた鯖のおかげだろう。口へ運ぶと塩気と旨味のバランスが絶妙で、これも事前の絶妙な塩漬け加工のおかげだと実感する。

作り慣れていない記者にとって、米に鯖を乗せて葉で包むだけでも大仕事だったが、吉野ストアの鯖があったおかげで工程が大幅に短縮できたことくらい容易に想像できる。もしかすると地元の人にとっても、忙しい時に頼ることのできる、時短アイテムなのかもしれない。

しかも、出来上がりの味までばっちり保証されているのだ。我われがCook Do(クックドゥ)を買うような感覚なのだろう、きっと。

思いがけず吉野ストアを通して、吉野ならではを存分に体感することができた。この夏、もし吉野川周辺などへ遊びに行く機会があれば、ぜひ吉野ストアを覗いてみてほしい。その土地だからこそ出合える光景が広がっているはずだ。

参考リンク:吉野ストア
執筆:K.Masami
Photo:RocketNews24.

▼素人には、乗せて包むだけでも難しい柿の葉寿司

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