
突然だが、皆さんは日本三大珍味のひとつ「からすみ」は好きだろうか? 私(高木)は、ハッキリ言って大好きだ。
お酒だけじゃなく白米にも合うし、他じゃ替えの効かない旨み・香り・食感がドーパミンをジャバジャバと発生させる。ただ、とにかく高級なのがツラいんだよね。
あぁ~っ、もっと手軽にからすみを食べられたらいいのに……と思ったら。発見したぞ! からすみ風味の魚卵珍味『唐千寿(からせんじゅ)』という商品を!!!!
・からすみ風味『唐千寿(からせんじゅ)』
それを発見したのは、能登旅行へ行った時のこと。お土産物屋さんの冷蔵庫に、真空パックの魚卵が陳列されていたのだ。
からすみっぽい見た目だが、価格は税込1000円と非常に安い。というのも、本来のからすみに使われるボラではなく、タラやサメの卵を成形して作った “なんちゃって” な商品なのだそう。
この商品を販売しているのは、株式会社スギヨ。
スギヨといえば、元祖カニカマ『かにあし(かに風味かまぼこ)』を日本で初めて開発した企業。近年もうなぎ風かまぼこ『うな蒲ちゃん』を開発するなど、代替魚介の分野では期待ができそうだ。
通常、からすみは1本5000~1万円ほどすることも珍しくない高級珍味。それがたったの1000円で味わえるなら、庶民大歓喜の革命だが……果たしてどれほど本物のからすみに近いのだろうか?
気になったので、唐千寿と本物とで食べ比べてみることにした。
・唐千寿 VS からすみ
ということで、唐千寿とからすみを1本ずつ用意した。
──といっても、今回のからすみは当サイトでも以前ご紹介したくら寿司 おさかな市場の激安からすみ。税込950円(88グラム)という破格だが、まぎれもない本物のからすみだ。
唐千寿とからすみはどのような違いがあるのか。ここからは「見た目」「食感」「味」という3点にわけて比較をしていこう。
・見た目を比べてみた
まず一目でわかることとしては、唐千寿は全体的にテカリがあってオイリー。成形されているため形は整い、色はオレンジが強く鮮やかだ。
対してからすみは表面が乾燥して赤黒く、形もまばら。ぱっと見で美味しそうに見えるのは唐千寿だろう。
どちらも薄皮に包まれており、食べる前に剥がす必要がある。
皮の見た目は似ているが、唐千寿の方はオレンジの色移りがあるのに対してからすみはほぼ無色。
そして皮を剥がすと、唐千寿はよりオイリーさが目立ってテリッとした質感に。
からすみは皮を剥がしてもあまり変化がない。
開封前はパッケージに覆われていて気付かなかったが、見た目だけでも両者はまったく違うものに見えた。
・食感を比べてみた
両者を薄くスライスして食べ比べてみる。味の前に、まずは食感から言及していこう。
まず唐千寿。
ひと噛みした瞬間はねっちりとしているが、噛むとホロホロとほどけるような口溶けもあり、歯にはくっつきにくい。味がジュワッと染み出すようなオイリーな食感が特徴だ。
続いてからすみ。
口に入れた瞬間はドライに感じたのだが、噛むと驚くほどねっちりと歯にくっついて困惑した。だが調べたところ、水分が抜けた魚卵特有の油分とタンパク質による食感で、これこそがからすみの特徴のひとつらしい。
食べやすさは唐千寿の方が上だが、癖になるのはからすみ……といった印象を抱いた。
・味を比べてみた
最後は、唐千寿とからすみの味の違いについて見ていこう。
まずは唐千寿。
塩味が強く、燻製っぽい味と香りの中に魚卵の旨味がしっかりある。日本酒によく合いそうな味だ。
ただしちょっと目立つのが、卵黄の味。明らかに海の幸とは異なる陸っぽい味が混ざっていて、からすみ好きにとっては雑味に感じる可能性もある。
味の奥行きはあまり感じないが、値段を考えれば普通に美味しい。
続いてはからすみ。
まるで乳製品のようなまろやかさと凝縮された旨みが一気に押し寄せてくる。
ひと噛みした瞬間から脳汁が出るような幸福感があり、風味の深さが段違い。適度な塩味と旨味のバランスがよく、珍味として人気な理由がよくわかる。
これぞ日本三大珍味、文句ナシで美味しい!
・「からすみ風」はもったいない?
以上、唐千寿と本物のからすみを比較してみたが、特に味に関してはかなり違いがあると感じた。
後ほど企画を知らない夫にも食べてもらったところ、唐千寿は「魚臭さが少なく、味も歯ざわりもサッパリしていて食べやすい」、からすみは「魚臭いしねっちょりし過ぎて苦手かも」とのこと。
魚介が苦手な人にとっては、唐千寿の方が美味しく感じるようだった。
「からすみ風」と言って売り出すと、購入層は必然的にからすみ好きが中心になる。
期待して食べるとどうしても物足りなさを感じてしまうが、前述した通り唐千寿は “からすみとは別物” として普通に美味しい。比較されやすい形で売り出すのは少しもったいないような気もした。
とはいえ、初めて手に取る人にどう伝えれば特徴が伝わりやすいのかと考えると、難しいのだが……。
とにもかくにも、個人的には燻製風の味付けも魚卵と卵黄の組み合わせも好きだったので、気軽に食べられる魚卵のおつまみとしてこれからも唐千寿を楽しむつもりだ。
参考リンク:杉野屋与作『からせんじゅ(唐千寿)』
執筆:高木はるか
Photo:RocketNews24.