
近年、中国ではベーカリーブームが起きているとされている。伝統的な蒸しパンではなく、欧米的な焼きパンのベーカリーが乱立しているのだ。観光地、街中、ショッピングモールにはもはや普通にあるベーカリー。
オーソドックスなパン屋からファーストフード系、映えスイーツ特化型まで群雄割拠の様相を呈している。そんな中、北京を歩いていたら人気店と噂の『味多美(ウェイドゥオメイ)』があったので入店してみた。
・日本人から見た中国のベーカリーの価値
健康意識の高まりや若者のライフスタイルの変化から拡大しているという中国のベーカリーブーム。だが、日本人である私(中澤)にとっては建ち並ぶベーカリーには違う存在意義がある。それは……
中華料理の味つけに飽きた時の逃げ場だ。香りも味も個性の強い中華料理。本土の中華ともなると、その個性もガチだ。もちろんウマイんだけど、長居すると日本で普段馴染んでたものが恋しくなる。焼きパンの味は日本と変わらないのだ。
・中国パンブームの方向性
そんなわけで『味多美』東単店の商品を見てみたところ、チョコがかかった菓子パンからデニッシュにソーセージなどおかずが乗った惣菜パンまで色とりどり。
特に菓子パンはいちごが贅沢にあしらわれたケーキみたいなものもあり、そのキラキラ度に中国パンブームの方向性が見え隠れしている。価格帯は10元~23元ほどだ。
・突然の北海道
なお、2026年7月現在1元は約24円で、240円~550円くらいの価格帯であることを考えると、日本のパン屋(例えば『ヴィ・ド・フランス』のような)よりはちょっと安めのイメージ。
また、「北海道ミルクトースト」も26.9元(約645円)で売っている。この店だけでなく、コンビニとか他の店でも北海道が名前に入ってる商品をちょいちょい見かけたんだけど、中国においても北海道の大地力は轟(とどろ)いてるんだろうか。バフがあるのか謎だけど、中国で見かける数少ない日本地名であるだけにキュンとする。
・中国パンブームの最先端
ただ、購入したのは、北海道ミルクトーストや、映えを感じるキラキラ菓子パンではなかった。中華料理からの避難スポットとしてのベーカリーと前述したが、逃げてる場合じゃない。これいくしかねえだろ! ひと目見ただけで記者としての使命感すら覚えたパンとは……
『北京ダックパン(19.9元≒477円)』。
100%中国にしかないパンキター!! いや、中国どころか、このパンは『味多美』東単店の限定パンであるようだ。なお、東単店限定パンで言うと『鳥の巣パン(19.9元)』なども。これが中国パンブームの最先端か。
・食べてみた
パン自体が北京ダックのアヒルの丸焼きを模した形をしている『北京ダックパン』。その真ん中に肉系の具が入っている。食べてみたところ、生地は層状でサクサク系。いや、サクサクを越えてパリパリとも言える食感だな。揚げたみたいなパリッとした層が重なっているのでふわっとしたパン生地感ではなく、ザクザク感を楽しむ食感と言えるだろう。
具はおそらくアヒルの肉。見た目よりも中にたくさん入っててジューシーだ。このジューシーさと食感のコントラストはなかなかどうして面白い。
・独自の進化に感じるブーム
例えるなら何に近いかを考えてみたけど、そもそも日本だと、鶏肉ですら惣菜パンの具のメインになるのは珍しい気がする。チーズとかたまごとか入ってない、シンプルに味つけた肉とデニッシュが「ボン!」「ボン!」とある構成からすでに中国を感じた。
味のエレメントが少ないゆえに、それぞれが強い存在感を放っていて、肉を食べてる感覚が日本の惣菜パンの比ではない。それでいて中華料理の癖もないので、正直、日本人にもオススメできる味である。
ブームが来ると意味の分からない商品が発売されがちだが、逆説的に、独自の進化を遂げた商品が目につくかどうかはブームのバロメーターの1つと言えるかもしれない。
大陸的な発想でガラパゴス的パンが生み出されていた中国ベーカリーブームの最先端。今後も注目の現象であると言えよう。
・今回紹介した店舗の情報
店名 味多美 東単店
住所 北京市東城区東単北大街69号首層
営業時間 8:30~21:00
定休日 無休
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
▼「鳥の巣パン」がどんな味かはこちらの動画で。10分22秒くらいから『味多美(ウェイドゥオメイ)』のパンを食べてます。