
「ガチ中華」という言葉が登場して久しい。日本人向けに食べやすい味にアレンジされたものではなく、本場中国の味をそのまま提供するお店を指す言葉だ。同様にアジア圏の味をそのまま日本に持ってきたようなお店は少なからず存在する。
たとえば、以前訪ねた大塚のガチミャンマー料理店であったり、高円寺のガチネパール料理店であったり。私(佐藤)の比較的身近にありながら、それら未知の美味しさを求めることが楽しくなっている。
そんなアジア飯探求の次なるターゲットは「スリランカ料理」だ。美味しいと評判の『アラリヤランカ』へと向かった。覚えておいてほしい。ここのスリランカカレーはよく混ぜて食べるものであることを。そうしないと、私のように料理のポテンシャルを最大限に引き出すことができなくなるぞ。
・様変わりした有楽町
有楽町・新東京ビル店の地下にあるそのお店。この辺はiPhone行列の頃によく来たな。2019年以降並ぶことがなくなり、すっかり来なくなった。久しぶりに訪ねると、ビックカメラ周辺のビルがなくなっていて驚いた。
どこの建物にも飲食店街があったはず。それがなくなって、新東京ビルの地下飲食店街はどこもかしこも大行列。ランチ難民たちがここになだれ込んでいるようだ。
私のお目当てである『アラリヤランカ』の前にも、当然のように列ができている。果たしてどんなカレーに出会えるのか、期待を胸に行列の最後尾へと並んだのだった。
・サブウェイ方式
列に並んでメニューを見てみると、ここはテイクアウトのみで、カレーとトッピングを自分で選んでいくスタイル。ベースのカレーを選び、ショーケースに並んだ具材を指定していくシステムは、いわば「スリランカカレーのサブウェイ」といったところだろうか。
オーダー方法もよく似ている。まずはバスマティライスの量(150~250g)を選び、次にポーク、チキン、ベジタブルの中からカレーを1種選択。最後にトッピングを決める。0種800円、1種900円、2種950円、3種1050円、4種で1150円とトッピングの数に応じて料金が決まる仕組みである。
私は「ライス200gのチキンカレー」をベースに、4種類のトッピング(ワデ、シーニサンボウル、スリランカオムレツ、ムング豆)をチョイスしてみた。
正直、初体験なのでどれがどんな味なのかさっぱりわからない。けど、ファーストインパクトを頼りにコレ! と思うものを4種類選んでみた。
・量、質ともに高し
テイクアウトのお店なのでイートインスペースはない。どこで食べようかウロウロした結果、東京国際フォーラムのコンコースにたどり着いた。ここは11時半から14時半まで利用できる無料のテラス席がある。雨の日でも屋根があるのでありがたい。
さっそく黒い容器のフタを開けてみると……。
お! 中身がギッシリ詰まっていて、ものすごい重量感。スパイスの香りがフワッと漂い、食欲を刺激してくる。これで1000円ちょっとなら、かなりコスパが高いんじゃないか?
上にのったワデとオムレツを一旦フタによけて、カレーそのものの味をたしかめよう。
まずは「チキンカレー」から。ホロホロに煮込まれた鶏肉とバスマティライスの相性が抜群だ。時折ピリリと刺激的な辛さが顔を覗かせるが、辛い物苦手な私でも平気な程度で、良いアクセントになっている。
続いてトッピング陣を攻めていく。「ムング豆」と記載があった。これはムング豆のカレーだろう。「緑豆」として知られる豆であり、ほのかに緑色をしており、ホクホクとして優しい甘さだ。
次に玉ねぎの炒め物「シーニサンボウル」、飴色になるまで炒めた玉ねぎに、唐辛子を加えた玉ねぎジャムとでも言おうか。これを食べてなぜか私は脳裏に「洋食」のイメ―ジが湧いた。フレンチの基本となるソースベースに通じるものがある気がする。
「スリランカオムレツ」は本来、青唐辛子や ししとう を入れるそうだ。おそらくこれにも使われていると思うのだが、辛味は全然ない。固めに焼いた卵のパリっとした歯ざわりがいい。
そして最後に「ワデ」、どうやら私はこれとインド料理の「ワダ」を混同していたらしい。ワダはインドの揚げドーナツを指す。豆をすり潰して揚げたもので、こちらも同じような作り方をするようだが、ワダよりもワデの方が密度が濃く固い。
見た目にサクサクしてそうだなと思ったけど、食感はムッチリとしていて食べ応えがある。勝手に軽やかな食感を期待して口にして、違うんかい! となってしまった……。
・そういえば忘れてた…
大満足で容器を片付けようとした時、私の脳裏に店頭にあった看板の文字がフラッシュバックした。
「本場スリランカスタイルカレー スリランカ弁当 よーーく混ぜて召し上り下さい」
……あ! 混ぜるのを完全に忘れてた。そういえば、韓国のビビンバのように、スリランカカレーも色々な具材を混ぜ合わせることで複雑な味が完成する食文化だったはずだ。1つひとつの味を真面目に吟味しすぎて、カレーを少しも混ぜずに食べ終えてしまうとは。痛恨の極み……。
とはいえ、混ぜずに食べても十分に感動できるレベルの美味しさだったことは間違いない。ランチ難民が殺到するのも納得のクオリティだ。次回有楽町を訪れた際は、最初から親の仇のように「よーーく混ぜて」食べてやるぞと、固く心に誓ったのだった。
・今回訪問した店舗の情報
店名 アラリヤランカ 新東京ビル店
住所 東京都千代田区丸の内3-3-1 新東京ビル B1F
時間 11:00~14:00
定休日 土日祝
参考リンク:Instagram @araliyalanka.20201015
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24