
我が家には現在5歳の娘がいるのだが、正直こんなに手がかかると思わなかった。意思疎通はできるのに絶妙に言うことを聞かない。乳児の頃とはまた違う、まさにアンコントローラブルな存在である。
そんな子育てのあれこれをリアルに、微笑ましく、抜群の読後感とともに描いているのが、『生理ちゃん』で知られる小山健先生の最新作『首領ちゃん』だ。
敵組織の首領(5歳)をヒーローが育てるという異色作なのだが、同い年の娘を持つ親として激しく刺さってしまった。
・新連載スタート
私(あひるねこ)が個人的に激推ししたい作品を語る不定期連載「このマンガがめっちゃ好き!」。記念すべき第1回は、「モーニング」にて連載中の『首領ちゃん』の魅力を全力で紹介したい。
国家転覆を目論む秘密結社「ブラックデビル」から日本を守るヒーロー・峰水(みねみず)ミネタは、敵のアジトで5歳の首領・ニコンと出会う。
本来倒すべき相手だが、ミネタはニコンを保護し、二人の共同生活が始まった。時を同じくして「ブラックデビル」が完全週休2日制を導入。ヒーローも同じ勤務形態になり、仕事一筋だったミネタは大混乱に陥る──。
というのが大まかなストーリーだ。ミネタはニコンの実質の保護者となり、新米パパとして手探りで育児に励んでいくのだが、その悪戦苦闘ぶりには同じくパパとして共感を抱かずにいられない。
・リアルな5歳児の解像度
ニコンのために慣れない料理を作ったり、子ども服を買いに行ったり、いらだってつい怒鳴ってしまったり、幼稚園での親同士の挨拶に悩んだり。
失敗と反省を繰り返すミネタの姿に、どうしたって自分を重ねてしまう。
そして何より、5歳のニコンがあまりにも「5歳児そのもの」でとにかく愛おしいのだ。
そう、このくらいの年齢の子は会話こそ成立するものの、言うことは聞かないし、わがままだし、勝手にちょこまかと走り回る。
お菓子コーナーに行けば迷わずアクセサリーの玩具菓子を要求し、キャラの主張が強すぎる服ばかりを選び、テレビを独占して『プリキュア』(作中では『ピュアピュア』)を食い入るように見つめる……。
我が家の娘そのものではないか。
一応はヒーロー漫画だが、何か世界を揺るがすような大事件が起きるわけではない。しかし、ニコンとのささやかな生活を通して、ミネタは仕事以外の生き方や、これまでの自分にはなかった価値観を次々と発見していく。
この二人の日常がとても愛らしく、1話読み終えるごとに穏やかな気持ちになれるのが本作の大きな魅力だ。私もニコンちゃんと一緒に暮らしたい!
・真の推しは敵幹部
しかし、実は私の推しは別にいる。それが敵組織の幹部・パーマネント大佐である。
おにぎりみたいなフォルムをしたおじさんだが、このパーマネント、とんでもなく「パパ力」が高いのだ。そのほとばしる魅力が遺憾なく発揮されるのが、コミックス1巻収録の第4話である。
採石場での激しい戦いの翌日、ミネタはパーマネントからピクニックに誘われる。パーマネントの息子・たっくん(3歳)が、ニコンと遊びたがっているのだという。
コントの設定のような導入に思わず笑ってしまうが、パーマネントの猛攻はまだまだ止まらない。
コンビニで適当に買ったサンドイッチとレジャーシートを持参したミネタに対し、なんとパーマネントはアウトドア用のテーブルやチェアを設置。
さらには周囲を風船などでデコるという、見事なオシャピク(おしゃれピクニック)を演出してみせる。
ニコンとたっくんの写真を「顔は出さないのでインスタにアップしていいか」とミネタに確認するシーンで、私は神回であることを確信した。
平日は敵味方としてバチバチに戦いつつ、休日はパパ友として謎の交流を深める二人の姿も、この作品のたまらない魅力である(たっくんにちょっとお姉ちゃん風を吹かすニコンも)。
・夫婦揃ってファンに
2026年5月28日現在、『首領ちゃん』はコミックス2巻まで発売されている。妻にも勧めてみたところ、目論見通り大ハマりし、今ではすっかり夫婦揃って大ファンになってしまった。
ニコンくらいの子どもがいる人も、そうでない人も、ぜひ二人の奇妙で温かい共同生活にほっこり癒されてほしい。それではまた次回。
参考リンク:モーニング(第1話無料公開中)
執筆:あひるねこ
Photo:RocketNews24.
▼作品の雰囲気はコミックス1巻の表紙より、2巻の表紙の方がよく出ている気がする。
▼記事でも触れたピクニック回は、小山健先生の公式Xで無料公開されているのでぜひ!
パパ友がピクニックガチ勢だった話(6/1)#漫画がよめるハッシュタグ pic.twitter.com/AJlo8TZdm0
— 小山健 (@koyapu) December 7, 2025