ずっと気になりながらも、味わったことのないパンがあった。食べたいならば買いに行けばよいじゃないかと思われるかもしれないが、クリアしなければならない壁がいくつもあるのだ。

まずひとつ、購入できるところが1ヶ所しかない。ふたつ、その場所というのが行きにくいというか、何かの用事のついでに寄るという感じの場所ではない。そしてみっつ、そのパンは大変人気であるらしく、すぐに売り切れてしまうのである。

いつの日か、出会えるといいなと何年もの間ゆるゆると、その時を待っていた。そしてついに先日、その時がやって来た! これが噂の、奈良漬けを挟んでいるという『ならパン』か……!! 

・タイミングよく

『ならパン』を販売しているのは、針テラスという奈良県奈良市針町にある道の駅だ。住所が県庁所在地の奈良市であるため、アクセスが良さそうに見えるかもしれない。

ところがどっこい。例えば同じく奈良市にある東大寺あたりからでも、車で約40分はかかるのだ。遠くはないが近くはない。

名阪国道針ICすぐ横にあるため、そのまま名古屋や大阪方面に行けてしまう。便利といえば便利であるが、わざわざ行かなければならない。もしくはICを使う機会があれば利用することもあるかもしれない、それが針テラスである。

幸いにも記者は時折、その周辺を車で走ることがある。そのたびに寄っては『ならパン』が売っていないか確認していたのだがいつも売り切れで、本当に存在するのかと疑うほどだった。

しばらく、そんなことを繰り返していて、半ばあきらめていた時。ダメもとで売り場を覗いたところ、なんとあった……! しかも1個や2個じゃなく、たくさん並んでいた。

どういうことだろうと店員さんに聞いてみると、その日は一度売り切れてたが、あまりに人気なのでお願いして再入荷したところだったらしい。「あと5分早く来ていたら出会えていませんでしたよ」と言われたので、ものすごくタイミングが良かったのだろう。

記者のあとから来た人たちも、次々に『ならパン(税込280円)』を手に取りレジに並んでいた。



・納得の味わい

やっとのことで手に入れた『ならパン』をさっそく持ち帰り、トースターで少し温めていただくことにする。コッペパンくらいのサイズだが、皮がパリッとしていてフランスパンのよう。

中には、細く刻んだ奈良漬けが挟まっている。奈良漬けは金山寺味噌に漬け込んでいるとのことで、味噌の豆のようなものの姿も確認できた。

奈良漬けはマヨネーズで和えているらしく、そのためか奈良漬け特有の香りはいくらか抑えられているような気がしたが、それでもしっかり奈良漬けのにおいだ。個人的には大好きなにおいである。

さっそく食べてみるとシャキシャキとしていて、滋賀県の刻みたくあんのペーストをコッペパンに挟んだ「サラダパン」に近いものがある。食べる前までは正直なところ、味がちぐはぐにならないかと疑っていたのだが、とんでもない。パンと奈良漬けがベストマッチしているのだ。

奈良漬け特有の塩気や酒かすの香りなど、クセはそのままだが、味噌がたっぷり入っているのか甘みとコクがプラスされている。マヨネーズの効果か、まろやかさもあって奈良漬けのカドが取れて食べやすい。


繰り返すように食感も良い。朝ごはんにもおやつにも、酒のつまみにも、どんなシーンにもピッタリな味わいである。奈良漬けの可能性は無限大なんだなあと、衝撃的だった。家でこの絶妙な味を出そうとしても、なかなか簡単には出来るものではないだろう。

毎度、即売り切れてしまうのにも納得。『ならパン』は一度口にすれば繰り返し食べたくなる味であることを、身をもって知った次第である。またすぐ買いに行きたい。

参考リンク:奈良パン
執筆:K.Masami
Photo:RocketNews24.