
先日、私(佐藤)はユニクロの新商品のコーディネートを参考にして、自分も同じ着合わせに挑んでみた。そうしたところ、モデルと同じ格好をしたはずなのに、なぜか寅さん(車寅次郎)みたいになってしまったのだ。
高身長(187センチ)のモデルと私(169センチ)の身長差のせいで、まったく違う印象になったと思っていたのだが、どうやらそうではないらしいことが発覚。プロのスタイリストによると、着せ込み(スタイリング)によって印象はガラリと変わるらしい。そこでその方にご指導を仰いだら、本当に印象が変わった! こんなに変わるものなのか!?
・映画、ドラマでも活躍のスタイリスト
ユニクロで購入したのは「スウェットカーブパンツ」「エアリズムコットンオーバーサイズTシャツ」「コットンリネンシャツジャケット」の3点。
広告モデルはスマートに着こなしていたんだけど、私が着るとどうしてもだらしなくなってしまう。とくにスウェットパンツはラフな印象が強すぎて、シュッとした感じにならないんだよね。どうしてなんだろう……。
後日、私の記事を見たスタイリストのしげたさんからご連絡をいただいた。彼女がいうには服には着方(着せ方)があり、カタログ等の撮影時には、スタイリストがより魅力的に見えるように着せ込みを行っているそうだ。
その上で「佐藤さんに似合うように着せれるのではないかと思います」と仰るので、それならぜひ! とご指導を受けることにしたのだ。
しげたさんは映画やドラマなどのスタイリストとして活躍しており、作品によっては台本の段階から制作に携わって、登場人物の衣装をコーディネートしているのだとか。プロ中のプロである。
・ナニがだらしなく感じさせていたのか?
そうして、実際にスタイリングしていただくことになった。まずは先日の3点をそのまま着る。あの日以降、1度も袖を通してなかったわけだが、数日経ったからといって、野暮ったさが抜けるわけもなく、そこはかとなく漂う寅さん臭……。
ナニがダメなのかを尋ねと、着る以前の問題点を指摘された。
しげたさん「まずシワがダメですね。キレイに着こなすには服をキレイに保たないと。ヨレてるとだらしなく見えるだけじゃなく、清潔に見えないですしね」
佐藤「すみません、紙袋に入れたまま放置してました……」
しげたさん「Tシャツもシワが入ってますよね。脱いでください。スチームアイロンをかけますから」
佐藤「あ、はい……」
さっそく持参されていたスチームアイロンでシワ伸ばし。
しげたさん「編集部の皆さん、服を紹介する記事も書かれてますよね。そうしたら、スチームアイロンを活用されるといいですよ。撮影前にサッとかけるだけで全然違いますから」
佐藤「たしかここ(編集部)にも1台あった気がします」
しげたさん「服を撮影するときに、服の前面だけでもアイロンでしっかりシワを伸ばした方がいいですね。それから首周りも伸ばしておくと、印象がずいぶん違います」
佐藤「たしかに前だけでもスッキリした感じになりますね」
しげたさん「ヨレていると、それだけでだらしなく見えますよね」
佐藤「おっしゃる通り。カタログに掲載されている服がヨレてたら、買う気なくなりますよね」
しげたさん「そうなんですよ」
キレイにしていただいた服を今一度着用。ユニクロのモデルは、Tシャツをパンツに入れていたので、まずはそこから着せ込み。
しげたさん「せっかくシワを伸ばしたので、キレイな面を出したいですよね。このTシャツは佐藤さんの身体に対してちょっと大きいので、しっかり入れます。前を入れても肩回りに生地が余るので……」
しげたさん「後ろ側で調節しましょう」
佐藤「ダブついた部分を後ろで入れちゃうんですね」
しげたさん「それでシャツジャケットを羽織ったら、Tシャツの肩の生地が前に来ちゃうので、それを肩の奥側に押し込みます。できるだけTシャツをフラットにします」
佐藤「これが着せ込みなんですね。今まで何となく袖を通していたけど、見せ方も大事なんですね」
しげたさん「次に袖ですが、最初に1回大きく折って、そのあともう1回小さく折ります。その方が袖口がスマートでキレイになるので」
しげたさん「佐藤さんは服を前(身体の前方)に着てますよね。どちらかというと後ろ、肩で着るイメージで上着を着ていただきたいですね。そうすると、襟をふんわり形作ることができます。ふんわりしている方が仕立て感が出ます」
佐藤「服を前で着る? 考えたことがなかったというか、肩で着ることを意識したことがなかったですね。でも襟を見ると、たしかにふんわりした方が服の形が整って見えますね」
しげたさん「最後に裾なんですけど、このパンツもオーバーサイズで丈が長いので、少し巻きます。ロールアップで外に巻いても良いんですけど、あえて内巻きにしましょうか。外巻きは少し若い印象になるので」
そうして最後にアクセントに黒キャップを被って完成。
どうでしょう? 全然印象が変わった気がするけど。少なくともだらしなさはなくなって、垢ぬけ感が出たと思うんだけどな。
・変形学生ズボンのコーディネート
寅さんを脱したところで、ここからはキャリーバッグいっぱいに持って来ていたただいた、しげたさんの衣装を組み合わせてのコーディネート。まずはシャツジャケットを脱いでGジャンと合わせてみると、色に統一感が出てよく馴染む。
次は中をTシャツからタンクトップに換え、裾を外巻きにしてラフな印象を強調。インナーのトーンが変わるだけで、これまたかなり雰囲気が変わる。
しげたさん「タンクトップもヨレがあるとだらしなく見えます。とくに中高年の男性がだらしなく着てると、昔のランニングシャツみたいになっちゃうので、これも後ろから少し引っ張る感じで調整すると良いですよ」
佐藤「そうですね、ランニングシャツ感、身に覚えがある……」
ここでパンツを私が持参した変形学生ズボンに換えてみた。この夏は半袖シャツに学生ズボンを合わせるのも良いかもな。
続いてしげたさんの濃い臙脂(えんじ)色のアディダスジャージ。近しい色の着合わせで “こなれ感” が漂う。
さらにツートンのカーディガンを羽織ってみた。これからの季節にちょうど良さそうなコーディネート。半袖・ジャージ・カーディガンと何にでも合わせられる学生ズボンの万能さに、改めて驚かされる。
パーカとベストを合わせても学生ズボンは微動だにしない。何でも受け入れてしまう学生ズボンのフトコロの深さよ……。ちなみに学生ズボンは生地が丈夫で、洗ってもすぐ乾く。本当に良いところしかないのでオススメ。1本あると便利ですよ。
・スタイリストの無限の引き出し
せっかくなので、私は「もんぺ」の着合わせについても相談してみた。プロのスタイリストならもんぺのオシャレの着こなしも教えていただけるはずと、やや無茶ぶりしたのだが、その要望に見事に応えてくれた。
そのままはくと特有の田舎臭さというか、素朴な印象が出るところを、裾をロールアップで絞ることで、柄パンのような雰囲気を演出。
上着をトレンチコートに換えたら、スタイリッシュさが出た。もんぺにコートを合わせるなんて、その発想がスゴイ! しかもしっくり来ている。
ここからはフリータイム。人に服を着させることが好きというしげたさんは、次から次へと服を取り出して、私に着こなしを教えてくれた。
しげたさん「多分佐藤さんはこういうのも似合うんじゃないですかね」
佐藤「ボーリングシャツ、好きです。お気に入りを1着持ってます」
しげたさん「身体が細いからレディースも行けると思って、このボーダーを用意しました。ブルゾンとの着合わせがカワイイと思います」
しげたさん「あとはこのユニクロのポロシャツも合うんじゃないですかね」
佐藤「本当に着させるのが好きなんですね。「スタイリスト」はしげたさんにとって天職ですね」
しげたさん「そうかもしれないですね」
佐藤「あ、そうだ。編集部に奇抜な服が1着あるんです。エドウィンのピンクのジーンズのセットアップ。これどう着たらいいですかね?」
しげたさん「下は今はいているデニムとも合いますよ。襟が広いので、ふんわりさせると変になりますから、これは襟元をあえて開いた方が良いですね」
しげたさん「上下で着るなら、Gジャンの方はあえて袖を通さずに、肩で着ると窮屈な感じがしないでしょうね」
そんなわけで約1時間半ものあいだ、ずっとしげたさんにコーディネートをご指導いただいた。1度にこんなにたくさんの服を着たことがなく、またプロに指導を受けたこともないので、何もかも新鮮で、1着1着袖を通すたびに新しい自分を見られるのが面白かった。
また普段なら絶対に自分では選ばないタイプのものでも、着てみると意外と似合うことに気づき、自分で着る物の可能性を狭めていたこともわかった。これからはもう少しちゃんと服を選び、シワのよったものはちゃんと伸ばすようにして着たいと思う。それにしてもスタイリストってスゴイな!
執筆:佐藤英典
Photo:RocketNews24
▼ゆったりし過ぎだと思っていたユニクロのパンツでも、組み合わせとスタイリングで全然印象が変わる