
先日、ドーハのハマド国際空港で待ち時間があったので、空港内をブラブラしつつショッピングエリアを物色していたら、コンビニのような佇まいの店で怪しい人形を発見した。
アラブの伝統的な白装束をまとった男性の人形。価格は日本円で約2000円……絶妙に手が出せる金額である。店員さんに尋ねてみたところ「それは転んでも起き上がる人形ですよ」「いや、それはマトリョーシカ(入れ子人形)ですね」と答えがハッキリしない様子。
マジでこれは一体何なのか……気になったので、買って確かめることにした。
・怪しい人形
ポストカードやマグネット、デーツの箱詰め、ラクダ柄のマグカップなど、いかにもな中東土産がズラリと並ぶ店内。その中にあって、誰も手を伸ばさない絶妙なポジションをキープしていたのがこの人形。
伝統衣装を着ているにもかかわらず、観光地の熱量を一切感じさせない落ち着きぶり……周囲の商品がお土産感全開なのに対し、この人形だけが「なぜ私はここにいるのでしょうか?」みたいな顔をしていた。
・マトリョーシカ説
自宅に持ち帰り、人形をよく見てみると……腹部にうっすらと繋ぎ目のようなラインがあることに気づいた。やはり中から次々と小さな人形が出てくるロシアの伝統工芸「マトリョーシカ」説が濃厚である。
マトリョーシカは母親の中に子ども、その中にさらに子ども……と続く形から、子孫繁栄や家庭円満の象徴とされている。ロシア土産の定番だが、世界的にも知られる縁起物だ。
もしアラブ版マトリョーシカだとすれば、ロシアと中東の文化融合。かなり攻めたお土産だと言える。
だがしかし……全然開かない。硬いとかではなく、接着剤で完全密閉されているレベル。いやもしかしたら数年単位で売れなくて固まったのかも。それともマトリョーシカではないのか。
ただ人形を振るとカランコロンと音がするから、中には何かが入っているのだろう。
・起き上がり小法師なのか
となると、七転び八起き的な「起き上がり小法師(こぼし)」なのか……起き上がり小法師は、日本の会津地方に伝わる伝統玩具で、何度倒しても起き上がることから無病息災や家内安全の縁起物とされている。
ってことは、日本とアラブの奇跡のコラボ商品ということか。ただの売れ残りだと思っていたが、私を待っていたのかもしれない。これも運命。2000円は安い。
というわけで、実際に倒してみると……
カランカランカラン……
カランカランカラン……
カランカランカラン……
全然起き上がらず。
これ、本当に何なの?
【完】
執筆:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.