定食にするか? それとも丼にするか? ここまで迷った「かつや」の新メニューは初めてかもしれない。

2026年2月13日より期間限定で販売が始まった新作『鍋焼きカツ煮』には、定食だけでなく丼バージョンも存在する。といっても、公式には定食の方がプッシュされているので、本来なら私(あひるねこ)もそれに従うべきなのだろう。

しかし今回、私は定食ではなくあえて丼を選んだ。なぜか? これには明確な理由があるのだ。

・「かつや」新商品

先月は、親子丼の上にロースカツをのせるという荒業を繰り出してきた俺たちの「かつや」。待望の新作は、熱々の鉄鍋で提供する『鍋焼きカツ煮定食』(税込1089円)だ。


ロースカツ、海老フライ、白菜などに加え、〆(しめ)のうどんがすでに搭載されているあたり、実に「かつや」らしい。ご飯と豚汁(小)がしっかり付いてくるのも笑いを誘う。


しかし、生粋の “かつや者” ならば、選ぶべきは定食ではなく『鍋焼きカツ煮丼』(税込979円)であると私は考える。定食と比べ扱いは小さいが、むしろここには「かつや」の何たるかが詰まっているからだ。


まあ実際に見てもらった方が話は早いだろう。さあ酔いしれろ、そしてひれ伏せ。


この前衛的なフォルムに……!


・すべてが謎

後で触れようかと思ったが、もはやそういう次元ではないので言及することにする。丼の一角を占める謎の麺類をスルーできるほど私も鈍感ではない。


『鍋焼きカツ煮定食』がおとし玉子で仕上げられているのに対し、『鍋焼きカツ煮丼』は玉子とじになっている。つまり、ほぼカツ丼である。そのカツ丼の上に、当然のような顔をしてのっているのが……。


そう、〆のうどんだ。カツ丼の〆って一体何なんだ? そもそも〆る必要があるのだろうか? そんな当たり前の疑問を、力業でねじ伏せてくるのが俺たちの「かつや」である。



・伝家の宝刀「うどんオンザライス」

うどんをライスにオンするのは、今や「かつや」の伝統芸能だ。その始祖と呼べるのが、2019年に登場したレジェンドの中のレジェンド『カレーうどんカツ丼』だった。


炭水化物に炭水化物をぶつけた結果、炭水化物がただ倍になるという無意味すぎる試み。その大いなる意志は脈々と引き継がれ、昨年は『ホルモン焼きうどんとチキンカツの合い盛り丼』なる魔物が産声を上げた。


しかし今回の『鍋焼きカツ煮丼』は、これまでの “う丼” たちとは少しばかり毛色が異なる。カレーうどんや焼きうどんと違って、〆のうどん。つまり味なしうどんである。素である。全裸である。


さすがに、ただの素うどんをおかずにご飯を食べるのは……。というワケで(?)付いてくるのが、別添えの柚子胡椒ダレだ。


温かくもちもちしたうどんを、冷たいタレに軽くくぐらせる。いったんタレを経由した上で、再びご飯にワンバンさせるのもまた良し。

果たしてこれが正しい食べ方なのかは私にもよくわからないが、思った以上に美味しかったことだけは確かである。


・海老フライ、ロースカツ、白菜

すっかりうどんの陰に隠れてしまったが、あたかも海老天かのように振る舞う海老フライの存在もなかなか趣深い。鍋焼きうどんといったら普通は海老天だが、こういった省エネムーブも「かつや」ならでは。


そしてその下には、見慣れたロースカツの姿が。新鮮味はないかもしれないが、うどんがカオスに振り切っているぶん、バランスは取れているように思う。


ところが、そんなロースカツの働きを無にするのが白菜だ。本来、鍋の具材として入っているべきものが、なぜかそのままの形でご飯の上に盛り付けられているという圧倒的怪奇。


キムチや浅漬けならまだわかるが、さすがに「素白菜」ではご飯はすすまないのではないか。よって、持て余した具材はすべて柚子胡椒ダレに投入。

もはや何をおかずに何を食べているのかわからない。カツ丼をかき込みながら、同時にうどんもすするのだった。


・丼を選ぶべき理由

正直に告白すると、料理としてのクオリティーはおそらく『鍋焼きカツ煮定食』の方が上だと思う。特にうどんや白菜に関しては、鉄鍋でぐつぐつ煮た方が美味しいはずだ。

しかし、それでも私は『鍋焼きカツ煮丼』を注文すべきだと強く主張したい。そう、「かつや」の期間限定メニューとは、ただ純粋に味の良さを求めて食べるものではない。


なぜこれでいいと思ったのか? どうしてこんな仕様に落ち着いてしまったのか? そんな「かつや」の荒々しい衝動を受け止め、時には笑い、時には呆れつつも、それらすべてを愛でるために頼むという側面が確かにあるはずだ。



人に薦めるならきっと『鍋焼きカツ煮定食』が無難だろう。だがしかし、“かつや者” としての私は『鍋焼きカツ煮丼』一択である。名を取るか、実を取るか。“かつや者” としての矜持が試される一杯であった。

参考リンク:かつや
執筆:エクストリームかつや者・あひるねこ
Photo:RocketNews24.

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▼うどんと白菜をタレで食べたため、いつもの期間限定メニューよりもご飯が多く感じられた。そこで役に立ったのが「かつや」が誇る激ウマ漬物である。

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