ライターの表現力をたしかめる企画「表現王選手権」。毎回テーマに沿ったキャッチコピーを編集部メンバーに考えてもらうというものだ。プロのライターなら、日頃の武器であるワードセンスで、誰もが納得する名文を生み出す……はず。

さて、今回は「クリスマス」である。1年を締めくくるのにふさわしいテーマ。今日の日を象徴するようなコピーは紡がれているのだろうか?

今回も作品の優劣は皆さんの投票で決まる! 投票、よろしくお願いします!

・前回の答え合わせ

まずは前回「紅葉」の答え合わせ。前々回の「酉の市」では、上位3作品を一般のものが占めるという、編集部メンバー大惨敗という悲劇が起きてしまったのだが、今回はどうなった? 汚名返上できたのか?

結果は以下の通り。それぞれの名前の後ろの星印は、これまでの1位の獲得回数を示している。


1位 「いつもの散歩道が名画になる」 御花畑マリコ☆☆
2位 「自然が織りなす秋の芸術」 原田たかし☆☆
3位 「散りぎわの最後に染まる心意気」 AZULさん
4位 「山や木々が、恋をした。」 GO羽鳥
5位 「地球のお色直し」 和才雄一郎☆
6位 「落ち葉のレッドカーペット」 中澤星児☆
7位 「朱色に舞う、木枯らしの足跡」 佐藤英典☆
8位 「落ち葉さえも絵になる自然界の美術展」 古沢崇道☆☆☆
9位 「紅葉と銀杏の良さがわかったら、大人の秋」 あひるねこ
10位 「赤く染まったいつもの道 あの人の足音も聞こえてきそう」 つのちさん
11位 「初めて紅葉 “狩り” って呼んだ人のセンスに脱帽」 P.K.サンジュン☆☆☆
12位 「紅葉を見に行こうよう ~寒いのは季節のせい~」 砂子間正貫
13位 「散る直前がこんなにも美しいなんて」 Yoshio
14位 「この赤は景色か。風が連れた時の名残か。」 かすみさん


以上の結果となった。

御花畑女史の活躍により、1位奪還! 2位に原田も食い込んで連敗は免れた。あぶねえ~、こういうので負け始めると「負けグセ」がついたりするので、2人のおかげで常態化を避けられて何より。とはいえ、3位は落としてしまったので、引き続き気を引き締めていきたいところだ。


今回選ばせて頂いた3作品についても、簡単に解説したい。

AZULさんの「散りぎわの最後に染まる心意気」は、まずもって音が良いですね。五・七・五でリズムが良い上に、最後は「心意気」の体言止めで余韻もある。葉が散り際に見せる燃えるような色づきを想起できる。

つのちさんの「赤く染まったいつもの道 あの人の足音も聞こえてきそう」は、視覚よりも聴覚に訴える作品。ザクザクと落ち葉を踏みしめる音が、後ろから聞こえてくる。「あの人」とは、家族や恋人、親しい友人など、読む人によってその対象が異なることを許容している。もしかしたら、もう会えない人のことを指すのかも。秋らしい感傷的な名文だ。

かすみさんの「この赤は景色か。風が連れた時の名残か。」は詩的な美しさを感じさせる作品。赤く色づく木々を見て、風景(景色)と割り切らず、季節の移ろいが招いた変化ではないのか? と問う。時間の経過に置き去りにされるようなわびしさ、物悲しくも凛々しいコピーだ。


・今回は「クリスマス」

さて、今回はクリスマス。もう少し早く本稿をまとめたかったのだが、先週体調を崩してしまったため、遅れて今になったことをご了承頂きたい。

今さら説明するまでもなく、クリスマスは一大イベントである。恋人や家族、会社の同僚や友人などと、パーティーしたりプレゼント交換したり。もしくは何もなく過ごす人もいるかもしれない。

お子さんのいらっしゃるご家庭では、プレゼントの用意で大変かも。いずれにしても、祝い事のひとつであることは間違いない。誰にとっても忘れ得ぬエピソードがある大きな行事だ。それをどう言葉に落とし込むかがカギとなるだろう。

今回は編集部メンバー10作品 + 一般3作品の計13作品を選出。その内容は以下の通り。


1.「いいおとなたちも待ってるからね、サンタさん。」


2.「魔法が起きそうな気がしないでもない日、クリスマス」


3.「1年でいちばん子供の笑顔が見られる幸せな日」


4.「子供たちの決戦日! ~抗えぬ睡魔と戦いサンタさんを見るために~ 」


5.「イルミネーションと山下達郎が揃うとサンタが来る」


6.「奇跡も魔法もあるんだよ」


7.「足音忍ばせ枕元。サンタさんになれる幸せ。」


8.「夢から覚めたら、足元に夢があった。」


9.「準備してる時がピーク、当日はスン……」


10.「お疲れ様です、ショートケーキです。今夜だけはお礼を言わせていただきたくあなたの脳内に語りかけています。販売員さん、ありがとう──。」


11.「一番夢を見ている子どもに真実を知られたくない日 」


12.「子供はサンタさんから、サンタさんは子供から大切なものを貰う日」


13.「うちのサンタは俺たちよりプレゼントを買って帰ることを楽しみにしてた。抱えきれない愛情をありがとう」


さあ、今回の投票結果はどうなるのだろうか? 2025年最後のテーマはできれば編集部の勝利で飾りたい。皆さん、これは!? と思う作品に投票をよろしくお願いします!

短いキャッチコピーで、いかにそのもの(テーマ)の魅力を伝えるかを競う「表現王選手権」は思いつきで始めた企画でした。編集部メンバーの表現の向上だけでなく、投票・応募を通じて読者の皆さんとの関わりを持ちたかった狙いもあります。

多くのご応募を頂く中で、秀逸な作品の多さに驚くとともに、大変勉強にもなりました。今後も続けていきたいとは思います。少し間が空きますが、2月には再開予定ですので、それまでお待ちを。また次回お会いしましょう。

執筆:佐藤英典
Photo・イラスト:Rocketnews24