立ち食いそばの教科書があれば『名代 富士そば』は絶対に載ることだろう。1966年に『そば清』から始まり、現代立ち食いそばのスタイルを確立した立役者だからだ。

しかし、実は富士そばよりも古い立ち食いそばチェーンが大阪にある。その名は『都そば』。1962年の創業は、人呼んで「日本最古のそばチェーン」である。

・エッ

エッ、都そばってそこまで歴史ある店だったの!? 大阪市内の人だったらそう思うかもしれない。なぜなら、都そばって何気にそこら辺にある感じで普段気にするような店じゃないから。もはやあって当たり前くらいの勢いだ。そば屋だけど、うどん食べてる人多いし。

もちろん大阪出身の私(中澤)も在住時気にしたことがなかったんだけど、逆に言うと、この空気に溶け込んでる感じが歴史なのかもしれない。まさしく庶民の店と言えるだろう。しかし、気にし始めると気になるもので、鶴橋店を通りかかったところ、店外のメニューに地味に衝撃を受けた


上天丼に全然「上」オーラがない


煽り文句のように書かれた「えび3L」って記載も飲食店で初めて見た気がする。思わず注文してみたが……


・上天丼の概念

やはり上オーラはない。念のため、上天丼の定義を調べてみたところ、GoogleのAIによると「通常の天丼よりも具材が豪華な天丼のこと」とのこと。ちなみに、都そばに天丼はない。上天丼の概念に疑問を投げかけずにはいられない上天丼である。

俺が上天丼と言えば上天丼──。そんな心意気に浪速の力強さを見た。味は言うまでもなく庶民的なもので、その分安いことに大阪の本質的な部分を感じる


・愛すべきそばチェーン

そんな『都そば』だけど、もちろん全部のメニューが上オーラがないわけではない。例えば、「カレーそば(税込780円)」は牛玉入りでちょっと贅沢。都そばのそばはふにゃっとした麺で、つゆは醤油控えめで昆布出汁メインなのでカレーそばの味もちょっと違う。

そもそもカレーそばに玉子と牛肉が入ってるって関東ではあまり見かけない気がするので、豪華さの方向もならではと言える。で、ならではと言えば、親子丼の肉が牛肉の「牛ふわっ玉丼(税込680円)」も割とならでは。関西で言う他人丼だ。

贅沢さの方向も関西における庶民の贅沢である。実は店舗限定メニューもあって天満店には港屋系の「豚そば(税込800円)」があったり、サイドメニューに「バッテラ(税込290円)」がある店舗もあるんだよね。

2024年の帝劇店の閉店を最後に関東からは消滅した都そば。私にとっては色んな意味でとても大阪を感じる店だ。外向けの大阪グルメとは違う、愛すべき庶民派そばチェーンである。

参考リンク:インスタグラム「@miyakosobamiyakomiyako
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.


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▼カレーそばと牛ふわっ玉丼とバッテラは天五店

▼「3L」の記載があるのは鶴橋店だけかも

▼外は天神祭ギャルみこしでした

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