ライターの表現力をたしかめる企画「表現王選手権」。毎回テーマに沿ったキャッチコピーを編集部メンバーに考えてもらっている。プロのライターなら、卓抜したワードセンスで名文を生み出してくれる……はず。

さて、今回は「サンマ(秋刀魚)」だ。今年は豊漁と言われており、脂の乗りが良いらしい。あいにく私(佐藤)はまだその味をたしかめられていないのだが、そのサンマをテーマに言葉の腕を競ってみたいと思う。

ということで、今回もコピーの優劣は皆さんの投票で決まる! 投票、よろしくお願いします。また最後に次回のお題のコピー公募も記しているので、本稿末尾までお読み頂きたい!

・前回の答え合わせ

まずは前回「運動会」の答え合わせだ。ついにこの時が来てしまったか……。毎回優秀な作品を皆さんから応募頂いていたので、いずれはそうなると思っていたのだが、運動会をテーマにした投票で、ついに一般作品に1位を奪われる日が来てしまった!

結果は以下の通りである。それぞれの名前の後ろの星印は、これまでの1位の獲得回数を示している。


1位 「我が家のオリンピック」 ナルコさん
2位 「頑張れば、負けても勝っても金メダル!」 イナバタクヤ
3位 「みんなの笑顔が1等賞。」 ペコ二郎さん
4位 「赤組、白組、ウルトラマン」 原田たかし☆☆
5位 「一年で、1番お弁当が嬉しい日」 砂付近☆☆
6位 「家族で囲むお弁当タイムが幸せだった」 古沢崇道☆☆☆☆
7位 「リレーの感動は映画を超える」 砂子間正貫
8位 「運動会が楽しくなかった人へ伝えたい。「お前は1人じゃない」と」 中澤星児☆
9位 「人生で唯一、雨と風邪を願った日」 御花畑マリコ☆
10位 「肉眼で見て、心に保存したい」 GO羽鳥
11位 「来賓席の誰なのか分からなさは異常」 あひるねこ
12位 「今では笑える泣きべその記念写真、撮っててくれてありがとう」 佐藤英典
13位 「実は親の方が楽しみ、運動会」 P.K.サンジュン☆☆☆
14位 「パパのカメラとママの声援、どっちも全力疾走」 コモこもさん
15位 「意味不明な応援歌が正々堂々と歌われるほどの熱狂」 和才雄一郎☆
16位 「負けて悔しいのが実は親。それもまた良き思い出」 Yoshio


以上の結果となった。とうとう1位を一般作品に奪われてしまいました……。記念すべき一般1位の第1号はナルコさんです。ナルコさん、おめでとうございます! 2位にイナバタクヤが入ったものの、健闘及ばず……。続く3位もペコ二郎さんの応募作。

前回予期したように、上位3作が一般を占めるのも、そう遠い日ではないかも。うかうかしてられない! 我々は曲がりなりにもプロのライター! ……のはずなのだが。先行きが不安になって来たぞ、我々は大丈夫なのか?


今回選ばせて頂いた3作品についても、簡単に解説したい。

ナルコさんの「我が家のオリンピック」。もはや説明不要ではないだろうか。世界的なスポーツの祭典オリンピックになぞらえて、運動会が家族にとっての一大イベントであることを表現している。世界レベルとは言わないまでも、家族にとっては一生の思い出に残る重大な催しだ。家族総出で奮起する様子を、この1文で表現している。お見事!

ペコ二郎さんの「みんなの笑顔が1等賞。」、これもまた端的に運動会の魅力を伝えている。どの種目も勝ち負けを競うからこそ、運動会はアツくなれる。勝ち負けがあるということは、誰かが負けて涙を流すこともあるだろう。そうではなく、みんなが笑顔になれることこそが素晴らしい。それを願う優しいコピーだ。

コモこもさんの「パパのカメラとママの声援、どっちも全力疾走」は、その情景が思い浮かぶ。徒競走のスタートラインに立つ我が子に、必死に声援を送るママ。その傍らで勇姿を収めようとカメラを構えるパパ。よーいドン! で駆け出す子どもの姿を追いかけて、パパもママも全力疾走! 子どもと一緒に競技に臨む、家族の微笑ましい一幕。

さて、今回のサンマにも多くの秀逸な作品が寄せられている。たくさんのご応募ありがとうございます。毎度のことながら、それらの中からの選定は本当に難しいんですよね……。



・今回は「サンマ」

今回は秋の味覚の代表格、サンマだ。多くの方のコピーにもあったが、大衆魚のはずが年々値上がりして、お店によってはビックリするような値をつけているものもある。時代の流れとはいえ世知辛い世の中になったもんだ……。

今回は約180作のご応募を頂いた。それらの中で比較的多かったのは、サンマのはらわたについてだ。サンマのはらわたは苦味があり、味覚が敏感な子どもはあまり好まない。だから、この味がわかるようになったら大人の証である、そう綴るコピーを多く頂いた。サンマにまつわるものとして、大根おろしやスダチ、七輪などについても多く寄せられている。

それらの中から、今回は編集部メンバー13作 + 一般3作の計16作品を選出。その内容は以下の通り。


1.「庶民の魚から人気グルメに。これが本当の出世魚?」


2.「秋刀魚と米さえあれば俺は幸せ」


3.「見ろよ、大根おろしがハチマキ巻いてるぜ」


4.「七輪と団扇で知らせる秋の音」


5.「食欲の秋、いぶし銀の立役者」


6.「今年も飽きない、秋の香り」


7.「海に生ける日本刀」


8.「大人になる時……それはサンマのわたがウマいと感じるようになった時」


9.「秋の訪れを感じさせる、飽きのこない味 」


10.「クソかっこいい名前なのに庶民の味、秋刀魚」


11.「塩、大根おろし、レモン、いただきます」


12.「家で焼くのに対策と覚悟がいる魚ナンバーワン」


13.「鈍色の秋味」


14.「トロける身に秋の匂い。最も旬という言葉が似合う魚」


15.「目黒の名物っぽくなっているのは何故なのか?」


16.「裸足のサザエさんが追うドラ猫がくわえているのは……」


・そのほかの優秀な作品

そのほかにも良いと思うものが多数あったので、そのうちから3作品を紹介させて頂こう。


◆かすみさん「旬の切れ味、最上大業物。秋の名刀」

サンマは刀のような形をしていることから「秋刀魚」と書く。それを最上大業物と評価して、名刀とたたえている。名詞句と名詞のみで構成された、リズミカルで力強さを感じさせる作品だ。


◆こたろんさん「わたの苦さを美味しく感じたのはビールが美味しくなってから」

先に挙げたように、はらわたの味は大人度を測るバロメーター。それと「大人」という言葉を使わずに、大人になることを伝えている秀逸なコピー。酒の肴にサンマを楽しめるようになったら、もう大人。


◆あってぃさん「空にイワシ、食卓にサンマ。」

こちらは「秋」を使わずに、秋であることがよくわかる内容だ。空にはイワシ雲が広がる夕暮れ時、夕食には焼きたてのサンマが出ている。穏やかな食卓の様子を感じさせる。



さあ、今回の投票結果はどうなるのだろうか? 編集部のメンツにかけて、1位を獲りに行かねばならぬ! 引き続き、皆さんにご参加頂きたいので、ご応募よろしくお願いします。

次のテーマは少し早いけど「ハロウィン」で行きましょう。名文が浮かんだという人は、ぜひ応募して頂きたい。たくさんのご応募、お待ちしてます! そして、先に挙げた16作品への投票もお忘れなく! よろしくお願いします。


執筆:佐藤英典
Photo・イラスト:Rocketnews24

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