2025年4月13日より開幕し、残すところ2週間ほどとなった『大阪・関西万博』。当サイトでは開幕日から今日まで、さまざまな視点から現場の様子をお伝えしてきた。

ひょっとしたら、この記事を読む読者の皆さまの中には「これから初めて万博へ行く」という方もいるかもしれない。

──というわけで、9月末に会場を歩いてみた筆者の目線から、ちょっとしたヒントや気づきをまとめてみた。みんな、最後まで楽しもうね!

・もはや穴場は存在しない

9月某日。会場に到着して驚いたのが、あまりにも多すぎる来場者の数である。

筆者が過去に大阪・関西万博を訪れたのは5~7月のこと。当時の来場者数は10万人前後で、対して現在は20万人を超えているのだから状況は大きく違う。この差は数字で見るよりも、ほぼ同じ場所・時間の写真を見比べるとわかりやすい。


たとえば西ゲート近くのミャクミャク像(朝)は、こう。


大屋根リングの上(夕暮れ前)は、こう。


ガンダム像の前(夜9時ごろ)は、こう。

時間・場所にかかわらず、明らかに人が増えていることが伝わるだろうか。特に夜は閉園間際の22時まで滞在する人が増え、混雑の度合いが一層際立っているように感じた。


以前までのレポートであれば「〇〇が穴場」「〇時以降がオススメ」といった情報をお伝えしていたのだが、さすがにもう無理がある。単刀直入に言うと「もう大阪・関西万博に穴場は存在しない」「なにをするにも並ぶ・待つ必要がある」と考えるべきであろう。


・まずは一番の目的地へ向かおう

空前絶後の大混雑万博を楽しむ上でまず気を付けたいのは、会場内をまわる順番について。

これだけ多くの人が訪れている今、万博で「行ってみたい場所」や「手に入れたい物」があるなら、会場に着いたら何よりも先にそこを目指すことをオススメしたい。


先述の通り、閉幕が迫った現在の万博会場では何をするにも時間がかかる。ただ歩くだけでも、人ごみの中をゆっくり進まなければならないほどの混雑ぶりだ。

多くのパビリオンやショップでは1時間待ちが当たり前、場合によっては2〜3時間以上並ぶこともある。そんな状況の中「あとで行けばいいや」と目的地を後回しにしてしまうと、いざ向かったときには人が多すぎて入れない……なんてことも十分にあり得るのだ。


そんなワケで、会場に着いたらまずは一番行ってみたい場所へ。それ以外のこまごまとした目的は「できたらラッキー」くらいの軽い気持ちで考えておくと、気持ちにも余裕が生まれるかもしれない。


……ただし、目的地がイタリアやアメリカといった超人気パビリオンである場合は 少し話が変わってくる。

こうした激戦パビリオンは、朝イチで列に並んだとしても入場まで半日以上かかることも珍しくない。「半日待ってでも行きたいのか?」「他のパビリオンに行けなかったとしても行きたいのか?」と、事前に覚悟を決めておくべきだろう。


・公式SNS・口コミで最新情報をチェック

次に、目的のパビリオンがある方に注意しておいてほしいのが、その入場方法だ。

パビリオンの入場方法は場所によってバラバラ。さらにややこしいことには、閉幕が近づき来場者が急増した影響もあってか、入場・予約方式が日や時間によって変わることもあるのだ。


主な入場方法をお伝えすると、

・完全予約制
・予約もできるが列に並ぶことも可能
・予約ナシで列に並ぶ
・列に並ぶが人が増えたら一旦締め切り、人が減ったら受け入れを再開する
・予約制だが、特定時間帯のみ並ぶことも可能

といったイメージ。

中には万博の予約サイトだけでなく、パビリオンの公式LINEやSNS上で抽選がおこなわれる場合もあるため、とにかく情報収集がカギになる。後悔のないよう、公式SNSの発信や来場者の口コミをチェックしておこう。


・当日予約はほどほどに

せっかく万博に来たからには、できるだけたくさんのパビリオンに入りたい。多くの人が望んでいることであろう。

そこで活用するのが、先ほどもチラッと話が出たパビリオンの入場予約だ。主な予約方法としては、「2か月前抽選」「7日前抽選」「空き枠予約(3日前~前日午前9時まで)」「当日予約」の4種類がある。


会場ではスマホにかじりついて当日予約枠を狙う来場者の姿が珍しくない。

ただし、そう簡単に予約は取れない。1日に何度も訪れる予約枠解放のタイミングに合わせて、よりスムーズ&正確にスマホを操作する必要があり、さらには電波の不安定さや公式サイトの混雑によるエラーが日常茶飯事だ。


筆者自身、先日は1日に5回以上も当日予約に挑戦。幸運にも人気パビリオン『null²(ヌルヌル)』の予約を取ることができたが、あとはことごとく失敗した。そんな結果でも「今日はラッキーすぎる!」と喜べるほどに難易度が高いのだ。

当日予約は操作の慣れ・電波状況・予約枠の数・運など、さまざまな要素が絡み合う狭き門。

予約のため、せっかくの万博を全集中でスマホと向き合う1日……通期パスを持つ人ならともかく、最初で最後の万博へ来た人にとってそれは果たして有意義と言えるのだろうか?


……それならいっそ、当日予約は潔く諦めるという選択もアリじゃないだろうか。入れそうなパビリオンを選んだり、通りすがりのイベントを見たり、そんな過ごし方の方が本当の意味で万博を存分に楽しめるだろう。

スマホ操作はほどほどに。さまざまな文化が集まる空気感を五感で味わうことこそが、万博の醍醐味ではないだろうか。


・休息の準備も忘れずに

朝から晩まで歩き回るのだから、そりゃ、万博で遊ぶとなると体力が尽きることもある。以前までは、そんな時に心強かったのが大屋根リング下のベンチだった。

直射日光を防ぎ、風が通り、木のぬくもりを感じながらベンチで座ってお茶を飲みながらほっこりする。かつての大屋根リングには、そういう空間が広がっていた。


ところが今はどうだ。ベンチが空いているのは、比較的人が少ない午前中のわずかな時間だけ。午後から夜にかけてはほとんど埋まっている。……つまり我々は、ベンチに変わる休息場所を自分で準備しておく必要があるのだ。


筆者の場合はレジャーシートを持って行き、大屋根リング下の人通りが少ない場所でランチやおやつを楽しんだ。

座って水分と食べ物をとれば疲労が回復するのはもちろんのこと、大阪・関西万博のシンボルとも言える大屋根リングでピクニックができたという思い出も残る。一石二鳥だ。

荷物に余裕がある人は、折り畳みチェア&テーブルを使うとよりリラックスできるだろう。

とにかく、楽しい1日を送るためには健康が一番。無事に家までたどり着けるだけの体力を温存することこそが、万博で勝つための秘訣と言えるはずだ。


・帰る時間には余裕を持とう

1日の最後にして最大の難関が、万博会場・夢洲からの帰り道だ。

なんていったって、入場時はバラバラだった20万人もの来場者が、閉園と同時に一斉に帰路につくのだから。西ゲートも東ゲートも大混雑になるのは当然のことである。


この日、筆者は舞洲にあるP&R駐車場を利用して西ゲートから帰宅。会場 → 駐車場のバスを待つ列が長かったのはもちろんのこと、さらに参ったのが車に乗ったあとの渋滞だった。

時間にして、駐車場を出るまでに30分以上、さらに舞洲から本州へ渡るまでに10分ほど。ノロノロと進む車列の中、疲れ切った身体でじっと耐える時間はまさに根性勝負だった。

それでも、マイカーの場合は座れるだけマシだ。


東ゲートでは、夢洲駅までの道が牛歩状態。ようやく駅に着いても車内はすし詰め状態。中には電車を諦めて、徒歩で夢洲を脱出しようとする人の姿までちらほら見かけた。

西ゲートでは、数えきれないほどのタクシーが大渋滞。桜島駅へのバスに予約が必要なことを知らなかった人が、絶望的な表情で立ち尽くす姿も見かけた。

日によっては会場からの退場制限がかかることもあるらしく、誰もが帰宅難民になる可能性を孕んでいる。


体力に自信がある人なら、閉園間際まで遊ぶのも自己責任で楽しめるだろう。問題は体力のない人やお年寄り、子どもたちだ。

帰り道の混雑は、人によっては万博の思い出を一変させてしまうほどの負担になりかねない。

せっかくの機会がもったいなく感じるかもしれないが、元気に家まで帰れることが最優先。閉園前に切り上げ、帰宅時間には余裕を持つ勇気も大切にしてほしい。


・最後まで万博を楽しもう!

ここまでいろいろと注意点を挙げてきたが、ポイントさえ押さえれば、今の混雑状況でも万博を1日中しっかり楽しむことは十分に可能だと筆者は感じている。

巨大な大屋根リング・見慣れない形の建物・非日常的なお祭り感、聞きなれない音楽や言葉。会場のどこを切り取っても、人生でまだ出会ったことのない新しい発見がきっとできるはずだ。

残り2週間となった大阪・関西万博。最後まで、皆さんがよい思い出を作れることを願っています!

参考リンク:大阪・関西万博 公式サイト
執筆:高木はるか
Photo:RocketNews24.

▼パビリオン以外で、偶然見かけた会場内のおもしろスポット&イベントをご紹介しよう。まずは『いのちのパーク』で15分に1回噴霧される人工の霧

▼3メートル先も見えない濃霧に思わず笑った。こんなの、梅雨の箱根峠よりも濃いんじゃないか?

▼いわゆる「空飛ぶクルマ」のテスト飛行も偶然目撃。想像以上に静かで、重さを感じさせないほどスピーディに飛び立つパワーに圧倒された

▼独特なフォルムのパビリオンが並ぶ様子は、何度見ても心が躍る。夜はライトアップやド派手なサイネージがギラギラと光り、昼間とは違った顔が見られるぞ

▼9月25日以降は、閉幕まで毎日18時35分ごろから5分間の花火大会がある。大屋根リングの上からはもちろん、会場内のいたるところから見学可能だ

▼大屋根リングの下の景色も忘れ難い。まさに、大阪・関西万博を象徴する景色と言えよう