ライターの表現力をたしかめる企画「表現王選手権」。毎回テーマに沿ったキャチコピーを編集部メンバーに考えてもらっている。プロのライターである以上、誰もが納得する名文を創出してくれる……はず。

さて、今回は「運動会」だ。秋の風物詩であり、学校や地域などで催される一大イベント。猛暑が長引いていて秋らしさを感じないものの、運動会の光景はやっぱり秋にふさわしいものと感じる。

ということで、今回もコピーの優劣は皆さんの投票で決まる! 投票、よろしくお願いします。また最後に次回のお題のコピー公募も記しているので、本稿末尾までお読み頂きたい!

・前回の答え合わせ

まずは前回「映画館」の答え合わせだ。この投票でもまた一般作品が上位に食い込んできている。辛くも編集部メンバーが1位を死守したものの、1位の座を奪われるのはもはや時間の問題。回を重ねるごとに、皆さんの腕も上がってきているので、上位3作品が一般作になる日も、そう遠くはないのかも。マジでやばい……。

それぞれの名前の後ろの星印は、これまでの1位の獲得回数を示している。


1位 「いちばん手軽な、別世界」 砂付近☆☆
2位 「配信は視聴、映画は体験」 矢田菜奈さん
3位 「作品と共に “誰と観たか” も思い出に。」 GO羽鳥
4位 「やっぱりここでしか味わえないものがある」 原田たかし☆☆
5位 「ポップコーンを1番美味しく食べる場所」 P.K.サンジュン☆☆☆
6位 「別の人生に思いを馳せる2時間」 御花畑マリコ☆
7位 「迫りくる圧巻の映像! 音響!! そして尿意!!!」 あひるねこ
8位 「その暗闇はすべての感情に続くトンネルなのだ」 さふぁりさん
9位 「多人数の孤独なエンターテイメント」 ほにゃららさん
10位 「弾けるほどの、大迫力を浴びに来た!」 イナバタクヤ
11位 「起きたままでも夢を見られる」 佐藤英典
12位 「想像と現実が行き交うターミナル駅」 古沢崇道☆☆☆☆
13位 「トトとアルフレードの話の続き、ここにあります」 和才雄一郎☆
14位 「歌が終わっても続くエンドロールが永遠に感じられる」 砂子間正貫
15位 「「なんでそうなるの?」と何度も娘に尋ねられ、話は頭に入ってこなかったけど、娘との距離はずっと近づいた」 Yoshio
16位 「最近の映画館の音響が立体すぎて音楽映画をスクリーンで見るのが大好きになりました」 中澤星児☆


以上の結果となった。今回砂付近が2回連続1位を獲得、2位には矢田菜奈さんが食い込んだ。前回のドライブでもblueknightさんが2位に入り、砂付近が1位を守っている。

編集部メンバーの中でも最若年の彼女がいなければ、あっさり1位を譲り渡すことになったかも。最年長の私はいまだに1勝もあげられない状況が続いている。我ながら不甲斐ない……。


今回選ばせて頂いた3作品についても、簡単に解説したい。

矢田菜奈さんの「配信は視聴、映画は体験」、最近の映画視聴について端的に表現している。同じ作品を観るにしても、手元とスマホと劇場のスクリーンとではまったく別モノだ。それと「視聴」と「体験」で区別することによって、手元の映像では得難い感動があることを伝えている。

さふぁりさんの「その暗闇はすべての感情に続くトンネルなのだ」は、劇場の暗闇をトンネルになぞらえている。そのトンネルが行きつく先は「すべての感情」。喜びも悲しみも興奮も感動も、劇場のトンネルをくぐった向こうに待ち構えている。映画の鑑賞に対する期待を上手く表現している。

ほにゃららさんの「多人数の孤独なエンターテイメント」は、劇場そのものよりも映画の鑑賞体験について上手く端的に語っている。たとえ満席であったとしても、本編が始まれば皆、作品の世界に入り込んでしまう。すなわち、鑑賞自体は孤独ではあるけど、ふと現実に目を向けると真横に人がいる。大勢で観ていることを忘れさせてくれるのも、映画館で鑑賞する醍醐味だ。

今回のテーマにも多くの秀逸な作品がよせられている。たくさんのご応募ありがとうございます。選定にはかなり苦労しましたよ。


・今回は「運動会」

さて、今回は「運動会」だ。これもまた皆さん、それぞれに深い思い出のあるテーマだ。良き思いでも悪しき思いでも携えた、年中行事のひとつである。

コピーを考えるに当たって、運動会は切り口になる要素がいくつもある。グラウンドの熱狂やリレーや騎馬戦などの興奮。かけっこの勝敗にまつわる感情の浮き沈みや、家族や友人たちの応援などなど。どこに目を向けてもドラマばかりだ。

今回も約160作品もの応募を頂いており、比較的多く頂いた内容は「家族」に関するものである。両親の声援や家族と食べたお弁当、早朝の場所取りやカメラ撮影に至るまで、頂いた作品からさまざまな景色が垣間見える。

それらの中から、今回は編集部メンバー13作 + 一般3作の計16作品を選出。その内容は以下の通り。


1.「肉眼で見て、心に保存したい」


2.「頑張れば、負けても勝っても金メダル!」


3.「赤組、白組、ウルトラマン」


4.「みんなの笑顔が1等賞。」


5.「家族で囲むお弁当タイムが幸せだった」


6.「リレーの感動は映画を超える」


7.「負けて悔しいのが実は親。それもまた良き思い出」


8.「我が家のオリンピック」


9.「運動会が楽しくなかった人へ伝えたい。「お前は1人じゃない」と」


10.「実は親の方が楽しみ、運動会」


11.「意味不明な応援歌が正々堂々と歌われるほどの熱狂」


12.「パパのカメラとママの声援、どっちも全力疾走」


13.「来賓席の誰なのか分からなさは異常」


14.「今では笑える泣きべその記念写真、撮っててくれてありがとう」


15.「人生で唯一、雨と風邪を願った日」


16.「一年で、1番お弁当が嬉しい日」


・そのほかの優秀な作品

そのほかにも良いと思うものが多数あったので、そのうちから5作を紹介させて頂こう。


◆ユカリンさん「父のファインダーの中ではわたしが一等賞」

実際の順位はどうあれ、父親の覗くファインダー越しには、ド真ん中に自分がいる。学生時代の写真を見返して、必死に走る自分の姿を見つけて、父親の思いに触れた様子がよくわかる、心温まる作品だ。


◆危濃丸さん「ごめんなさい、雨で中止を願ってた」

体育が苦手で運動が嫌いだった私(佐藤)にも、この気持ちがよくわかる。勝ち目のない競争を強いられている気がして、中止になることを願っていた。でも、そんな時は決まって快晴で、腹が立つほど清々しい秋晴れ。幼心に神様を呪う気持ちになったものだ……。


◆ゲソ天さん「YMOのライディーンが走りの魂を揺さぶる」

運動会はだいたい毎年BGMが決まっている。オッフェンバックの『天国と地獄』は定番中の定番で、ときどきその当時の流行り曲が流れたりもしたものだ。YMOの『ライディーン』も流れていた覚えがある。

当時はその曲の名前すら知る由もないが、高校生くらいになって「あれだったのか!」と、答え合わせできて感動したものだ。個人的には、T-SQUAREの『Truth』もよく聞いた覚えがある。


◆reaperさん「只々沸け、その若さがお前を灰(High)にする」

燃え尽きて「灰」になるのと、気分が上がる「High」のダブルミーニング。この企画で言葉遊びを楽しんで頂けて何よりです。


◆ひかさくさん「見返した動画の主役は知らない子だったけど、それは家族の一生の笑い話になった。」

状況を想像して笑ってしまいました(笑)。「え、コレ誰!? 私じゃない!」ってなったんですかね。お父さん、ドンマイ(笑)。


さて、今回の投票結果はどうなるのだろうか? そろそろホントに一般作品に1位を奪われてしまいそうな……。引き続き、皆さんにご参加頂きたいので、ご応募よろしくお願いします。次のテーマは久しぶりにモノで行きましょう。次は「サンマ」にしたいと思います。

我こそは! という人は、ぜひ応募して頂きたい。たくさんのご応募、お待ちしてます! そして、先に挙げた16作品への投票もお忘れなく! よろしくお願いします。

執筆:佐藤英典
イラスト・Photo:Rocketnews24

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