先日、プチ旅行で埼玉県の秩父に行ってきた。

池袋から超快適な特急ラビューで74分、しかも特急料金も710円と高くないし、めっちゃいい所じゃん。

レトロ感の残る街並みとか、秩父神社も良かったんだけど、まさか一番忘れられないのがアレになるなんて思わなかった。

・秩父グルメ

旅といえば、ご当地の料理を食べるのが楽しいわけで。

まず、秩父は水が綺麗だからか、そば屋さんがめちゃくちゃ多かった。過去には当サイトの人気連載「家そば放浪記」でも、『武蔵屋 秩父そば』『特撰 せきたの荒挽 地そば』といった秩父のご当地そばが紹介されている。

あとは「しゃくし菜漬け」という、ご当地野菜の漬物を合わせたものが人気。私も道の駅でしゃくし菜漬け入りのそばを食べた。少し酸味の効いた、シャキッとした漬物は食べやすくて、いかにも山の幸といった味わい。

だが、私の心をつかんだのはこれではない。


・大行列の味噌豚

そして、もう一つの秩父名物が「みそ豚丼」

豚の味噌漬け焼きをご飯に乗せたものなんだけど、休日はどこの店も大行列!

私は泊まったホテルの夕食で食べたけど、たしかに味噌のこうじの力で豚肉が柔らかくなってて美味しい〜。思ったより上品な味わいだった。

あまりにも並びすぎてて食べられなかった「新世界」という店の豚の味噌漬けを買って帰ることにした。

だが、やはりこれも私の心をつかんだグルメとは言い難い……!


・忘れられなかったのは……

では、私の心をとらえて離さなかった秩父グルメは一体なにかというと……。


みそポテトである



味噌もポテトも秩父じゃなくてもあるだろ! と思ったのだが、この「みそポテト」というB級グルメ、まじで秩父の至るところで推されまくっているのだ。

秩父のご当地ゆるキャラ「ポテくまくん」も、このみそポテトがモチーフになっているし。お土産物屋さんから飲食店にいたるまで、どこに行っても必ず「みそポテト」が置いてあるといっても過言ではない。

この「みそポテト」の恐ろしいところは、ふかした芋に味噌をつけた食べ物ではないということ。予想と全然違う味だった。

小さめのジャガイモに、天ぷらの衣をたっぷり付けて揚げてあって、さらに、そこにあま〜い味噌ダレがかかっている!

まず、ベースとなったジャガイモの天ぷらが「フライドポテト」とは一風違った味わいってところがポイント。

私が食べたものは、マッシュポテトを丸めて衣をつけて揚げたような唯一無二の風味で、衣のカリカリ感と芋のほっくり感が同時に楽しめた。

そして、なんといっても味噌ダレ。これがビックリするほど甘いんだけど美味しい! 味噌の甘さの奥に砂糖のじゃりっと感と、フルーツの酸味さえ感じるような、不思議な味わい。

なんというか、ジャガイモの天ぷらとみたらし団子が駆け落ちして、秩父でひっそりと産んだ子供……みたいな味なのだ。

みたらし団子が好きな人、そして芋料理を愛する人ならばトリコになってしまうような、唯一無二のクセになるB級グルメなのだ。世の中に芋料理は数あれど、この味わいは未知だった……!

秩父のお土産売り場では「みそポテト」の冷凍食品のほか、みそポテト味のスナックなども大量に並んでいて、当然買って帰ったのだが、うますぎて速攻で食べてしまい、写真を撮り忘れてしまった。

・れっきとした郷土料理

なお、みそポテトはB級グルメ……といったが、農林水産省のサイトによると、秩父地方に昔から伝わるれっきとした郷土料理らしい。

秩父地方では、農作業の合間に食べる軽食を「小昼飯(こじゅうはん)」と呼ぶ風習があるそうで、みそポテトもそのひとつ。かつて、小ぶりのジャガイモをいろりで焼いて、みそをつけて食べていたのが起源だと言われているそうな。

タレが甘めなのも、おやつであり、農作業で疲れた体のエネルギー補給のためだったのかもしれない。本当に想像以上に独特のくせになる味なので、ぜひとも全国で食べられるようになってほしい……!

参考リンク:農林水産省 うちの郷土料理秩父市
執筆:御花畑マリコ
Photo:RocketNews24.