
「めしどろぼう」と聞いて、長崎県の名物を思い浮かべる人も多いだろう。
長崎のは “泥棒” を漢字で書き、そのまま食べる味噌(なめみそ)で島原伝統の一品だ。
しかし今回紹介するのは、岐阜県飛騨地方生まれの「めしどろぼう漬(298円)」。
こちらは “どろぼう” がひらがなで、「どろぼ漬」と記されることもある。赤かぶらを使ったまったく別物の漬物だ。
岐阜出身の私にとっては、これもソウルフードと胸を張って言える一品である。
・飛騨伝統の赤かぶらを使った「うら田」の逸品
この漬物を作っているのは、飛騨地方の老舗漬物店 うら田。
飛騨に古くから伝わる赤かぶらを、うら田独自の製法で加工・味付けした自慢の商品だ。
さっそく、袋から取り出すと、赤かぶらならではの鮮やかな赤色が目を引くが、これは赤かぶらの自然な色である。
ほどよく熟成された酸味と香辛料の香りが食欲を刺激する。
あぁ、食卓が一気に飛騨の山里になったような気分になる。(私は美濃地方出身なので、実はあまり飛騨地方に行ったことがないが……)
・一口でごはんが消える……まさに “めしどろぼう”
まずは炊きたてごはんにのせてひと口。
……うん、やっぱり美味しい! これは止まらない。
シャキシャキとした赤かぶらの食感に、爽やかな酸味がいいアクセント。シンプルなのに深みのある味わいで、白いごはんがみるみる消えていく。
気づけば茶碗が空っぽで、名前に “どろぼう” がつくのも納得だ。
・アレンジを試すつもりが……
公式では「めしどろぼチャーハン」なるアレンジレシピも推奨されている。
細かく刻んで炒めごはんと混ぜれば、絶対に美味しいに決まっている。
……のだが、実際はアレンジを試す前にそのまま食べ切ってしまった。
なぜならこれだけで十分すぎるほど美味しいからだ。特に、酒のつまみとしての実力は高い。
キンキンに冷えたビールや日本酒との相性が抜群で、気づけばごはんどころか酒まで進む進む……。
これはもう「めしどろぼう」ならぬ「酒どろぼう」ではないか。
・長崎とも岐阜とも、 “どろぼう” にご注意を
「めしどろぼう漬」は岐阜県内のスーパーや土産物店、道の駅などで購入可能である。
袋入りで持ち運びやすく、日持ちもそれなりにあるので、ちょっとした岐阜土産にも向いている。
最近はAmazonなどのショッピングサイトやアンテナショップでも手に入るので、岐阜まで行けなくても楽しめるのが嬉しいところだ。
改めて言うが、長崎の「めし泥棒」はなめみそ系、岐阜の「めしどろぼう漬」は飛騨伝統の赤かぶら漬け。
名前は似ていても、中身はまったく違う “どろぼう” だ。
漬物好きはもちろん、白米好き、酒飲みまで魅了する危険な一品。
岐阜を訪れた際はぜひ現地で味わい、そして自宅の食卓でもどろぼう被害を体験してほしい。
ただし、白米とお酒が知らないうちになくなっているので要注意である。
参考リンク:飛騨の漬物 うら田 めしどろぼう漬、Amazon
執筆:夏野ふとん
Photo:RocketNews24.