
つい先日、仕事の関係で人生初の長崎県を訪れた。無知でお恥ずかしい限りだが長崎市は坂が多く、早々に私(サンジュン)のHPは赤になってしまった。いや、マジで坂の質がエグいんだよ。
気温は33度。もうタクシーに乗るしかない……とタクシーに乗り込み、かねてから食べてみたかった長崎名物「トルコライス」の店をリクエスト。その30分後、私は何故か茶碗蒸しを食べていたのである。
・エゲツな坂
後になって知ったことだが、長崎は自発的に「坂の街」として売り出しているほど坂が多いんだそう。タクシーの運転手さんによれば坂の影響で自転車が極端に少なく、逆に原付やバイクが非常に多いそうだ。
長崎には「出島」や「ハウステンボス」くらいのイメージしかなかったが、そうか、長崎は坂の街なのか。結構な勾配のためか、長崎は上海&モナコと並び「新世界三大夜景」にも認定されたそうだから、みんな覚えておこうな。
・憧れのトルコライス
あ、さて──。長崎という街にはさほど多くの印象が無かったものの、かねてから「長崎グルメ」には非常に興味があった。長崎ちゃんぽんやミルクセーキ、桃鉄で知った「びわゼリー」もせっかくなら食べてみたい。
中でも「絶対に食べる!」と決めていたのが『トルコライス』で、これは中学生の頃に読んだクッキングパパが影響している。荒岩主任(当時)が田中のために作ったトルコライスがメチャメチャ美味しそうに見えたのだ。
トルコライスとはナポリタン、ピラフ、揚げ物が集合した「大人のお子さまランチ」とも呼ばれるワンプレートグルメのこと。坂道に削られた体でタクシーに乗り込み「長崎で1番美味しいトルコライスの店までお願いします」とリクエストした。
運転手さん「トルコライスは結局、その人の好き好きが大きいんですが、私が1番美味しいと思うトルコライスのお店にお連れしますね。店によっての違いですか? 味付けもそうですが、どんな具がのってるかで店の個性が出てますかね~?
いま浜町にある「ニッキー・アースティン」というお店に向かってるんですが、私は1番好きです。ランチタイムは結構混んでるんですが、この時間なら大丈夫でしょう」
・うそん
到着したのは10時45分頃。目的地の「ニッキー・アースティン」は11時にオープンするらしい。年配の運転手さんは「長崎を楽しんでください」と言い残し、軽やかに去って行った。
……のだが。
11時を迎えようとしても「ニッキー・アースティン」のシャッターは開く気配がない。……まさか? 恐る恐る店頭の張り紙を見てみると……
休日……!
マジか。「1番乗り~!」と浮かれていた私は大馬鹿野郎である。もう1度タクシーに乗るか? それともネットで調べるか? その時頭によぎったのが運転手さんが話していた「茶碗蒸し屋」の存在だ。
・長崎代表グルメ
ニッキー・アースティンのすぐ近くには吉宗と書いて「よっそう」と読む有名な茶碗蒸しのお店があるそう。長崎を代表する有名店で「いつも並んでますねぇ」と言っていたのを思い出した。
ならばとトルコライスをいったん諦め茶碗蒸しの吉宗へ。オープン直前の店頭には20名ほどの行列が出来ていたので、やはり運転手さんが言うとおり長崎を代表する有名店のようだ。
注文したのはお店で1番人気だという「御一人前」で価格は1650円。こちらは茶碗蒸しと丼のセットで、店内にいたほとんどの人が頼んでいた。またお客さんは地元の人と思(おぼ)しき年配の方が多い印象である。
・歴史を感じる味
さっそくいただいてみるとまあまあボリューミーな茶碗蒸しは確かにウマい。上品なお出汁もトゥルトゥルの蒸し加減も「完璧」と申し上げていいだろう。これが長崎の味か……!
一方で茶碗蒸しはどこで食べても美味しいグルメであるため、突き抜けた感動にまでは至らなかったことも事実。錦糸卵やでんぶが入った丼も「お上品で手堅い美味しさ」といったところだろうか?
聞けば吉宗は1866年(慶応2年)創業の歴史があり、建物も歴史的建造物として知られているそう。また桃鉄最新版の長崎には、吉宗をモデルにしたと思われる「茶碗蒸し屋」もあるようだ。
残念ながら当初の目的だったトルコライスにはありつけなかったが、長崎初グルメが吉宗であったことは、それはそれで思い出深いものになるだろう。タクシー運転手さんの底力恐るべし……と身に染みた残暑の長崎であった。
・今回訪問した店舗の情報
店名 吉宗お食事処 浜町本店
住所 長崎県長崎市浜町8-9
時間 11:00〜19:30ラストオーダー
定休日 月火(祝日・繁忙期は除く)
参照元:吉宗
執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.