
奈良県桜井市と言えばそうめん発祥の地とも言われ、現在もそうめんの製造販売が活発だ。そうした地で文化8年(1811年)より、そうめんをはじめとする麺づくりに取り組む会社がある。
北村製麺所というのだが、そちらが出している「うどん」を自宅で茹でて食べようとした時のこと。トータルで少なくとも30分はかかるという、一筋縄ではありつけない麺で衝撃を受けた。
・これがプロ仕様
北村製麵所はそうめんや抹茶入り蕎麦にはじまり、今では葛きりなど商品展開をしているよう。料亭やホテル、レストランなどプロ向け需要が高いとのことだ。
とは言え、一般向けに販売されいる商品も多い。今回記者がいただいた「うどん なべの主人公(5袋 2160円)」もそうだ。そんな訳で昼ご飯として食べようと、気軽な気持ちで袋を手に取った。
何分くらい茹でればいいのだろうか。最近のそうめんやそうめん屋さんの出す関連商品は、年々茹で時間が短くなっている印象がある。今回もまた、すぐに茹でてすぐに食べられるつもりでいたのだが……。
茹で時間10分、OKOK、ここまでは予想の範囲内。しかしながら、そこからさらに蒸らす必要があるようなのだ。しかも20分ほど。つまりトータルで30分は、少なくともかかるということ。
これが、プロ仕様の麵なのか!!? 思わず食べるのが面倒になりそうだったが、生憎(あいにく)我が家にはほかにロクな食材がない。昼ご飯を食いっぱぐれないためには、このうどんをどうにかするしかない。
意を決して、330g入りのうどん乾麺を開封。1食分だけ茹でようかとも思ったが、2~3日冷蔵庫で保存が効くようだ。改めて時間をかけるのも億劫(おっくう)なので、まとめて全部茹でることにした。
・茹でて蒸らして食べてみる
たっぷり湯を沸かし、乾麺を茹でようとしたのだが、初っ端からアクシデントが。麺が長くて約37㎝あり、うまく鍋(記者は大きめのフライパンを使用)に入らないのだ。
じわじわと押し込んで、ようやく鍋に収めることが出来た。恐るべしプロ仕様麺。そこから10分測り、茹でていく。見た感じは、よくあるうどん麺で小麦の良い香りがする。
10分経ったところで、蒸らし作業に入る。蒸らし方の具体的な方法は袋に記載されていなかったので、どうかなあと思いながらも、ただ蓋をして20分待つことにした。
そんなこんなで20分後、蓋を開けると湯気がブワッと立つ。蒸らしている間に冷めるかと思ったが、温かいままで驚いた。
釜揚げうどんで食べると、最も風味が生きると書いてあったので、そのままお湯と麺とを皿に移す。残りは冷水でしめて、冷蔵庫で保存することにした。
湯の中に入れたまま蒸らして伸びていないか気になっていたが、食べてみると全くそんなことはなかった。中身のギュッと詰まった、小麦を感じるうどんでお腹に溜まる感じだ。
確かに香りが良く、噛めば噛むほど美味しい。やや硬めの、しかしコシがしっかりあるという訳でもない、程よい具合で個人的には好きだ。
この絶妙な加減は、蒸らしたからこそだろうか。じわじわと熱が入ったことによる効果であると感じる。
水で冷やしたバージョンも少しだけ味わってみたが、より麺がキュッとして食べ応えがあった。どのような形で食べても美味しいうどんで、さすがはプロ御用達だ。
・3日後のうどんは如何に
大満足であるが、まだまだ冷蔵庫に残っているんだった。3日置いてから、今度は焼うどんにして食べてみることにした。
冷蔵庫から取り出したうどんは、スーパーでよく見かける袋に入った茹で麺のよう。そう言えば、ああいった商品も茹でて時間が経ったものを販売しているのだから、冷蔵庫保存もアリなのだろう。
具材を炒めうどんをドボンして、焼うどんが完成。見た目通り、食感もスーパーで売っている茹でうどんのようだった。茹でたてよりも麺が柔らかくなって、これはこれで美味しい。
これだけの期間保存ができるのであれば、最初に30分の茹で蒸らし時間が必要であっても悪くはない、むしろ良いのではと思えてきた。
なんでも手軽に時間は短く済ます、という時代に逆らうような「うどん」に、はじめは驚いたものの結果オーライ。今後もちょくちょく利用しようかなと思ったりしている。
参考リンク:北村製麺所 うどん
執筆:K.Masami
Photo:Rocketnews24.
▼しっかりした麺
▼結構な長さがある
▼茹で時間、蒸らし時間がかかるけれど美味しい
▼水でしめたのち保存もできます
▼いろいろな食べ方をしてみよう