
灯台下暗しとはこのことか……。
中央線沿線でよく飲食する筆者はこの界隈でダルバートを提供するネパール料理店はある程度把握しているつもりだった。ところが……である。JR阿佐ヶ谷駅北口至近の「ナマステヒマール」でダルバートを出しているなんてついぞ気づかなかった。
・完全にインネパ店だと思い込んでいた自分を責めたい
阿佐ヶ谷駅北口から徒歩30秒ほどの商業ビルに入る同店の存在はもちろん知っていた。何ならここでインドカレーを食べたこともあった。
阿佐ヶ谷と隣駅の荻窪にはネパール人学校もあり、ネパール人住民も多く、ネパール料理店や食材店も豊富だ。ただ、ナマステヒマールのことは完全な「インネパ店」だと勝手に思い込んでいたのだ。ごめんなさい。
インネパ店とはネパール人が経営するインド料理店のことで、バターチキンカレーをはじめとする北インド系のカレーとナンを提供するような形態の店。
だって、ナマステヒマールは店外に張り出されたメニューを見てみても……
店内のグランドメニューも完全にインネパ系のメニューばかりで “ネパール” が感じられなかったし……。
「豆腐とアボカドのサラダ(650円)」なんていう酒飲みには嬉しいツマミ系メニューやお酒も充実している店だとは認識していたのだが。
それがある日、店の前を通りすぎるとダルバートやモモ(ネパール風蒸し餃子)などのネパール料理の張り紙を発見し、思わず足を止めてしまった。
取り急ぎ入店し、店員さんに「ダルバートあるんですか?」と尋ねてみたところ、なんと奥から「ネパールメニュー」を持ってきてくれた。店員さんに話しかけないとネパール料理にたどり着けないなんてRPGや謎解きゲーム的ではないか……。
メニューを開いてみると……ノーマルのモモの他にもスープモモやエベレストモモまで取り揃え、さらにスクティ(干し肉)、チョイラ(肉のスパイス炒め)、ブタン(モツ炒め)とネパールを代表する料理がズラリと並んでいるではないか。
ページをめくると干し肉や干した米などのツマミ系メニューが魅力的なカジャセット(1100円)やネパールやインドでよく食べられている軽食であるパニプリ(600円)まであったなんて。
そしてネパール国民食・ダルバート(スペシャルカナセット / 1000円)もあるではないか! 完全にインネパ店だと思い込んでスルーしていた自分を責めたくなってしまった。
・上級者にこそ食べてもらいたい「 “変則的” インネパ系ダルバート」
というわけでスペシャルカナセットをマトンでオーダー。インネパ店らしく辛さも選べるので辛口にしてみた。
内容は左上から時計回りにダルスープ、ダイコンのピクルス(アチャール)、紫タマネギとキュウリのスライス、マトンカレー、たっぷりのライス、パパド(豆から作られた煎餅のようなもの)という質実剛健なラインナップ。
しかし、ひきわり豆のスープ「ダルスープ」はいつもと様子が違う。スープというより明らかにカレー寄りのヴィジュアルで香りもカレーのそれだ。
味はどうだろう……うわっ、辛い! 完全にインネパ店のカレーの方向性だ。だが豆の甘みを奥の方に感じる。ダルスープというよりはダルカレーや豆カレーといった味わい。ライスに合うのは間違いないだろうが、一般的なネパール料理店のダルスープとはまったく印象が違う。ある意味で新鮮。
パパドを砕き、ダルスープという名のダルカレーをライスにかけて「ネパール式ねこまんま」を堪能していく。
うん、完全にお豆のカレーwithライスだ。無印良品で売っていそうな万人受けする味とも言える。
マトンカレーのマトンは骨付きで噛みしめるとうま味を感じるとともにこちらも奥の方にいい意味での羊臭さを感じられる。が、カレー自体の味わいや口当たりは完全にインドカレー店のものだ。
人生で初めて「これがネパールのダルスープとカレーだよ」と勧められ、同店のダルバートを食べたら「ネパール料理ってインド料理とほぼ一緒じゃん」と思ってしまうだろう。
印象としては “ネパール料理とインネパカレーの中間” 。ある意味でネパール料理上級者にこそ食べてもらいたい「“変則的” インネパ系ダルバート」といった一皿に仕上がっている。
アチャールはマスタードがビシッと効いていて大人仕様。これは完全にネパールの味だ。
インネパ的ダルスープとマトンカレー、アチャールなどのおかずをすべて重ねていく。
「これが一般的なダルバートなのか?」と問われると答えに窮してしまうが、カレーとしてはかなり美味い類(たぐい)。というわけで一気に完食。ライスたっぷりなので腹パン。
店員さんも気さくでホスピタリティにあふれ、店自体がしっかりと広いので家族連れにもオススメ。近所にあってほしい良店だ。
・今回訪問した店舗の情報
店名 ナマステヒマール阿佐ヶ谷(Namaste Himal ASAGAYA)
住所 東京都杉並区阿佐谷北2-13-20
営業時間 11:00~翌0:00
定休日 無休
執筆:ダルバート研究家・田中ケッチャム
Photo:RocketNews24
▼店内ではインネパ店やインドカレー屋でお馴染みのサラダドレッシング(500円)も販売中。
▼ネパールの硬貨も展示されていてなかなかに楽しく学びにもなるぞ。
田中ケッチャム



















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