新宿駅西口の小田急ハルク1階に昭和の雰囲気が漂いまくっている老舗喫茶店がある。1955年創業の「珈琲の店 ピース」は、看板の書体からして作り物ではない “本物感” がビシバシと感じられるため、初見ではなかなか入りづらいかもしれない。

しかし先日、西口で少し時間を潰す必要があったのでピースに入ってみることにした。40代になっても紳士淑女の社交場のようなオーラを放つ喫茶店に入る前は緊張してしまうが、レジェンド純喫茶で優雅な時間を過ごしてきたぞ。

・珈琲の店 ピース

学生時代から同店の存在は知っていたものの「サラリーマンの天国」という認識で、いつか自分もこういう喫茶店で新聞を読みながら珈琲と煙草をたしなむ日が来るのだろうと思っていた。

しかし40代になっても同じ気持ちのまま。きっと店内には背広を着用したサラリーマンが煙草をふかしながら新聞を広げているのだろう。そう思いながら入店すると……想像以上にイメージ通りの世界が広がっていた

喫煙OKかつ平日の昼間だったからかもしれない。人生の先輩方がまさに煙草 & 珈琲 & 新聞でくつろいでいる。当時20代の私が40代になり、当時40代だった方が60代になっても変わらずに通い続けているのだろう。きっとそんなお店なのだ。



・テーマパーク感

店内は思ったよりも広い。ってか、奥にやたらと長い。ご自由に選べるスタイルだったので真ん中あたりのソファ席についた。


メニューは純喫茶そのもの。あまり悩むことなく「北海道ホットケーキとブレンド珈琲のセット(980円)」を注文。


そういえば、店員さんは舞台役者のような佇まいで、接客も舞台セリフを読むような独特なものだった。昭和レトロ純喫茶テーマパークのキャストさんみたいな雰囲気。まさに大人の社交場といった感じか。



・ホットケーキとブレンド珈琲

やってきたのは、やはり純喫茶のイメージそのまんまのセット。さすが老舗、安定感のある見た目である。

ブレンド珈琲は華やかな酸味というより引き締まった酸味で余韻が短め。煙草との相性も考えられているのだろうか。私は煙草を吸わないが、歴史ある純喫茶のブレンド珈琲にも色々違いがあって面白い。

素朴なホットケーキは十勝平野の小麦粉と牛乳を使って、香りよく焼き上げたという。しっとり、ふかふか。歴史と伝統に育まれた定番の味。流行の味というより昔から変わらぬ味である。たぶん。

後で調べたところ、藤子・F・不二雄先生が西新宿のスタジオに出勤する前によく同店に立ち寄っていたそうだ。暇つぶしがてら聖地巡礼までできてしまうのは新宿駅前という立地だから。F先生が飲んだブレンド珈琲と考えたらアツいぞ……皆さんも機会があればぜひ!


・今回ご紹介した飲食店の詳細データ

店名 珈琲の店 ピース
住所 東京都新宿区西新宿1-5-1 新宿西口ハルク1F
時間 11:00〜21:30
休日 新宿西口ハルクに準ずる

執筆:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.