なにかとコンプライアンスが厳しいこのご時世、「痩せる」と堂々と言い切る商品は以前に比べてかなり減った。それも当然で、「やり過ぎだろ」と思われたら各方面からペナルティを食らう。特に、健康に関わる商品の場合は。
だからこそ、「痩せる」ではなく「脂肪燃焼効果が期待できる」とか「代謝アップが見込める」といった “言い切らない表現” が世の中に溢れているわけだが……そんな時代の流れに逆行する中華料理店を池袋で見つけてしまった。
なんと、ラーメンなのに「痩せる」と謳(うた)っているのだ。色々な意味で大丈夫ですか?
・たぶん痩せない
店の看板を見てみると、「逸品セット(980円)」「肉盛りセット(1280円)」「ガチ中華セット(1580円)」「野菜セット(880円)」「糖質制限セット(1180円)」といったメニューが並んでいる。
なるほど。「糖質制限セット」ならばたしかにダイエット向きのメニューと言えるかもしれないなと思いながら見ていたら……え!?
15:00までランチご飯無料
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絶対に痩せねぇぇぇぇえええええ!!!! ――と盛大にツッコんでしまったが、看板の上部で「痩せるラーメン」と書き、下の方に「ご飯無料」と書くのは逆に心地いい。
なんだか気になったので、その店(四川麻辣湯)に入店してみることに。
・ガチ中華
お店の中に入ると、客席とは別に食材が並ぶカウンターがあった。日本人の私には馴染みのないものもズラリと揃っており、いかにもガチの中華という感じ。
また、お店のスタッフはお客さんと中国語でやり取りをしていて、店内全体が日本っぽくない。
一瞬「日本語が通じるかな?」と思ってしまうほど、店内は中国。実際は余裕で通じるので心配無用だが、要はそれほどガチ感が強い。王将や日高屋の中華感とは全然違う。
ちなみに、注文はスマホから行う形で、QRコードを読み込んでみると……
スープの辛さや麺の種類などを自分で選ぶタイプのようだ。で、私は表の看板にあった「糖質制限セット」を探していたのだが、なんだかそれっぽいものが見当たらない。
売り切れたのかな? と思って探していたら、「美容セット(1280円)」というものを発見。「糖質制限セット」と近いものを感じたので、これをタップした。すると……
中国語がめっちゃ多い。それだけ、店の利用者に中国の人が多いのだろう。読むと「これ何?」となるところがちょくちょくあったが、いちいち聞くのも面倒なので適当に選んで待つことしばし。出てきたのがこちらだ。
ザ・麻辣という香りが漂っており、普通に美味しそう。ただ、正直なところ「痩せるラーメン」の看板を見たときから、私は味にそこまで期待していなかった。
「痩せる」と言い切ってしまう大胆さに興味を惹かれたということは、見方を変えると「粗いのが気になった」ということ。なので丁寧に調理しているのか疑問という印象があったのだが……
普通に美味しいではないか。スープはしっかり辛いものの、コクがあるから食べやすい。特にこれからの季節は美味しく感じるだろう。
まぁ、ちょいちょい見慣れない食材が出てくるが……全然いける。これはいい意味で裏切られたぞ。
痩せるかどうかは置いておいて、味としてはアリだ。ただ、池袋という土地柄、周辺に美味しいラーメン店が多いので、このラーメンに1280円払う価値があるかどうかは人によるだろう。
というか、表の看板に「痩せる」とか書かない方がいいのでは? 書くことによって「なんだか怪しい」という印象を与えてしまっているような?
――という気がしたが、それは日本人的な感覚であって、ガチ中華的には不確かなこともガンガン言い切ってアピった方がいい……ということなのかもしれない。
はっきりしたことは分からないが、とにかく美容セットは美味かった。現場からは以上だ。
・今回ご紹介した飲食店の詳細データ
店名 四川麻辣湯
住所 東京都豊島区西池袋1-38-2
時間 11:00〜22:30
執筆:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.