東北地方ではお馴染みの日本茶&和菓子店「喜久水庵(きくすいあん)」。「お茶の井ヶ田」が運営しており、季節ごとの茶葉のほか、大福やどら焼きなどの茶菓子を販売する。

テイクアウトのイメージが強いが、宮城県には「本店」と呼ばれる特別な店舗がある。県内6つの本店には和風レストランが併設。蕎麦や天丼などの飲食を楽しめる。

なかでも自分で仙台名物や団子を焼き上げる「炭焼き団子」が面白い! 美味しく楽しく香ばしく、旅の思い出になること間違いなし。筆者が初めて体験したときの感動をお伝えしたい。


・「炭焼き団子<松>」(税込1580円)


(※メニューは2024年10月21日にリニューアル。写真はリニューアル前のもの)

ラインナップは「松・竹・梅」の3種類。旅行者なら、ここはぜひとも特上の「松」にしたい。タブレットで注文したら、準備ができるまでしばし待機。

運ばれてきたのは「懐石料理か!」と言いたくなるような、目にも鮮やかなお膳。テーブルの上がパッと華やぎ、笑顔にならずにはいられない。

卓上では七輪が温まっている。直火に比べ、炭火は団子がふっくらと焼き上がるのだという。

セットのドリンクは、煎茶・コーヒー・抹茶からチョイスできる。税込165円でおかわりも可能。


具材のお皿を見てみよう。「松」の場合、3玉団子×2本、よもぎ団子、角餅、蔵王チーズバウム、笹かまぼこ、油揚げ×2個という構成。さらにトッピングとして抹茶クリーム、みたらしだれ、ずんだ、小倉あん、醤油&薬味(七味、山葵)が付いてくる。


さっそく調理開始。英国アフタヌーンティーにならって「しょっぱい」→「甘い」の流れにすべきか、それとも途中の味変(あじへん)要員として「しょっぱい」を残すべきか……。悩ましいが、まずは「おかず系」の笹かまぼこと油揚げを焼くことにした。

宮城の油揚げといえば、過去記事でご紹介した「三角定義あぶらあげ」が有名。はふはふと頬張る厚揚げは絶品だ。

油揚げはすぐに焼き目が付く。醤油や七味を添えて食べれば、空気のように軽いサックサクの食感が脳天を突き抜ける! 煮物や味噌汁の油揚げとはまったく別モノに変身して感動!


お土産の定番・笹かまぼこも、ほんのり炙って食べれば風味が何倍にも増す! お酒を飲む人なら「くぅ~、たまらん!」とこぶしを握りしめるはず。


甘味に移ろう。焼き加減は各自の好みでOK。


抹茶クリームとみたらしだれは、縦長の串団子にもたっぷり付くよう筒状のグラスに入っている。ほのかに焦げ目の付いた団子を投入し……


これもう、旨いに決まってる! 炭火で炙った香ばしい団子に、ほろ苦の抹茶クリーム! お茶屋さんだけあって、抹茶の美味しさは折り紙つきだ。


一方のみたらしは、甘じょっぱいタレが食欲増進。日持ちがするスーパーのパック売り団子などは「煮詰まってる……?」とがっかりすることがあるが、喜久水庵のタレはたっっっぷり付けても塩気が強すぎない。実に「いいあんばい」だ。


鮮やかな緑色のペーストは「ずんだ」だ。今でこそ全国区の「ずんだスイーツ」だが、もともと「ずんだ餅」は宮城の郷土料理。ツブ感のある枝豆ペーストは、野菜らしい滋味豊かな余韻がある。


餅もいい感じに膨らんできた。思えば小さい頃は自宅に円筒型ストーブがあり、餅を焼くのが正月の習わしだったのに、その習慣がすっかりなくなってしまった。七輪には「レンジでチン」とはまったく違う風情がある。

シンプルに醤油か、小倉あんで甘くするか……トッピングも余るくらいたっぷりなので、何味で食べるか箸が迷ってしまう。


最後に「焦げやすいので注意してください」と言われた蔵王チーズバウムでフィニッシュ。洋菓子のこってりした甘さが、満足感を底上げする。


・具材の追加も可能

もっと食べたい……となったら、追加料金で団子や餅などを1本ずつ購入可能。トッピングは不足が考えられないほどたっぷりセットされているが、別途増量も可能だ。

仙台に行ったら、ぜひとも体験したい団子焼き。ひとつのエンターテインメントと呼んでも過言ではない。リーズナブルな「竹」や「梅」セットもあるが、具材やトッピングが減ってしまうので、断然「松」がおすすめ。「甘い」と「しょっぱい」のフルコースを堪能できる。


参考リンク:喜久水庵
執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.
[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]