以前、中国の上海を旅行した私はわりと早い段階で風邪っぽい症状に見舞われた。すると中国人の友人が「上海へ来た外国人はみんなそうなる。空気が汚いから」と言った。これはあくまで友人の発言であり、私は上海の空気が汚いなどと1ミリも思ったことはないので、中国の人、どうか怒らないで聞いてください。
とにかく鼻水が止まらなくて困っていると、友人が「中国には “中国の病気は中国の薬でしか治らない” ということわざがある」とシャレたことを言い出した。そうか……ならば中国の薬を入手するしかないか。
・中国の秘薬
「中国の薬」と言われると、なんとなく漢方っぽいものを想像してしまうのだが、友人に連れて来られたのは意外にも『高島屋』だった。
高島屋は日本の企業なのでここは遠慮なく言わせてもらうけど、上海の高島屋はちょっと心配になるくらい繁盛していない。伊勢丹や大丸はそれなりに繁盛している気がするが、たぶん高島屋は立地が悪いのである。がんばれ、高島屋。
友人が薬剤師さんに私の症状を伝えてくれた。購入した薬は55.6元（約1142円）。その場で飲んだ。
そして……私の鼻水は驚異的な速度で止まり、翌日にはほぼ完治していた。中国の病気が中国の薬でしか治らないかどうかは不明。しかし少なくとも、中国の薬で私の病気は治ったのである。ありがとう……いい薬です！
・それから……
帰国後。
私は風邪をひいた。
実はあのとき中国の高島屋で購入した薬を、のちに翻訳にかけたところ、なんのことはない「総合風邪薬（鼻水、発熱、頭痛、咳などの諸症状に効く）」であることが判明していた。
となると、ここで浮かび上がるのが「中国の薬は日本の病気にも効くのか？」という問題である。効かなかった場合は大損を被るが、中国での驚異的な回復速度を思い出すと、可能性に賭けてみたくなるのが人情というもの。
中国で買った薬は2シート24個入り。4錠を1日3回。
1錠がかなりデカイ。苦手な人は砕くなどする必要がある。
・結果は……
ちなみに私の今回の風邪の症状と、中国滞在時の症状とは完全な別モノ。中国では鼻水が止まらずティッシュを詰めて歩くありさまだったのに対し、今回は発熱に伴う悪寒と関節痛がメインだ。
薬を飲んだあとは、とにかく安静にするしかない。果たして中国の薬は日本の病気に効くのか？
結果は…………
ありがとう、いい薬です!!!!!!
あくまでも参考程度にとどめていただきたいが、少なくとも今回私が日本でひいた風邪に対して、中国の薬は効果を発揮した。「因果関係を証明できるのか」と言われると困ってしまうので、くれぐれも限定的な話であることをご留意いただけると幸いである。
こうなると追加で気になるのは「中国で病気になったとき、日本の薬を飲んだらどうなるのか？」という問題。確かめるには “中国で体調を崩したのち日本の薬を入手する” という、非常に難易度の高い条件をクリアする必要があるが……生きていれば1度くらいチャンスが巡ってくるかもしれない。
執筆：亀沢郁奈
Photo：RocketNews24.