とんこつラーメンでおなじみ博多一風堂は世界15カ国に進出するワールドワイド系ラーメン屋。以前の記事でご紹介したパリの一風堂にはベジタリアン向けメニューがあったし、その国のノリに合わせようという柔軟性を持った企業なのだと思う。
今回訪れた中国の一風堂にもやはりというべきか、非常に中国っぽいメニューがあった。むしろ「中国っぽさを追求した結果、ちょっと妙な方向にいったメニュー」といったほうが正しいかもしれないが。
・中国の一風堂、メニューが豊富
こちらが中国・上海の一風堂。
なかなか繁盛している様子で、女性客の姿が目立っていた。
恥ずかしながら私は存じ上げなかったのだが、メニュー表紙のオーラ強め男性は一風堂の創業者で河原さんという方らしい。この表紙、外国人なら結構テンション上がるんじゃないか?
一風堂の看板メニュー「白丸」「赤丸」は健在。価格はだいたい日本の300円増しくらいである。
サイドメニューは餃子、お好み焼き、ポテトに唐揚げといった居酒屋みたいなラインナップ。
丼メニューが異様に充実しているなぁ。
・店員氏、何かを訴えようとする
さて変わりダネ揃いの丼メニューの中で、ひときわ目を引くものがあった。
それは『爆裂豆腐猪排丼(爆裂豆腐豚カツ丼)』(62元 / 約1311円)。ひときわ目を引くというより「名前がヤバい」と言ったほうが正しいかもしれない。記事のネタとしてはインパクト強めなので、一風堂っぽさは無いが早速注文することにした。
と……何かを懸命に訴えかけてくる中国人店員さん。
しかし私は中国語が不自由な身の上のため、何を言っているかが分からない。「ちょっと待って」とジェスチャーを残し、厨房へ引っ込んでしまった中国人店員さん。ややあって別の店員さんがやってきて、カタコトの日本語で一言……
「これは、辛いですよ」
・爆裂豆腐豚カツ丼とは
中国人店員さんはこのことを私に伝えるために、日本語が少し話せる別の店員さんを連れてきてくれたらしいのだった。なんて親切なんだ中国の一風堂の人は。
そこまで言われれば日本人の意地にかけても注文するしかない、ってことで注文した爆裂豆腐豚カツ丼がこちら。爆裂豆腐というか普通の麻婆豆腐に見えるが、これは果たして爆裂するほど辛い麻婆豆腐なのだろうか?
おぉ……たしかに辛い。
が……心配されるほどではない!
・日本人、辛いの苦手と思われてる問題
この辛さを例えると、うちの実家のカフェのカレーの3倍くらい。うちの実家のカフェのカレーは「辛さゼロではないが、わざわざ言うほどではない」程度(バーモントカレーの中辛くらい)である。しかしながら、そんなウチの実家のカフェにも稀に「辛い」と苦言を呈されるお客様がおられ、世の中には辛さが苦手な人が多いんだなぁ、と感じる。
実は中国に限らず海外を旅していると、料理を注文する際「これは辛いけど大丈夫?」と訊かれることがよくある。このことと中国一風堂の店員さんの対応から察するに、日本人は「辛さに弱い」かつ「辛さに文句を言いがち」な国民性と認識されているのかもしれないという仮説が成り立つワケで……
……とすれば日本人の名誉にかけて、ますます完食するしかねぇ。麻婆豆腐といえば中国が本場だが、これは「日本の麻婆豆腐」って感じ。食べ進めるうちジンワリ汗が滲んできたが許容範囲だ。わざわざ中国へ来ておいて、辛い呼ばわりしてはいけないレベルだと思う。
上に乗ったトンカツは衣が厚くてガリッガリのハード系。辛さよりボリュームに苦しんでいたところへ、先ほどの店員さんが日本語で「ライスとソースはおかわり無料ですよ」と伝えにきてくれた。マジでノーサンキューなのですが、店員さんの優しさは底なしであった。
一風堂へ来といてラーメンを食べないのもまた一興……次回はデザートも注文できるよう精進します!
参考リンク:一風堂
執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.