近頃の「格安イヤホン探訪」では、アマゾンや楽天で製品を購入していない。なぜなら、似たような製品が似たような売り文句で大量に表示されるからだ。もうイチイチ見ていられない。目を凝らしてサイトを探すのに疲れたのである。

だから今は大型量販店に足を運び、直にモノを見て探すようにしている。その方が意外なモノに出会う確率が数段高い。

今回紹介する「DENON(デノン)」のイヤホン「AH-C260」も、ヨドバシカメラで見つけた製品のひとつ。販売価格税込927円(購入時)の実力はいかほどのものか!? しっかり聞き比べてみよう。

・老舗ブランド「DENON」

デノンは昭和14年に立ち上がった録音機製造会社「株式会社 日本電音機製作所」がその発祥である。その昔は国内では「デンオン」という名前だったが、海外で発音しにくいことから「デノン」に統一されている。

ブランドは紆余曲折を経て、現在米「Sound United LLC」傘下の「ディーアンドエムホールディングス」の子会社「株式会社デノンコンシューマーマーケティング」の音響ブランドのひとつとして存続している。

今回紹介するAH-C260は、2010年頃に販売開始され、現在も製造されている息の長い製品だ。



長く愛されているのはわかるんだけど、製品についてくる箱やら紙やらプラスチックやらがやたらと多い。時代に合わせて少し減らした方が良いんじゃないですかねえ。捨てるものが多くて、ワシャ好かんのよ。こういうの


JVCケンウッドの「HA-FX6-T カナル型イヤホン」は、製品とイヤーピースを除けば、プラスチックゴミゼロよ。少し見習って頂きたいです、割とマジで。


それで付属品も多くて、本体とイヤーピースが4種(XS・S・M・L)。それからクリップとコードホルダーまで付いている。


ぶっちゃけ、こんなになくていい。こんなにいろいろ付いて1000円以下ということは、発売開始当時は2000~3000円してたのかもしれないな。いまでこそ1000円以下ではあるけど、それでも本体とイヤーピースだけにすれば、もう少し価格を下げることもできるんじゃないの? と思ってしまう。


本体はキュートな丸型、「エルゴノミクスデザイン」というそうだ。


装着感は一般的なイヤホンとそれほど変わらないな。イヤーピースが柔らかめで私の耳には少し収まりが悪い。サイズはフィットしているけど、何かの弾みでスポっと抜けそうな不安がある。

それと少し遮音性が低いかも、周りの音が多少耳に入る。使い続けるならイヤーピースの交換は必要かも



・聞き比べ

さて、今回から新王者の「ハイユニット HSE-A1000(PK)」にとって初の防衛戦である。前回の聞き比べで、長らくトップに君臨してきたJVCケンウッド「HA-FX6-T カナル型イヤホン」を退けたハイユニットは、王者の座を守れるか!?

検証に使用した曲は、カーペンターズの「Top Of The World」である。まずはハイユニットから。


言わずと知れた不朽の名曲である。カレン・カーペンターの透明感のある歌声に、ゆったりとしたスチールギターの副旋律が絡んでいく。一度聞いたら、思わず口ずさみたくなる聞き心地の良いポップスだ。

ハイユニットはその旋律の美しさをキレイに再現している。音場の表現も素晴らしく、ストリングスパートが入って曲がダイナミックに展開していくと、それに合わせて脳裏で音が広がっていくようだ。音粒の鮮明さと音場の広さは、他の製品をしのぐ。


続いて、デノンでも聞いてみよう。


さすが老舗ブランドだけあって、音粒がハッキリしていて聞きざわりが良い。ハイユニットが相手でなければ、大抵のイヤホンに劣らないバランスの良さを感じる。前回まで1位のJVCケンウッドと同レベルのバランス感である。

だが、音場の広さはハイユニットに劣るように聞こえる。やや広がりにかけて、曲のスケールが小さく感じてしまう。

しかしながら、評価できる点は大きいということで、ランク入り! 前回まで3位のセブンイレブン(JVCケンウッド)「HA-FX711F-B(税込1207円)」を退けて3位とします。その理由は価格だ。927円でこのクオリティなら、コストパフォーマンスの面で1207円のセブンより上と評価したい。よって以下のようになる。


1.アルペックス(Hi Unit)「ハイユニット HSE-A1000(PK) 税込721円
2.JVCケンウッド「HA-FX6-T カナル型イヤホン 税込821円
3.DENON「AH-C260 税込927円


このランクは随時更新していきたいと思う。皆さんの音楽ライフの参考になれば幸いである。

参考リンク:DENON1[12]
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24

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