いつかはこういう日が来ると思っていました。雨のぶらり循環バス。そう、とうとう来てしまったのですよ。雨降りの日にバスで街をめぐる日が。

人生、晴れの日ばかりではない。曇ったり雨が降ったりもするものです。それでも「やまない雨はない」、この言葉に勇気づけられて、今日まで生きてきました!

こんにちは、佐藤です! 今回は江ノ電の大船駅東口交通広場発着「鎌倉湖畔循環」で街をぶらり循環してみたいと思います。どんな景色に出会えるのかな? それじゃあ、行ってみましょう。レッツゴー!

・鎌倉湖畔循環

鎌倉湖畔循環(N5)を運行しているのは江ノ島電鉄です。この路線の歴史は古く、1950年代には現路線の一部が運行を開始したそうなのですが、その後にさまざまな停留所の統廃合を繰り返して、現在の循環系統に落ち着いているそうです。


さて、JR大船駅まで来ました。大抵最初は「〇〇駅」の写真を撮るところから始めるんですけど、「大船駅」の文字が見当たらない。探し方が悪かったのかなあ……。とりあえず、「大船」と書いてあるアレを撮っておきましょう。警察の垂れ幕かな?


ちゃんと来てますよって証ですので、ここが大船駅とわかれば良いでしょう。


バス停の案内版を見ると、鎌倉湖畔循環は5番乗り場ですね。


時刻表を見ると、15分に1本だから結構便数ありますね。朝は1時間に6本も走ってます。次のが15分後に来るので少し待ちましょう。


ふとロータリーを見ると……。バスの向こうに何かいる!?


観音様!? 大船観音ですね。デカい、デカすぎる!!


観音様には申し訳ないのですが、もしもエヴァの使徒が実在したら、こんな感じで見えるでしょうね。山の上から頭が出てるもの。スゴイな。


観音様にビビっている間にバスが来ました。最近日野の小型車両ポンチョばかりに乗っていたので、通常の大型車両はなおさら大きく感じますね。

今日ほど大型車が運行していてよかったと思ったことはありません。その理由は後ほどお伝えしましょう。


運賃は前払い、これまで紹介してきた路線と違って、一律料金ではないんですよね。乗車時に行先を伝えてSuicaでタッチ。私はまず「今泉」という停留所で降りることを伝えました。運賃は230円です。

さあ、行きましょう! 出発進行~!!


……この時、私は、過酷な境遇が待ち構えていることを知る由(よし)もなかった……。



・素掘りトンネル

まずは今泉……、と思ったんですが、それよりも手前の停留所「常楽寺」で降りました。最初に行きたい場所がここで降りた方が近いと気づいたからなんです。ここから歩いた先に、面白そうな場所があるんですよねえ。


この周辺には神社仏閣が多くあるみたいです。鎌倉も近いから街の歴史が古いんですねえ。


手前に見えてるのが熊野神社、奥が多聞院ですね。こんな感じで少し歩くと由緒ある神社やお寺に遭遇します。


最初に来たかったのはココ! スクールゾーンと書かれた先にあるもの、何かわかります?


ここには素掘りトンネルがあるんです。そしてこのトンネルの上には「大船の切り通し」があります。切り通しも見たかったんですけど、どこから上にあがるのかわからなかった……。


でも、素掘りトンネルも好きですよ。千葉・茂原でいくつかの素掘り隧道を訪ねてすっかり素掘りトンネルファンになってしまいました。なお、この切り通しは鎌倉古道の名残りで、この地域が歴史的に重要だったことを示す証でもあります。


そこからさらに歩くと、もうひとつトンネルがありました。


この時、私はまったく気づかなかったんですけど、このあたりは山になっていたんですね。そうと知らずに、トンネルに興奮していました。好きなんですよ、トンネルが。


トンネルを抜けた先に橋があり、そこから川を覗き込むと、茶色く濁った水が激しい勢いで流れています。写真じゃわかりにくいと思うんですけど、この時、土砂降りだったんです。少しは弱まってくれると歩きやすいんですけどね。まあ、天気はどうにもならん。


最初に降りる予定だった今泉に来ました。ここで再びバスに乗りましょう。


雨がひどいからバスが遅れてるなあ。晴れなら5分10分の遅れでも気にならないんですけど、今日は1分でも長く感じてしまいます。早く来て、雨降りツライ……


キター! 待ってましたよ。オレンジ色が眩しく見える。


今日は大型車で本当によかった。というのも、小型車は乗降口が狭いので、雨具を持って乗り降りするのが大変なんですよね。ご年配の方やお子さん連れだと、なおのこと。こういう時に乗降口が広いと、やり繰りしやすいんです。

また雨天だと混み合います。小型よりも大型の方が乗車人数も多いので、助かります。



・下手したら遭難!?

次は、さっきの川の上流に位置する「散在ガ池」に行きたいと思います。この池は「鎌倉湖」とも呼ばれているですね。ゆえにこの路線、「鎌倉湖畔循環」なんですね。


「鎌倉湖畔」の停留所で降りてみたものの、散在ガ池森林公園の入口がわからないなあ。北側の停留所「今泉不動」で降りるべきだったなあ。

幸い、少し歩いたところに、南側の入口がありました。ここから入ればいいな。


南側から入って、「馬の背の小径」ってのを抜ければ、池に着くんじゃないかな。とりあえず行ってみるか。


……と思ったけど、この道、険しくない?


自然道っていうんですか? 整備はされてるけど、気軽に歩ける道ではないような~。少なくとも、雨降りで歩くにはそれなりの装備が必要な気もするんだけど。


傘をさして呑気に歩ける道じゃないかも!?


さらに奥に進むと、完全に “山の道” になっちゃった。


しかも、ここで足を滑らせたらどこまで落ちていくかわかないぞ! 万が一、滑落したら遭難!? ケガをする可能性も十分にあり得る。やっぱり雨降りに傘さしてこの道をいくのは賢くない。いや、バカのやることかも!?


ってことで今日は断念します。下手したら、各方面にご迷惑をおかけしてしまうので、ご理解のほどを。また来ますので……。



・急こう配の下り坂

一旦普通の道の戻ります。バス路線とは少し離れますけど、今日みたいな日こそ、行きたい場所があるんですよね。

雨降りの中をトボトボ歩いていると……、おや? 「富士山ビューポイント」ですって。こんなところから富士山が見えるんですねえ。


とはいっても、この雨降りですから。見えるはずもありません。今日ほど富士山を見るのにふさわしくない日はないでしょうなあ。ガックシ……。


うわ~、すごい下り坂だ。いまさらかなり高いところに来ていることに気づきましたよ。路面が雨で濡れまくってツルツル。転ばないように慎重に歩かないとな。あぶねえあぶねえ。


下り切ったところにステキなお店がありました。「珈琲・音楽 笛」という喫茶店。雨宿りがてら、少し休ませてもらいましょう。足元に注意しながら歩いてたら疲れちゃったよ。


店内には楽器と化石がたくさん飾られています。ログハウス風の内装は手づくりでしょうかね。ぬくもりが感じられていいなあ。私も爺さんになったら、こういうお店を持ちたいなあ。


果物とハチミツの入った「フルーツシェーク」(税込550円)を頂いて、少し元気が出てきました。さあ、目的地までもうひと頑張り!



・あじさい寺、明月院

ようやく着きました。今日みたいな雨の日に来たかった場所、「明月院(めいげついん)」です。


ここは「あじさい寺」として知られており、ちょうど今が西洋あじさいの見ごろなんですねえ。拝観料は大人が500円です。私もお金を払って中へ。

雨降りの日に見るあじさいは風情があって良いんじゃないかと思って、頑張ってここまで来ましたよ。


で、実際に来てみたら、たしかにキレイでした


数千本ものあじさいはすべて青、その色彩を「明月院ブルー」というそうです。由緒ある寺院にふさわしい気品を感じられたんですけど~……。


雨足が強すぎて、あじさいがうな垂れてしまっていました。いくらなんでも降りすぎじゃあ~。もっと優しく降れ~……。


本堂前の枯山水庭園は大変立派で見ごたえがありましたよ。


記念に1枚パチリ! 花とおじさんです。この雨の中でも多くの人が足を運んでいました。もうすぐ見ごろが終わりそうなので、あじさいを堪能したい方はお早めにどうぞ



・ちょ~待てよ~!

ここからバスの路線に戻らねば……。本当は北鎌倉の駅に向かって、電車に乗った方が大船駅に戻るのに近いんですよ。

でもね、循環バスの旅だからバスに戻らないとね。こっそり電車で戻って、バスに乗ったことにしてもいいけど、ワシャそういうのは好かん! バレんからってインチキするのはキライじゃ!

ってことで、来た道を戻ります。急こう配の道を戻らねば……


雨足は弱まるどころか強くなっている。その中を急な上り坂を行く。マップの道順だとこっちだけど、この道、本当に大丈夫? 地元の人も歩かなさそうな道なんだけど。


さらに道が細くなり、雨足も強くなり……。ずっと前から靴はビショビショ。裸足で歩きたい気分だよ。


ちょ、ちょ、ちょ、ちょ~~待てよ~~~!! 土砂降りってレベルじゃなくなってきたぞ! 「アスファルトを叩きつける雨」ってこのことか!?


傘、意味ね~~~! 滝行かよ!! ちょっと前が見づらいくらいなんだが、このまま歩いてて大丈夫か?


後ほど落ち着いたときに、天気アプリで降水状況を確認してみると、真っ赤! 1時間に80ミリくらい降っとるやないかい!


私はこの時、思わず「いい加減にしろ!」と叫んでしまった。誰に言ってんだか……。


途中通った階段はまさに滝。ここも危険箇所だなあ。雨降りで歩くのは危ないよ


いや~、ようやく路線に戻ってきました。ここでバスに乗って駅に帰りましょう。もうヘトヘトですわ


キタ~、大船駅行きのバス。なんという安心感だろうか。バス見ただけで泣きそう。ありがとう、循環バス! 大好き!



・大船おでセン

雨との激しい戦いに気を取られてすっかり忘れていました。お昼食べてない。バスを降りて街を散策していたら、良さそうなお店を見つけました。「大船おでんセンター 本館」ですって。ここにしましょう。


「鎌倉おでん」発祥のお店と書かれていたので、おでんを食べないわけにはいかないでしょう。ということで、おでんの食べられる「まんぷく定食 B」(税込900円)にします。


こちらがその定食です。おでん4品にから揚げ、まぐろ中落ちまでついたお得な内容になっています。


おでんはあっさりとした味付け。酒のツマミというよりも、ご飯のおかずにちょうど良い味つけです。毎日食べても飽きのこない味というんでしょうか。近所にあったらランチで通っちゃいそう。


食後に軽くコーヒーでも飲みたいところ。老舗っぽい喫茶店「カーメル」というのがあったので、こちらにお邪魔します。


水出しコーヒーとケーキのセットで税込700円。このお店、私には有難いことに喫煙可だったので、疲れを癒す意味でも一服頂きました。ふと外を見ると、雨は止んでいます。さっきの激降りはなんだったんだか



・最後に寄りたかった場所

最後にもう一カ所、寄りましょう。どこに行くかわかりますか? 賢明な読者の皆さんなら、予想が着くはずです。その場所については、すでに軽く触れてますよ。


その場所とは、大船観音のある「曹洞宗 仏海山 大船観音寺」で~す! 近くで見たいじゃないですか。だから最後に行っちゃうぞ~~ッ!


……ところが、参道は閉じていた……



「悪天候につき、ご参拝者の安全確保の為、閉門させていただきます。 大船観音寺」


ガビーン! そりゃそうですよね。参道は坂道になっていて、さっきの豪雨で滝のように雨水が流れていたことは容易に想像できます。そんな中を歩かせるわけにいきませんもんね。私自身、今日1日で何回転びそうになったことか

それを考えると、残念だが仕方がないことだ。


観音様、近くで参拝したかったです。


天気の良い時にまた来ますので。


ということで、今回は雨降りの影響で徒歩移動に時間を要しため、4時間かかりました。天気の良い日ならもっとスムーズにまわることができるはずです。大船観光の参考にしてください。それでは次の循環バスでお会いしましょう。ごきげんよう~!


参考リンク:江ノ島電鉄明月院大船観音寺
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24
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