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日本最安の露天風呂? 入浴料300円の温泉で過ごした夜を忘れない / 露天風呂の日

2024年6月26日

本日6月26日は露天風呂の日。取材で一期一会の場所に行くことも多い私(中澤)。密かな楽しみは遠出した際、その土地の温泉に入ることだ。聖地を目指していくのとは別の出会いがあるのが良いところ。

サウナ好きゆえに露天風呂も結構入っているのだが、強烈に記憶に残っているのが屋久島の「湯泊(ゆどまり)温泉」である。その入浴料はなんと300円! 露天風呂で300円は日本最安クラスだが、そんな温泉での夜のことが忘れられない

・僻地

屋久島で1番大きい町は北にある宮之浦(みやのうら)で、白谷雲水峡も近いため観光客は大体ここ周辺に泊まると思われるのだが、「湯泊(ゆどまり)温泉」は島の正反対にある。

温泉でももっと観光客が行くところあるだろって場所だ。なぜそこに私が行ったのかと言うと、泊っていたゲストハウスが南のガチ何もないポイントだったから。宮之浦どころか安房よりももっと南。屋久島のこと知らずに適当に行ったら町どころか民家もない場所だったのである。



・夜が暗い屋久島

しかし、そんな場所でも人は来るもので、私が泊まって3日目、ドミトリーに相部屋する人がやって来た。仮にその人をMさんと呼ぶ。私は普段、あまりコミュ強ではないのだが、環境が環境ゆえに人恋しくなっていたこともあり、Mさんとはその日のうちに打ち解けた

屋久島に星空を撮りに来ているというMさん。レンタカーを借りていたため、一緒にどこか行くかという話になった。しかし、屋久島の夜は暗い。店の閉まる時間も早く、その話になった時にはもうほとんどの店が閉まった後であった。


・深夜のテンションで突撃

で、少ない情報を砂金でも探すかのように調べていると、近所にクソ安い温泉があることが分かった。しかも、どうやら24時間やっているっぽい。マジかよ! こんな僻地中の僻地に24時間営業の温泉があるなんて!!

辺りの暗さを知っていると、狐につままれたような……いや、妖怪に化かされているような話である。なにせ、屋久島南部の夜って妖怪とか精霊が歩いていてもおかしくないような雰囲気があるのだ



深夜のテンションでその謎の温泉目掛けて車を走らせたところ、真っ暗な道の周りがなんだか鬱蒼としてくる。化かされているのはないにしても、本当に24時間営業してるんだろうか? そう不安に思った時……

・あった

海岸ギリギリの場所にマジであった。その実態は風呂屋が営業しているというより、ご自由にどうぞ的なほったらかしの温泉みたいな感じ。当然、スタッフもいなくて、入浴料も設置された箱に入れる形であった。波の音がデカイ。

というか電灯も入口のところ以外はない。入口入ると真っ暗な中にぼんやりと湯舟が見えた。波の音がデカすぎてなんか怖い



・非日常

そんな状況なので、脱いだ服はその辺の岩に引っ掛けた。湯舟に入ると、ぬるめでぬめりけのあるお湯。暗闇の向こうからチャポチャポと音が聞こえる。一緒に風呂に入っているはずのMさんすら見えない。ただ波の音が聞こえる。

「星出てきましたねー」とMさんが言う。見上げると、雲の隙間を突き抜けんばかりに星が輝いていた。「もうちょっとだけどなー」とMさん。「そうっすねー惜しかったですね」と私。やり取りに意味はない。ただもうしばらくこの非日常に浸っていたい。気づけば波の音は心地よいBGMに変わっていた。また屋久島に来たいなあ。

あれから2年。嵐のように過ぎ去る日々に流されないように必死になっていたら、あっという間に2年が経ってしまった。そんな日々の中で思い出す露天風呂はいつだってあの夜のこと。

温泉でも行こうなんていつも話してる♪ 落ち着いたら仲間で行こうなんてでも~♪ 時間が追いかけてくる今日この頃。「でも」で終わりたくはない。

今考えると、ふと思い立ったあの夜は、大したことがなかったからこそ特別だったのではないかと思う。日々に追われて忘れたくはないけれど。wow wow war wow war tonight♪

・今回紹介した温泉の情報

温泉名 湯泊温泉
住所 鹿児島県熊毛郡屋久島町湯泊1714-28
営業時間 24時間
定休日 無休

参考リンク:屋久島観光協会
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
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