全国津々浦々にあるコンビニ。客層や出店場所によってコンビニの品揃えが微妙に違う……というのは知られた話。

たとえば、新宿御苑の近くのセブンイレブンには敷物や紙皿・紙コップ類がたくさん売られているし、バーが多い新宿2丁目のローソンでは「ヘパリーゼ」や「ウコンの力」が大量に陳列されている。

さて先日、日本ダービーの観戦で東京競馬場の中にあるセブンイレブンに行ったのだが、あまりにも独特すぎる商品展開に度肝を抜かれてしまった。

ここまで極端な品揃えのセブンイレブンも珍しいのではないか……?

・東京競馬場内のセブン

東京競馬場のフジビュースタンド3階にある「セブンイレブン東京競馬場店」

東京競馬場の中にはたくさんの売店やレストランがあるけれど、ドリンク類やおにぎりが買えるセブンイレブンはやっぱりあるとありがたいもの。

普通のセブンに比べると売り場は狭いし、商品点数もかなり絞られているが、GⅠレースの開催デーはいつもすごく混んでいる。


スタンドが意外と寒かったので、セブンのホットコーヒーを買おうと並んだところ……。雑貨類を売るコーナーで我が目を疑った。


・意外すぎる雑貨コーナー

まず、充電器やスマホのケーブルがよく売れていたり、赤青えんぴつが売られている。

最近だと馬券の購入はネットが主流だし、サイトでオッズを見たりとスマホの充電は競馬にとって命。

そして競馬新聞のチェックで赤青えんぴつを使うオールドファンはまだ多いのでこのあたりはまだ納得である。


しかし、驚きなのは襟付きのワイシャツと老眼鏡がたくさん売られていること


老眼鏡に至っては-1.00、-1.50、-2.00と、度数別にいくつも販売されているではないか……。

お菓子やドリンク、おにぎりなどは少数精鋭にも関わらず、他のセブンで見かけない「老眼鏡」と「ワイシャツ」の在庫が豊富とは。この偏ったセレクション、いかにも競馬場のコンビニという感じがする。


・ワイシャツと老眼鏡が売られているワケ

まず、ワイシャツについて。これは競馬が紳士のスポーツであることに由来する。

馬主席などはドレスコードがあり、正装が求められる。男性の場合はジャケットとネクタイ必須、夏場でもワイシャツ着用というルールがあるのだ。

馬主席などにお呼ばれしたものの、ドレスコードを知らずうっかりラフな格好で来てしまった人も、セブンイレブンでとりあえずワイシャツは買える……というわけ。

じゃあ老眼鏡はなぜ売られているかというと……

今でも競馬場に足を運ぶのは年配のオールドファンが多いわけで、競馬新聞を使って予想をするときに使うのだと思われる。

なぜなら、競馬新聞の馬柱と呼ばれる戦績表は字がめっちゃくちゃ細かくて、すでにプチ老眼気味のアラフォーの私でも見づらいから。

わずか1〜2センチの小さな枠の中に、前走の成績データがびっしりと書き込まれているのだ。


騎手は誰で何番人気で何着だったか、コーナーの通過順はどうだったか、上がりタイムは何秒だったか……。それらがすべて分かるように書き込まれているから驚きである。


・ちなみに〇〇はない

ちなみに意外だけど競馬場内のセブンに無いものを紹介すると


・ATM
・競馬新聞


のふたつ。

まず競馬場とWINS(場外馬券売り場)ではギャンブル依存症対策の一環として2020年1月からATMが撤去されている。

「ま、競馬場に着いてからお金おろせばいいか!」と思っても、競馬場にATMはないので事前に軍資金をおろしていく必要があるぞ。

仮に、パドックを見ている最中にいきなり天啓を受けて「この馬が絶対勝つ!」と全財産を賭けそうになっても、ATMがなければ踏みとどまれる。(だいたいその天啓は勘違いである)

年末の有馬記念が終わったあとによく電車が止まることを考えると、ATM撤去はいい方針なんじゃないかと個人的には思う。


そして競馬新聞が売っていないのは競馬場内に専門の新聞売場があるためだと思う。

他にも、寒さ対策で大量にカイロが売っていたりと、なかなか品揃えがユニークなのでもし東京競馬場に行くことがあったらチェックしてみてほしい。


参考リンク:東京競馬場
執筆:御花畑マリコ
Photo:RocketNews24.