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Yahoo!アクセス&コメントランキングに「芸能コタツ記事」の末期を見た / 現役ライターも嘆く【画像リンク】の甘い誘惑

2024年5月14日

『Yahoo!ニュース』や『SmartNews』などのニュースプラットフォームに日々配信される「コタツ記事」。


現地に足を運んで取材や取材対象者にインタビューすることなく、芸能人のテレビ・ラジオ発言、SNS投稿を基に作成されるコタツ記事には何かと批判が多い。


筆者もそんなコタツ記事作成を生業にしているフリーランスの1人だ。


・芸能コタツ記事は “お金の流れ” を意識したものばかりに

第2弾で『Yahoo!ニュース』に掲載された記事が1クリックされると0.2~0.4円ほど、自社の本サイトで記事を1クリックしてもらえれば1円ほどが新聞社や出版社に入ってくるという “お金の流れ” の話をした。


昨今の芸能コタツ記事はこのお金の流れを意識したものばかりになっていて、さすがの筆者も嘆かわしく思っている。


「どういうこと?」と思う方も多いと思うが、『Yhaoo!ニュース』の「アクセスランキング(エンタメ)」と「コメントランキング(エンタメ)」ページを覗いてみればきっと理解してもらえるはず。


例えば5月8日、上位にランクインしている記事のタイトルを見てみると……


55歳・荻野目洋子の姿にネット衝撃「なんで…」「嘘だろ」「おいくつなんや」「元々細いけど」


関根麻里、親子ショット公開も…激変した父の姿に「二度見しました」「絶対分からない」


56歳原田知世 “衝撃の美貌” にネット騒然「可愛さに心臓が飛び出そうに」


元日テレ人気アナ 21歳の姿を公開「さすがのイケメン」「雰囲気違う」「タッキーに見えた」の声


といった具合に「現在の姿」、「激変」、「衝撃の美貌」「イケメン」といったタイトルで煽り、画像を見せる記事がズラリと並んでいるのだ。


そしてそこにファンやX(旧ツイッター)の「二度見しました」などのキャッチーな反応を付け加えたら一丁あがり。



・【画像リンク】から自サイト誘導で1円ゲット

特にスポーツ紙系のWEB媒体が芸能人のSNS投稿を引用した記事を得意としているが、これらの「画像を見せる記事」がなぜこれほどまでに量産されているかというと、自社の本サイトまで来て記事を読んでもらえるからだ。


『Yahoo!ニュース』の芸能記事には第1段落の下、第2段落に行く前に【画像】といった感じで記事に関連する画像へのリンクがあることが少なくない、というかほとんどだ。


荻野目洋子さん、原田知世さんの現在の姿が、関根麻里さんの激変した父の姿が、「タッキーに見えた」と言わしめた元日テレ人気アナの写真が見たい、というユーザーの野次馬的心理を煽り、『Yahoo!ニュース』の【画像リンク】から実際に画像が見られる自サイトに誘導するという塩梅。


前述した0.2~0.4円から1円につながってくるわけだ。



文字を読むのは面倒だけど、画像なら見たい」というユーザーは少なくない。


そこでメディア側は引きのある写真、インパクトのある芸能人のSNS投稿を血眼になって探し、「激変」「不変」「激ヤセ」「可愛すぎる」「現在の姿」といった強いタイトルの記事を作る。


このような画像メインの記事はテレビ・ラジオ発言の書き起こしよりも着実にユーザーを自サイトに連れてきてくれる。


『Yahoo!ニュース』などのニュースプラットフォームで読まれるよりも自サイトを1クリックしてもらった方が儲かる。


その仕組みから画像メインの記事ばかりが量産され、それが実際に読まれる――という事態になっているのだ。



・ユーザーにとっては五十歩百歩だが……

深夜のラジオ番組を必死になって書き起こしたり、テレビ・ラジオ発言にひとひねり加えて少しは読み応えのある記事にしてみたり、有識者にコメントをもらうような記事ではなく、画像を見せるだけの記事ばかりが読まれる。


ユーザーからすれば五十歩百歩でしかないだろう。


しかし、かつてスポーツ紙や週刊誌で記者・ライターをやっていた関係者の中には芸能コタツ記事の現状を受け入れつつも、嘆きながら記事を作っている人も少なくないと筆者は思っているし、そうであってほしいと願っている。


執筆:田中ケッチャム
イラスト:いらすとや

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