みなさん、「ダルバート」を月に何回食べているだろうか。私は週1回、月に4回以上は食べている。


今回は、ダルバートとは何なのか、そしてダルバートの素晴らしさ、さらにはダルバート初心者にうってつけの名店を紹介したいと思う。


・ダルバートとは?

あらためて……ダルバートはネパールの国民食。


ダル(ひき割り豆のスープ)とバート(米飯)というワードを組み合わせたもので、これにスパイスで味や香りづけをした野菜などのおかず(タルカリ)、スパイスをまとったピクルスのような漬物(アチャール)がつく。

日本で言うところの “定食” のようなもので、ほとんどの日本人が毎日のようにご飯と味噌汁を食べているように、ネパール人はダルバートを毎日食べている。


日本の定食もご飯、大豆から作られた味噌を使用した味噌汁、野菜系のおかずに漬物と、ダルバートと構成が非常に似ている。親戚と言っても過言ではない。


味つけがスパイス系か醤油・味噌系かの違いだけで、日本人の舌にもジャストフィットする逸品だと私は思っている。

ネパールのダルスープ(豆のスープ)とカレーはさらっとしていてバターチキンカレーなどのバターをたっぷり使用した北インド系のカレーほどスパイス感や脂っこさはない。そして特別辛くもない。


優しいスパイスの味わい、そして野菜たっぷり。ほら、食べたくなってきたでしょ?


というわけで、ダルバートの魅力を伝えるべく実際に店に足を運んでみた。



・阿佐ヶ谷の超優良店「マティナ・ダイニング」

今回、紹介するのは東京都杉並区阿佐ヶ谷に店を構える「マティナ・ダイニング(MATINA DINING)」。店頭にはネパール国旗がはためいているからすぐにわかるはず。


実は阿佐ヶ谷、そして隣駅の荻窪は10年ほど前から在日ネパール人が増えている。


2013年、杉並区に世界初にして国内唯一のネパール人学校が設立されたことで周辺に移り住むネパール人ファミリーが急増。今やリトル・カトマンズといった様相で、携帯ショップにはネパール語表記のPOPがあったり、ネパール食材店も複数ある。


マティナ・ダイニングは杉並区周辺に住むネパール人の憩いの場になっていて、店内の客が私以外、全員ネパール人なんてことも少なくない。


店を貸し切って宴会や子どもの誕生パーティを開催するなんていうネパール人の団体も。つまり現地の人がその味を認めているということ。



・野菜たっぷりのネパール定食

いよいよダルバートをオーダー。ランチはディナータイムよりも数百円お得。


最もベーシックなダルバートがチキンダルバート(850円)、チキン、マトン、ポーク、ベジタブルから1種カレーがチョイスできるタカリセット(1000円)、2種のカレーがチョイスできるモティナセット(たぶん正式にはマティナセットだと思う、1650円)。


今回はタカリセットをマトンカレーで注文。選べるソフトドリンクからラッシーをチョイスしたら知多ハイボール用のグラスで出てきた


そしてグランドメニューと箸入れはどういうわけか蕎麦屋風だ。


ついにダルバート(タカリセット)が到着。野菜系のおかず&漬物がたっぷりだ。

左上から時計回りにダルスープ、ライスにはパパド(豆から作られた煎餅のようなもの)が乗っている。


マトンカレー、トマトベースのピリ辛ソース、キュウリとニンジンのスライス、ダイコンがメインの漬物、高菜風の発酵させた青菜、インゲンやジャガイモなど野菜たっぷりのおかず、ホウレンソウ炒め、とボリューム満点だ。



・ネパールの国民食を実食

私のダルバートの楽しみ方はこんな感じ。


まず定食の味噌汁と同じようにダルスープを一口飲む。しっかりと豆の味があり、奥の方にかすかにニンニクを感じる。ダルスープは店によって、というか同じ店でも作る人によって味が違うのが面白いし、毎回新鮮な気持ちで味わえる。


次いでパパドを砕いてライスの上へ、そこにダルスープをかけて一口。日本的に言うとねこまんまといったところか。


そこにカレーを重ねていく。刺激的な辛さはなく、心地良いスパイスの香りや酸味を感じる。マティナ・ダイニングのマトンは皮つき、骨つきでプルプル。いい意味での羊臭さアリでクセのないラム肉では物足りないと感じている人も満足できるはずだ。


さらに酸味がいい箸休めになってくれてターメリックを感じる漬物、クミンなどで炒められた野菜系のおかずをライスとともに食べ、次いでライスに乗せ、そこにトマトベースのソース、といった具合に味を重ねながら食べ進めていく。



・カレーの具以外、全部おかわりOK!

ネパール人経営のネパール料理店ではダルバートのダルスープとライスがおかわり自由なところが少なくない。


しかしマティナ・ダイニングはさらにホスピタリティにあふれている。


カレーの具以外、カレーのルーを含むダルスープ、ライス、おかずや漬物までもおかわり可能。定食というかもはや食べ放題だ。


大食いの人なら無限に食べ続けることができるだろう(節度は守りましょう)。それに「ご飯(orおかず)がなくなっちゃったぁ……」という事態に陥ることもない。


・絶対に満腹になる

ある程度、食べ進めると店員さんが「おかわり要りますか?」と尋ねてきてくれる。店員さんに聞かれる前に自分からリクエストしてもOK。私もダルスープとライスをおかわり。ダルバートを食べるとついおかわりしてしまい、決まって腹パンになる。


最終的に――見た目が悪くなって申し訳ないです――ダルスープ、カレー、おかずや漬物、ソースをすべて乗っけて渾然一体感を楽しんで完食。満足感が半端ない。

タンパク質、野菜、炭水化物がバランスよく摂れるから罪悪感を覚えることはない。1人暮らしで自炊はあまりしない人にも最適ではないか。


大食漢もそうでない人も楽しめる。ダルバートをランチやディナーの選択肢の1つに加えてみるのはいかがだろうか。


・今回訪問した店舗の情報

店名 マティナ・ダイニング(MATINA DINING)」
住所 東京都杉並区阿佐谷南2-16-9 2階
営業時間 11:00〜15:00、17:00〜22:30
定休日 不定休

執筆:田中ケッチャム
Photo:RocketNews24

▼店内はバーカウンター、座敷ありで飲み会で利用している日本人グループも。