この春からJR東海の「いざいざ奈良」で、大和四寺編が始まっている。長谷寺、室生寺、岡寺、そして安倍文殊院にフォーカスしたものだ。
TVCMでは鈴木亮平さんが長谷寺を訪れる様子を見ることができる。3月半ばにプレス向けのツアーが行われ、私も初めて長谷寺を訪れる機会を得た。
期間限定でブラキオサウルスの体高なみに巨大な掛け軸を見たり、12メートル越えの十一面観世音菩薩の、お御足に触れたりできるという。何かとスケール感がおかしいだろ! 行くっきゃねぇ……!!
・長谷寺
個人的に長谷寺には、昔の小説などの影響で伊勢参りとセットで出てきがちな寺というイメージを持っていた。伊勢神宮に行ったら長谷寺にも行くし、その逆もまた然りみたいな。
大和四寺の一角という見方をしたことが無かった……というか知らなかったのだが、実はこの四寺はタッグを組んで四寺巡礼を推進している。公式HPもある。
伊勢長谷セットの文化は江戸とか明治時代あたりで薄れていたらしく、私はだいぶ時代遅れだったもよう。しかし、時代を問わず不変な要素もある。長谷寺と言えば花という点だ!
境内には違った時期に開花する多様な植物で満ちており、四季の全てが見頃。特に牡丹の名所としては別格だ。例えばこちらの素晴らしく立派な、仁王門から本堂まで続く長い登廊。
この両サイドには大量の牡丹が植えられている。私が訪れたのは3月半ばだったため花は無いが、ゴールデンウィークにはちょうど開花ラッシュを迎えていることだろう。
咲いたら凄まじいことになるのは明らか。「花の御寺」の通称は伊達ではない。ちなみに牡丹の後には怒涛の紫陽花シーズンに突入する。つまり、しばらくはずっと長谷寺のターンということだ!
・本堂
登廊の先にあるのが、国宝の本堂。
ここでは7月7日まで、本尊の大観音特別拝観(1000円)を実施中。普段は立ち入り禁止の本堂の中に入り、観音様のお御足に触れることが許される……!
長谷寺の本堂はとても複雑な構造をしている。本尊は内裏のさらに内側に作られた、独立した部屋のような空間に安置されているようだ。
そこに入り、10メートルを超える巨大な大観音菩薩像の足元に立った時の感動は唯一無二。光背の下の方まで観察でき、興味深いことこの上ない! また、本尊を囲む壁や天井に描かれた興味深い壁画も必見だ!!
・本坊
さらに、やはり7月7日までの期間限定で、本坊(重要文化財)の特別拝観を実施中。
ここにあるのが、例のブラキオサウルスの体高なみに巨大な掛け軸「大観音大画軸大開帳」だ……! 本尊の設計図とされるもので、高さは16メートルを超えている。
かつて凸版印刷と協力して本物をデジタルアーカイブした際に作成したそうで、等身大のレプリカである。
本坊には、他にも全長55メートルに及ぶ「長谷寺縁起絵巻」や、かつて長谷寺向かいの与喜山にあったとされる玉鬘庵の本尊 観音菩薩座像など、見るべきものが多数展示されている。
ということで、物理的にも感動的にもスケールの大きい見どころが多い奈良の長谷寺。各建築物の配置の巧みさが生じさせる境内全景の美しさにも、特筆すべきものを感じる。つくづく、緑が生い茂る時期に来たかった!!
ゴールデンウィークの行き先が未定の皆さん、奈良の長谷寺が見ごろだぞ! 仏像のアクスタと拝観券がセットになったプランも販売中だ!
参考リンク:長谷寺、いざいざ奈良
執筆・撮影:江川資具
Photo:長谷寺、JR東海
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▼クオリティの高い公式インスタグラム。四季折々の長谷寺の様子が投稿されている。
▼案内して下さった、主事の瀧口氏。インスタの中の人も彼だそう。
▼仁王門。
▼「玉鬘」に出てくる二本の杉。
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