83年生まれの私はぎりぎりでポケモン世代から外れている。ポケモンのアニメが始まったのは1997年4月。
当時中2だった私は対象年齢よりもちょっと上だったので、ポケモンのことをよく知らない。ポケモンGOもリリース当初にプレイしたけれどすっかりついていけない。
そんななか、ポケモンに詳しくなくてもモンスターが探せる「チリメンモンスター」なる遊びがあることを知った。
「チリメンモンスター」こと「チリモン」はスマホもゲーム機もいらない。さっそくプレイすることにしたのだが……。
・チリメンモンスターとは
「チリメンモンスター」とは、市販のちりめんじゃこの中に混ざったレアな魚介類を探す遊びのこと。
昔からしらす干しやちりめんじゃこの中には、主原料となるカタクチイワシ以外にエビやカニなどの生物が混入してしまうことがあるという。
wikipediaによると、2004年8月大阪府岸和田市にあるきしわだ自然資料館、きしわだ自然友の会が夏休みイベントで「チリメンモンスター」という名をつけてワークショップを行ったのが始まりだという。その後、全国に名が知られ、この名称が使われるようになったとか。
「チリモン」という語感の良さ、宝探しのような楽しさ、身近な「ちりめんじゃこ」の中にレア物が混入しているかもしれないというロマン。なんともワクワクさせられる。
ちなみに「チリモン」が混入しているのは、市販品よりもちりめんじゃこ製造業者や漁港で入手するもののほうが多いらしい。魚類の多い地元・長崎でちりめんじゃこを買って挑戦してみた。
・チリモンの観察
用意するものは以下のとおり。
・ちりめんじゃこ、しらす干しなど
・無地の皿
・虫眼鏡
・ピンセット
スーパーや乾物屋をまわって、最も混ざりものが多そうな手作り感あふれるちりめんじゃこを買ってきた。
裏面には「本製品で使用している鰯稚魚はえび・かに・いか・さばが混ざる漁法で採取しています」の一文が。よし、よし、OK! いかにもチリモンが混ざってそうじゃないか。
ちなみに、産地は長崎ではなく大分だった。
・意外と過酷なチリモンさがし
ちりめんじゃこを皿の上に少量ずつ広げて、虫眼鏡で観察していく。
少しでも変わってるな……と思ったものは、脇によけていく。しかし魚の知識がなさすぎて全部違うようにも、同じようにも見えてくる。
ちなみに、紛らわしいのがちょっと成長したカタクチイワシの銀色に光る頭であった。チリモンか!? と思ったら、ちぎれた頭でした……というのを繰り返す。
最初に見つけたのはエビのようなピンクの細い節足動物。開始3分ほどで見つけてテンションが上がった!
その後もカニなどを見つけ、楽しくチリモン探しをしていたのだが……。
時間がかかるので、やってもやってもなかなか「ちりめんじゃこ」が減らない。
老眼の波が押し寄せる40歳に、目を凝らして小さなちりめんじゃこを見続けるのは単純作業ながら思いのほか疲れる。
後半になるとまさかの眼精疲労に……! 冒険心も寄る年波には勝てない。チリモンハンターにも若さが必須なのだ。
そして、なんか変わっている「チリモン」を見つけても、魚に詳しくないため、それがなんなのか調べるのが大変であった。
これ、魚に詳しい江川記者とか、水族館マニアのうどん粉記者に協力してもらったら、もっと楽しかっただろうな……。
・見つけたチリモンたち
そんなこんなで約2時間かけて105gのちりめんじゃこからゲットできたのは以下のチリモン!
なお、特定のために参考にしたのは、生物の特徴などから検索できるチリモン図鑑と、ネイチャーおおさかのチリモン図鑑パンフレットである。見つけた数をランキングで掲載する。
1位 エソの仲間
途中からチリモンだと気づいたので実際はこの5倍くらいまざっていた。カタクチイワシにそっくりだけど、お腹のところに黒い点々があるのが特徴。
主にかまぼこの材料に使われるらしい。エソのお腹に斑点が見えるのは稚魚のうちだけなんだって。へー。
2位 シャコの幼生
ちりめんじゃこの中で、うっすらとピンクの細い線が見えたらだいたいコレ。細いのでつまむときに折れそうで神経を使う。
最初はエビかと思ったけど、シャコだった。軽いからか、層の上の方にあることが多い。
3位 カニの仲間
ちりめんじゃこの層の底の方に沈んでいる赤い点のようなもの。北海道みやげの定番「星の砂」くらい小さくて、ピンセットでつまみにくく、鼻息で飛びそうになる。
虫眼鏡がなかったら見落としていたね。拡大して見るとちゃんとカニの脚が見えて感動する。かわいい。
4位 アジの仲間
このあたりからちょっとレアになる。腹がギラギラ光るうえに他のチリモンに比べてかなり大きいので見つけやすいものの、数は少なく3匹だけ。加工の段階で取り除かれてしまうのかも。
アジのちりめんだけ集めたジャコがあったら美味しいのか気になるなあ。
5位 タツノオトシゴ
レアチリモン、ゲットだぜ!
水族館以外で見たことがなく、なんとしても見てみたい……と思っていたタツノオトシゴが1匹だけ混ざっていた!
肉眼だと絶対にタツノオトシゴだと分からないけど、虫眼鏡で拡大して特徴的なくちばしを見つけたときは感動した。
6位 カワハギの仲間
これも底のほうに沈んでいた。ちりめんの中にめちゃくちゃ小さい黄色い点を見つけて、そーっとつまんで虫眼鏡で見たら、プクッとした魚だったので嬉しい。
ニモに似てるから最初は熱帯魚かと思ったけど、カワハギの稚魚らしい。かわいい。
番外編 謎のチリモン
黒くて細くて背びれが2つある魚。調べてもなんなのか分からなかった……。
ひょっとしたら激レアチリモンの可能性もある。誰か正体が分かる人いたら教えてください。
・子供といっしょに探すと楽しそう
ちりめんじゃこ一袋でかなり楽しめるチリモン探し。ポケモンカードは品薄で高騰しているらしいが、ちりめんじゃこなら売っているところは多いし、遊んだあとも美味しく食べられる。
冬休みの休暇などで、子供たちにチリモン探しで遊んでもらうのも楽しそうだと思う。季節や地域によっても穫れる魚介の種類が違うので、生物の勉強にもなる。
ただし、ゲットしたチリモンに関して子どもたちから「これ何?」と質問攻めにあうこと間違い無しなので、覚悟しておこう……!
参考リンク:チリモン図鑑、ネイチャーおおさか
執筆:御花畑マリコ
Photo:RocketNews24.