毎月毎月何かしらの値上げが行われている。何から何まで値上がりしているので、低価格で勝負しているお店の経営状況が心配で仕方がない。たとえば、昨年2月に訪ねた格安回転寿司の「たいせい」はその当時、おすすめセットが税込500円だった。あれから1年半を経て、価格はどうなったのだろうか?

気になったので、立川のお店を訪ねたら昨年よりも高くなっていたんだけど……。それよりも、帰り際にお店の人の気配りで思わぬ “得” をしそうになってしまった

・平日ランチはいくらになった?

立川南口店にたどり着くと、店前の幟(のぼり)には、「平日限定ランチ580円(税込638円)」とある。さすがに500円でやり続けるのは厳しいだろう。むしろ税別とはいえ、580円でも安いくらいだ。

500円台で踏みとどまってところに、お店の心意気を感じる。




・渋さを感じる

入店して、まずは定番の厚焼き玉子(税別180円)を注文。これを食わずしてたいせいは語れない。


「厚焼き」と称するにふさわしい分厚さである。ふわふわで出汁の香りがよく、とってもあま~い! あえて「スイーツ」と表現したくなるほど、甘めに仕上がっている。寿司の箸休めにいいんですよねえ。


そしてコレが580円ランチセット。白身・光物・びんちょうマグロ・中トロ・上穴子の5貫に、海老出汁のみそ汁がついている。


シャリはやや小さ目で、軽くつまむのにちょうど良いサイズ。お酒を飲む人は、コレを肴にビールやホッピーが進みそうだ。


たいせいの寿司に派手さはない。むしろ地味な部類に入るかもしれない。だが、「渋さ」も感じるのである。回転寿司は飲食業界でも大手がしのぎを削る、激戦分野。新規参入の難しい「レッドオーシャン」と言える。

その中にあって、たいせいは淡々と自らの道を歩み、正直な商売をやっている。不器用だけど真面目、寿司をはじめとする料理からそんな印象が伝わってくるのである。


さすがにランチセットと厚焼き玉子で席を立つのは申し訳ないので、追加でシマアジ(税別350円)と中トロ(税別450円)と頼んだ。



以上4点(寿司9貫)を食べてお会計。合計1661円だった。



・お店の人の気配り

帰ろうとすると、レジに立った女性スタッフが「お客さん、ちょっと待って!」という。彼女はこのお店で1番元気に働くスタッフだった。店の雰囲気は彼女が作っているといっても過言ではなく、率先してお客さんをもてなす姿勢が見受けられた

彼女はレジで何やらカードのようなものを準備している。スタンプカードでも発行してくれるのかな? と思ったら……。


コレでした! 「シニア定期券(5%割引)」


「お客さん、次いらっしゃった時、これを使ってください。どこのお店でも使えるから」


ありがたい、大変嬉しい申し出だ。会計で5%引きになるんだから。「また来て欲しい」、「お得にお寿司を食べて欲しい」。そんな彼女の気遣いがうかがえる。とても気の利く人だと思った。


けど……


「60歳以上の方」


佐藤「あの、まだ60歳じゃないんです…!」

スタッフ「あら! ごめんなさい!! でも良ければ使ってくださいね」


と仰るので、ありがたく頂いてしまった。さすがに60歳のフリをして使うのは忍びない。60歳になったら使おう! ……と思ったけど、有効期限が2023年8月21日までなので、11年後には使えない、残念……。


年齢をかなり高く見積もられてしまったけど、決して悪い気はしなかった。だって、真面目に売り込みをしていらっしゃるし、サービス精神を垣間見ることができたから

家の近くにお店はないけど、またいずれお邪魔しますよ!


佐藤英典49歳! 一瞬「お得やん」と思ってしまってごめんなさい


・今回訪問した店舗の情報

店名 板前回転寿司たいせい 立川南口店
住所 東京都立川市錦町1-3-29 鴨志田ビル1F
時間 11:00~21:00 金・土曜11:00~21:30

参考リンク:板前回転寿司たいせい
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24
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