奄美大島で「おすすめの料理」を尋ねると、ほぼ100%の確率で『鶏飯(けいはん)』を教えられる。確かに鶏飯はうまいのだが、ホテルの朝食からコンビニ弁当に至るまで島全体が鶏飯だらけのため、だんだん「鶏飯以外でお願い」って気持ちになってくる。
そんなとき頼りになるのがタクシーの運転手さんだ。奄美には『屋仁川通り』という、私が出会った複数の島人が「鹿児島県内で2番目の繁華街だ」と証言したエリアがある。
どこ調べのランキングなのかは不明だが……ともかく夜の屋仁川通り周辺でタクシーをつかまえるのが得策なのだろう。そして聞くんだ、鶏飯以外のオススメの店を。
・日暮れを待ちわびて
屋仁川通りのネオンが灯り始めた夕方5時、私はシャバへ繰り出した。
とはいえ、あまり目的地から近い場所でタクシーを拾うと、高確率で「歩いて行きな」と言われてしまうのが本企画の難しいところである。
そのため私は、あえて屋仁川通りから離れた場所まで移動。年配の運転手さんは「お酒は何が好き? 食べられないものは?」などとテキパキ話を進め、きわめてスムーズに、ご自身が行きつけだというお店へ車を走らせてくれた。なんて話が早いんだ〜!
・常連が集う店
夜の屋仁川通りは島の規模の割に、ネオンの数が多い印象である。
ピンクのアーチから奥へ進むほどディープな雰囲気になってゆく。なんていうか、男の人は楽しいだろうな。
今回訪れたお店『焼鳥 壱番』は通りの中腹くらいにある。初見にはややハードルが高い面構えをしているが、まぁ奄美の人は旅行者に優しいから大丈夫だろう、たぶん。
わぁ〜〜〜、いかついお兄さんがいっぱい! お近づきになりた〜い!!
焼き鳥とオデンが名物らしい。両方注文しちゃおう。
・奄美といったら焼酎よね
さて、奄美大島といえば言わずと知れた黒糖焼酎。『じょうご』『れんと』などの銘柄が有名で、実は先ほどのタクシーでは「焼酎がおいしく飲める店」としてここを紹介されたのだった。
1杯550円、ボトルを入れても2700円とリーズナブル。黒糖焼酎って甘くて飲みやすい。
めちゃめちゃおいしそうな串盛り(1320円)が来た! シイタケとシシトウが焼けていないように見えるのが気がかりだったが……
素材と焼き方が良すぎて “焼けているのに見た目がほぼ生” なだけであった。おいしくておかわりした。
奄美のオデンは意外なことに味付けも具材も東京と大差ない。おいしい。
・予期せず満点の立ち回りに
たとえば沖縄と比較すると、奄美大島はかなり規模の小さい都市だ。このような地方を旅行するとき「ローカルな店で飲食したい」という憧れはあるのだが、情報と勇気がなくて立ち回りが難しい場面がままある。
しかし今回の場合、まずタクシーの運転手さんがオススメの店へ連れて行ってくれた。そして「あの運転手さんの紹介か」とお店の人に親切にされ、最終的に常連さんたちと世間話に花まで咲いたのである。見知らぬ土地で触れる人の温かみ……あまりにプライスレス。
これまで単に企画的な意味合いで実施してきた本シリーズだが、今回「一般の旅行者もマネしたほうがいいのでは」と強く感じた。やり方は簡単。旅先のタクシーでおいしいお店を聞き、その事実をお店の人に伝えるだけ! 勇気を出して試してみてほしい!
・今回ご紹介した店舗の詳細データ
店名 焼鳥 壱番
住所 鹿児島県奄美市名瀬入舟町17-1
執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.