先日開催された G7広島サミット2023。普段はセッ◯スとギャンブルと暴力と魚類と昆虫の話題しか流れない私のTwitterのタイムラインですら、この時ばかりはサミットの話題で埋め尽くされていた。
私も注目していたが、サミット会場を視察し、エアフォースワンも生で見た私がなんだかんだで最も気になったのは、各国のトップに提供された飲食物。全てG7公式HPで公開されており、予想通りに超高級なものから、低級庶民な私にもお馴染みなものまで幅広い。
普段なら絶対に無縁なヤツを試してぇ……とリストを眺めていたところ、ギリ破産しない価格ながら、この機を逃せば100% 口にせぬまま死ぬであろうものが目にとまった。それが「ゴッタス玉露(正式名称:ゴッタス デ 日本茶 エスペシアル 玉露)」なる、1本6480円もする日本茶だ。
・無理だった
「ゴッタス玉露」はG7で提供された日本茶の中で、恐らく2番目に高いのではないかと思われる。しかし確証はない。リストに掲載されている日本茶は一通りググったが、G7で提供されたものと同じ品の単品での販売価格がよく分からなかったものなどもあったからだ。
ちなみに、明確に「ゴッタス玉露」よりも高い値段の “ボトリングティー『川根茶』” は1本19440円らしく、予算の都合上不可能だった。たぶん金を持ってるYouTuberとかがやるだろう。
そんな感じで「ゴッタス玉露」というセレクトなのだが、まあこれが実のところ何番であれ、庶民からすればボトル1本6480円もする日本茶は、余裕で無縁な部類である点に間違い無かろう。
・開封の儀
それではいよいよ件のお茶を見ていこう。トップの画像が外箱。ちょっと良いお酒のごとく、円筒形の立派な箱に入って届いた。成分等の表記はこんな感じ。
銀色の文字が書かれたシールで封をされている。
開けると……
素晴らしい工作精度。ボトルがぴったり入る太さで、一切のガタつき無し。
同封されていたのは、解説等が記されたよくある冊子的なもの。
見ると、2016年の伊勢志摩サミットと、2019年の大阪サミットでも提供されたらしい。2023年のサミットについても、恐らく今後記載されるのではなかろうか。サミット三冠茶。もはや日本政府御用達と言っていいのでは。
そして、これがボトルだ……! 普段は使わない、ちょっと良い感じの布を背景に用いてみたぞ。まるでワインのようなボトルデザイン。初見で中身がお茶だと見抜くのは難しいクオリティ。
ぱっと見だと真っ黒に見えるこちらのボトル。光を当ててみると、ガラスそのものは青みがかった緑なことが発覚。
また、液体の中に、そこそこ大きなサイズの浮遊物が沢山あることも見てとれた。きっとお茶に関連する何かだろう。
・味は
それではいよいよ飲んでいこう。最高にお高いお茶なので、我が家で一番いいグラスを用意。
開けると……おっ? 最近コンビニでよく見る、アサヒの「颯」というお茶に似た傾向の、はるかに濃厚な香りがする。「颯」も香りにこだわったみたいな感じの商品だったと思うが、もしかしたら日本茶業界で「良い香り」と定義されているのは、こういうものなのかもしれない。
色はこんな感じ。ビジュアル的には「おーいお茶」等のよくある緑茶と変わらないと思う。
飲んでみると……
……
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なんだこれ……? ちょっとタイム。もう一杯試してみよう。
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……
_人人人人人人人人人人人_
> わっかんねぇ……!! <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄
・考察
ちょっとこれは、私の辞書になかった味ですね……。正直言って、マジでわかんねぇ。
例えば今ここに、昼間に外出していた際に買った飲みかけの「綾鷹」がある。これは恐らく全日本人がイメージする、漠然とした「緑茶味」に最も近いもののうちの一つだろう。あとは、それこそ「おーいお茶」とかもその類だと思う。
この手のお茶は、たとえ目隠しされていても飲んだ瞬間に「緑茶っすね」と断言できると思う。その際に、なぜ緑茶なのかと問われれば、恐らく平均的な味覚の人の答えとしては「そりゃあ、緑茶味だからっすよ」みたいな感じになると思う。
しかしこの「ゴッタス玉露」。飲むと、その漠然としていながらも、しかし正体を確信させる程度には間違いのない慣れ親しんだ「緑茶味」というものがしない。
岩塩みたいな塩味と苦味。そしてアサヒの「颯」に似た傾向の、しかしそのコントラストはもっと高めな香りがワーーーーっと来る。さらに、ちょっと甘い感じがして、最後には塩苦味が残るような。
その全てが混ざっておらず、単一の液体を口に含んでいながら、全てが個別かつパワフルに検知される。そして、私の知るお茶というのは、総じて液体感があるものだが、こいつは液体感が稀薄だ。
恐らく液体感をかき消すほどに味と香りが強いからではないか……と思うが、この表現に自信はない。私もよくわからない。未知の味覚体験すぎてちょっとキモさを感じるまである。
いや……あるいは、緑茶というのは本来こういうものなのかもしれない。つまり、今私の舌が経験したよくわからない状況こそが「緑茶味」の詳細なのではなかろうか?
通常のお茶だと、舌の解像度が6000万画素くらいある海原雄山のごとき人種にしか判別できないが、「ゴッタス玉露」は解像度が800万画素程度しかない低級庶民な私の舌でも、味の詳細を判別させられるほどの出力を持っている……という解釈の仕方だ。
・要はクセが強い
まとめると、とりあえずこれは私の理解を超えた液体だった。わけがわからんくらいクセが強く、少なくとも私のような低級庶民の味覚だと、瞬時に緑茶だとはジャッジできないタイプの味という感じ。
マジであらゆるコンビニのお茶とブラインドで飲み比べても、誰でも区別できるに違いないと思うくらい別物だ。明治とハーシーのチョコレートの違いを1とすれば、20くらい違う。
あまりに理解を超えており、良し悪しの判断すらおぼつかない。しかし、サミット三冠という経歴から、「ゴッタス玉露」が社会的にも最上級の緑茶の1つだと認められている品なのは確かだろう。そこからして、この味覚体験こそが “最上級の緑茶味” というものなのだ……と、そう記憶しておこうと思う。
参考リンク:G7広島サミット、ゴッタス玉露
執筆:江川資具
Photo:RocketNews24.