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【コア】喜界島という選択肢 / トロピカル欲求と知的好奇心の両方が満たされるナイスな島

2023年5月10日

奄美群島で最大の観光客数を誇る奄美大島。沖縄から飛行機で約30分のトロピカル感あふれる与論島。それぞれ違った良さがあるが、今回はもう1島紹介したい。

それが、奄美大島の東の沖合20㎞ほどのところにある喜界島。程よく南国感がありつつ、もっとマニアック感ある島がいいなぁ……という方にとって、魅力的な選択肢になるぞ!

・アクセス

喜界島へ行くには飛行機かフェリーの2択になるが、どちらにせよ鹿児島か奄美大島を経由することになる。私は今回、奄美群島広域事務組合の提供で、奄美大島から飛行機を利用して上陸。


いよいよコンパクトさが極まっている空港。


そんなに大きい島ではないが、島内の移動にはレンタカーが便利だ。


こちらは島を案内してくれた、ガイドの外内(とのち)さん。



・ビーチ

まず最初に連れて行ってくれたのが、空港の真横にある「スギラビーチ」。


元はサンゴだった岩に囲まれて、極小の湾のようになっている。ほぼプールみたいな感じだ。これらの岩にはサンゴやら太古の海洋生物の化石が含まれているそう。


ここは島内だとビッグなスポットだが、一帯にはもっと極小の湾のようになった場所が複数存在するらしい。

例えば、こんな感じで THE 田舎の夏休み みたいな道を行き


横にそれてアダンの茂みをかき分けて進む(喜界島にハブはいないので、茂みに踏み込んでも大丈夫だ)と……


こんな感じのスポットが出てくる。シュノーケリングとかしたら楽しそう。


・荒木・中里遊歩道

荒木・中里遊歩道」では天然記念物に指定されたサンゴ礁上植物群落を見ることができる。


明らかに本土のそれとは異なる植物の森。散策の途中、それなりの頻度でオオゴマダラを見かけた。ここより北にはいないチョウで、蛹がピッカピカの金色なことで有名だ。


途中に展望台のようになった場所があり、そこから奄美大島方面を眺めることができる。運が良ければ、その辺でクジラを見ることもできるという。


歩道脇に葉の表面がツルツルしたアザミが生えていた。植物のことはよくわからないので間違っている可能性が大いにあるが、こいつは奄美群島以南にしか生息しないシマアザミかもしれない。

・デカいガジュマル

続いて訪れたのは、デカいガジュマルのあるスポット。


なるほど、このデカさは圧倒的だ……! ここで非常に好印象だったのが、ガイドの外内さんが我々に、根本部分まで近寄ってほしくないと、しっかり伝えていた点


この手のデカい木などを前にすると、映えを意識してどうしても根本まで近寄って自撮りしたくなるのが今のSNS社会。

しかし、それは植物にとって有害なムーヴ。人が根本をうろつくと靴底で根を傷つけたり、地面が踏み固められることで根が締め付けられ、木が衰弱死する恐れがあるのだ。

屋久島の縄文杉も、同じ問題から根を保護する目的で展望デッキが作られ、観光客が近寄れないように整備された。本記事を読んで現地に訪れる方は、是非ともガジュマルに配慮したかたちで観賞してほしいところ。



テクニック的な面でも、ガジュマルのように上よりも横に広がる系の巨木は真下で自撮りしても映えない。木の下は暗くて顔が盛れず、特有の横に広がった枝は写せず、ただの幹と薄暗い顔が映っただけの写真になるからだ。

木全体が入る距離まで引いた場所から、真下に立つ姿を他撮りしてもらうスタイルもあるが、それはガジュマルに優しくないのでまあ。

ちなみに、私ならこんな感じで撮る。上の写真も根を傷つけぬよう少し離れた場所からローアングルで撮っている。20㎜というただの広角レンズを使ったので枝の端まで写せなかったが、iPhoneの超広角レンズならもっと広く写せるだろう。ちょうどいい感じになると思う。


・テーバルバンタ

そこからは「テーバルバンタ」という、世界的に見ても非常に珍しい地形を鑑賞。


写真に見える高く盛り上がった台地は、元は海の中からせりあがってきたサンゴ礁だ。およそ6万年前に海面より高くなったそう。

その下の、集落が写っている場所も元サンゴ礁で、7500年くらい前に海面から上がってきたとか。

ちなみに撮影地点の高台もサンゴ礁(というか島の地面はだいたいサンゴ礁)で、そこは8万年前。この島の地層は、より高い場所ほど古くなっているのだ。

綺麗に階段状になっているのは、地球規模での海面の高さの変化に応じ、その時々でサンゴ礁の浅くなっていた部分が海上に出て陸になった結果ではないかと考えられているもよう。

こういった稀有な特徴のため、喜界島は一般の観光客からよりもサンゴの研究者と地質学者に大人気らしい



・トカラ馬

喜界島ツアーのラストを飾ったのはトカラ馬のグラッシーさん。2016年生まれのメスだという。島内のグローリー牧場に住んでいる。


昨今で馬といえば競馬場にいるサラブレッドだと思うが、トカラ馬は日本在来馬。体格からして違う。めっちゃ小柄


喜界島のトカラ馬は一度滅びたが、2018年12月に他の場所から移してきたらしい。牧場の方は繁殖できるようオスの馬も欲しいそう。見るからに温厚で、好奇心旺盛なようだった。

特に大きいレンズを向けた時ほど強い関心を示していたので、もしかしたらレンズ表面に映り込む自分の姿が気になっていたのかもしれない。なかなかに賢そうだ。

という感じでお送りした喜界島。ドストレートなわかりやすい観光地というよりも、ブラタモリのような番組で扱われそうなスポットだと感じた。

島の成り立ちに関するバックグラウンドや、特有の生態系について学びつつ、博物館を楽しむような感覚で散策するみたいな。少しマニアックな雰囲気が漂うが、個人的にはかなり興味深かった。今回は紹介できなかったが、鍾乳洞などもあるもよう。

観光客数が他の島より控えめな点も、奄美大島や与論島などを超えるスローな雰囲気の形成に一役かっていそう。こういうのが好きな方や、他の島に飽きた方など、喜界島という選択肢はいかがでしょう。

参考リンク:喜界町
執筆&写真:江川資具

▼島内で見られるサンゴの石垣。普通は石を積み上げるが、ここはサンゴだらけなのでこうなった。隆起してできたサンゴの島という特殊な事情が、島民の文化にも影響を与えている。


▼「荒木・中里遊歩道」で海を眺めていると……


下に漂着物があるのに気づいた。けっこうデカいコンテナだ。


まさかの気仙沼魚市場。見た瞬間は意味不明だったが、もしかしたらこれは東日本大震災による漂流物なのかもしれない。実はこの2日後が震災12周年。その時は与論島にいたのだが、黙祷を呼びかける島内放送に「今でも津波で流されたものが漂着する」といった趣旨の文言が含まれていた。恐らく奄美群島全体でそうなのだろう。このコンテナがいつ漂着したのかは不明。


▼グローリー牧場。


牛もいる。


▼超真っすぐな道。


▼特徴的な風景が広がっている。


▼サンゴだらけ。


▼空港の土産物売り場。


まさかの埼玉ローカルなタカハシソースの看板。


▼イチャついてるリア充キッズの像……ではないとは思うが、なんかそれっぽい像。

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