日本で暮らしている限り、避けては通れないのが『サザエさん』である。原作は長谷川町子さんによる漫画で、アニメは1969年から続く超御長寿作品だ。
その『サザエさん』と福岡とが縁深いことは有名な話。しかし福岡市に「サザエさん通り」なるものまで存在することは、あまり知られていないかもしれない。
・はじめの舞台は博多だった
そもそも『サザエさん』は当初、福岡の地方新聞で連載されており、話の舞台も博多だったのだ。長谷川さんが福岡の海辺を歩きながら、キャラクターを創造したと言われている。
しかし、長谷川さんが東京へ引っ越すというのでいったん連載終了。再開した後は漫画内の設定も変わり、舞台も東京へ移ったという訳だ。
現在も東京都世田谷区には長谷川町子美術館があったり、銅像なんかも建っていたりする。そうしたこともあってサザエさんと言えばなんとなく東京、というイメージを抱く人も少なくないのではないか。
福岡市にサザエさん通りができたのは、2012年のこと。連載当初から、ずいぶん時間が経ってのことだ。地下鉄西新駅を出たところにある脇山口交差点から、シーサイドももち海浜公園入口までの道路約1.6キロの通りがそう名付けられている。
このあたりは埋め立て地で、昔は海だった。長谷川さんが見た景色とはまた違うだろうが、思いを馳(は)せつつ、歩いてみることにしよう。
・風景の一部になっているサザエさん一家
この日は天神から、地下鉄を使って西新駅へ向かった。改札を出ると柱にはサザエさんの絵が、また壁には第1巻の表紙と第1話をあしらった陶板がはめ込まれている。
サザエさん通りに出る階段を上っていくと「サザエさん通りへようこそ!」と書かれた、案内板が目に入った。熱烈大歓迎だ。
その案内板に誘われるようにして地上へ出て、通りをしばらく歩いてみる。事前に調べたりなどせずにうろついているので、なにが待ち受けているのかさっぱりわからない。
ノボリなどは立っているが、特に何もないのかもしれないなと思ったその時。西南大学前に、何かが見える。近寄ってみると銅像で、サザエさんと長谷川さんが立ち話をしている様子をあらわしていた。
学生たちが気にせず像の周りでおしゃべりをしていたりと、なんだか長谷川さんとサザエさんが街に溶け込んでいる風で、とても良い雰囲気。
そんな様子を眺めながら少し歩くと、今度は「サザエさん発案の地」と書かれた看板がお目見えだ。そのあたりは「磯野広場」という名が付いているそうで、サザエさん・カツオくん・ワカメちゃんの銅像ほか、ベンチが設置されている。
地元の子どもたちが像の側で遊んだり、信号を待つ間にベンチに座っている人もいる。なんというか、ものすごく地域に馴染んでいるのだ。
地元の人にとって、おそらく長谷川さんゆかりの地であることは周知の事実。当たり前のようにして、その風景を受け入れ生活しているところが、作品が生まれた地であることをひしひしと感じさせてくれた。
このほかにも通りの至るところに、サザエさん型看板が立っていたりと、ふらりと歩くだけで楽しい。通りの途中には福岡市博物館や福岡タワーもあるので、観光がてら足を運んでみるのも良いかもしれない。
なんとなくではあるが、サザエさんはこうした環境だからこそ生まれたのかもしれないなと『サザエさん』をより身近に感じられる空間だった。
参考リンク:サザエさん通り
執筆:K.Masami
Photo:Rocketnews24.
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▼歩くだけで楽しい福岡市のサザエさん通り
▼地下鉄西新駅の柱にもサザエさん
▼サザエさん発案の地を感じられる
▼至る所にサザエさんがいます
▼機会があれば歩いてみるべし
▼いろんな解説板も立っています
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