ロケットニュース24

はま寿司が「春の大切りデカねた祭り」で、また変わった魚を寿司にしてきた件 / たぶん全国チェーンの寿司屋ではレア

2023年3月17日

2023年3月16日から全国の はま寿司にて始まった「春の大切りデカねた祭り」。公式HPのフェアのページを見た感じ、はま寿司的にフェアの主力としているのは「大切り まぐろはらみ」や「山盛り 炙りとろサーモンつつみ」なのだと思います。

マグロのハラミが1皿1貫110円は魅力的ですが、対象メニューの総数は控えめ。記事1本分の文字数をひねり出すのは困難なので今回はスルー……と思いきや、よく見ると面白い魚が。この魚が全国チェーンの寿司屋でフェアの目玉の一端を担うのは珍しいのではないでしょうか。

・うろこまぐろ

それが、公式HPのフェアの写真の左下、主人公格な「大切り まぐろはらみ」の下にいる「大切り うろこまぐろレアステーキ」。税込み165円です。


恐らくほとんどのお客さんは「なんかマグロの1種なんでしょ?」みたいな認識で食べるのだと思います。しかしこれはマグロではありません

本鮪として人気のクロマグロや、はま寿司で1年中売られているミナミマグロといった、いわゆる「マグロ」たちはスズキ目サバ科のマグロ属に分類されています。

対して「うろこまぐろ」は、スズキ目サバ科ではありますが、Gasterochisma属。学名はGasterochisma melampusといい、日本ではウロコマグロの他、ガストロと呼ばれます。

全身を大きなうろこに覆われたビジュアルで、誰でも一瞬でいわゆる「マグロ」たちとは違うことがわかるでしょう。南半球に生息し、よくミナミマグロ漁で混獲されます。

誤解を恐れず失礼な言い方をすれば、ミナミマグロを本命とした漁においては「ハズれ」な魚。

寿司屋のような飲食店としても、ミナミマグロは喜んで仕入れるでしょうが、ガストロを指名買いする寿司屋はあまり無いのではないかと思います。

皆さんだって、例えば「大切り! ガストロ握り!!」などといって売られていても、そこに特別な魅力を感じたりはしないでしょう?


・意識せず食べている

では珍しいのかというと、そんなこともありません。それほど商業的な価値が高くないせいか、スーパーの安い弁当などに、誰も正体を気にしない魚のフライの原料として使われていたりします。

味も全く悪く無く、結構おいしいのです。そんなガストロが、はま寿司では今回、レアステーキ化されて登場。


それにしても、なぜフェアでガストロをそれなりに大きな扱いで持ち出してきたのか? ここからは完全に私(江川)の推測ですが、はま寿司は本当に1年中ミナミマグロを提供し続けています。

コストを抑えつつ安定した大量の供給を得るために、ミナミマグロ漁に従事する船と年間を通しての「一船買い」か、何か似たような、獲れた魚をまとめて買い上げるタイプの契約を結んでいるのではないでしょうか。

そこで、混獲で大量に入荷することになったガストロを有効活用するために、今回のフェアで寿司にしたんじゃないか……みたいな。

そういえば、前にもマグロやカジキ漁で混獲されるアカマンボウが「まんだい」としてフェアに出ていたことがありました。一度この辺の事情を はま寿司の中の人に聞いて、答え合わせをしてみたいところ。


・メインもはれるウマさ

今回はせっかくなので「みなみまぐろ中とろレアステーキ(165円)」とのツーショットをどうぞ。身の違いが分かりやすいように、切り身を裏返してあります。左がガストロで、右がミナミマグロです。


寿司屋はもちろん、刺身用のガストロがその辺のスーパーに出回ること自体そんなに無いと思うので、生(レアステーキ化で表面を炙られてはいますが)で食べる機会としてもけっこう貴重な気がします。この機にガストロを味わってみてはいかがでしょう。

参考リンク:はま寿司
執筆:江川資具
Photo:RocketNews24.

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上の写真の最初に頼んだ「大切りうろこまぐろレアステーキ」は、ミスで1皿に2貫乗っていた。もう1皿注文し直したところ、1皿1貫で提供された。上の本文中ではそちらの写真を使用している。


▼地中海産大切り本鮪大とろ 319円。


▼大切りまぐろはらみ 110円。


ゆず塩炙りも。今回のフェアのメインは間違いなくこちら。


▼山盛り貝のタルタル和えつつみ 110円。


▼山盛り炙りとろサーモンつつみ 165円。


▼山盛り赤えびつつみ 165円。

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