どうやら2023年は「とじないカツ丼」が来る……らしい。情報によると「ふにゃっとしてしまうジレンマを解決したカツ丼」とのことで、近年アンダーグラウンドでその数を増やしている……と、ロケットニュース24に書いてあった。
執筆者は中澤星児で、最近では口を開けば「とじないカツ丼」の話ばかりしている。というか、その「とじないカツ丼」はそんなにウマいんけ? ここは「とじないカツ丼」に何の愛着も無い私、P.K.サンジュンが、ガチで審査してみようではないか。
・カツ丼が好きじゃない
中澤とも話したことがあるのだが、そもそも私はカツ丼が好きではない。とんかつや親子丼はむしろ好きだが「カツ丼」となると一気に興味が無くなってしまう。45年の人生で10回はカツ丼を食べていないハズだ。
理由はズバリ、とんかつの良さを殺しているとしか思えないから。揚げたてサクサクで仕上がった状態のとんかつを、わざわざビシャビシャにする理由は何なのだろう? 揚げ油と出汁が混ざった独特の風味も、率直に美味しいとは思えない。
さらに言えば、とんかつがイマイチでも「カツ丼」になった瞬間、急にエラそうになるのは何なのか? ソロで戦う実力は無いくせに「ワシや。カツ丼や。ありがたいやろ?」みたいな空気を出してくるのは本当に解せない。別にマズいとは思わないが「過大評価されすぎている」とは言わせていただこう(※ あくまで個人の見解です)。
・容赦はしない
さて、そんな価値観を持つ私だから「とじないカツ丼」に遠慮する気持ちは一切ない。事務所内でキャッキャと「とじないカツ丼」の話ばかりしている中澤やGO羽鳥には申し訳ないが、ここはガチンコで「とじないカツ丼」をジャッジするつもりだ。
で、中澤に「オススメの店は?」と聞いたところ、教えてもらったのが水天宮の「カツ丼は人を幸せにする」である。店名から そこはかとなく怪しげな気配がすることはさておき、ならばご自慢のカツ丼で幸せにしてもらおうではないか。
で、注文したのはスタンダードな「とじないカツ丼」で、価格は1100円。昼どきで数名の行列が出来ていたが、さほど待つことなく入店できた。そしてやってきたのが……
ほう……
これが「とじないカツ丼」か。
確かにとんかつは閉じられておらず「タマゴの布団の上に寝そべっている」といった感じだろうか? そして最初の一口目でカツから食べた瞬間、自然と答えは出た。「確かにとじないカツ丼はくるかもしれない」と──。
・ストロングスタイル
理由はシンプルに「とんかつ自体が美味しかったから」に尽きる。私の知るカツ丼のように合わせ技での誤魔化しは一切なく、単体で食べてもかなり美味しいとんかつだ。いわば “ストロングスタイルのカツ丼” と申し上げていいだろう。
さらに言えば、甘めに味付けされたタマゴがカツを邪魔するどころか、一緒に食べても美味しいパートナーとして機能していた。もちろんカツの食感はサクサクで、揚げ油と出汁が混ざった独特の風味も一切なし。私が考えるカツ丼の弱点はどこにも見当たらない。
特に「とんかつ自体が美味しくないと成り立たない潔さ」には、強い感動を覚えた次第だ。あくまで予測の域を出ないが、これからの展開次第では「とじないカツ丼をやらない店は自信が無いのでは?」とさえ思われてしまうのではなかろうか? それほど「とじないカツ丼」はストロングスタイルな丼であった。
・原点回帰
そう思うと、従来のカツ丼こそ “邪道” であり、とじないカツ丼こそ “王道” なのかもしれない。遠くない将来、とんかつに自信がある店はこぞって「とじないカツ丼」を始める……のかなぁ?
とにもかくにも「とじないカツ丼」を個人的には大変気に入った。中澤の言う「ジレンマを解決したカツ丼」とはその通りである。私のように従来のカツ丼を評価していない人にも「とじないカツ丼」は刺さる可能性大と申し上げておこう。
執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.