ロケットニュース24

なぜ飲み屋にリングが? 戦えるバー『地下闘技場』のマスターに聞いた「歌舞伎町を選んだ理由」が深い

2023年1月8日

眠らない街・新宿歌舞伎町。ケンカ、売春、ぼったくり、東横と、日本有数の歓楽街には物騒なニュースが絶えない。そんな歌舞伎町の外れの怪しい雑居ビルの地下に『地下闘技場』というバーがある。いや、刃牙(バキ)かよ!

だがしかし、刃牙(バキ)なのは名前だけではない。なんとここ、入口入ってすぐガチのリングが設置されているのである。ロープは鎖の物々しさ。やっぱり歌舞伎町の住人は身体が闘争を求めているのか……?

・店の奥には……

と思いきや、リングを横目に店を奥まで進むと、プロレスグッズが飾られていた。ああ、良かった。そういうことですか。つまり、プロレス好きが高じてのものなわけだ。

編集長GO羽鳥やP.K.サンジュン記者など、プロレス好きを多く擁するロケットニュース24。プロレスファンと分かれば仲間意識のようなものを感じる。「ワンダ 週刊プロレス缶」を集める人に悪い人はいない。


っていうか、撮影厳禁と書かれ飾られているこのマスク……


平田がストロング・マシーンになる前につけていたものでは

そこでマスターの佐々木愼(ささきしん)さんに話を伺ったところ、「当時いくつか用意されていたスペアのうちの1つ」なのだとか。実際着用したものではないそうだが、使われる予定だったガチものである。ファンにとっては歴史的なブツと言えるのではないだろうか。

通常、撮影厳禁だが、特別にモザイク処理で画像掲載の許可をいただいたので、どんなものか見たい方はお店に足を運んでいただけると幸いである。

・リングを使う人いるの?

さて置き、このリングって実際使用するものなのだろうか? 明らかにバーには必要のないもののように感じるが、むしろ、どういう時に使うのこれ

佐々木愼さん「一つは、プロレス興行ですね。アングラのプロレス団体のイベントとかです。あとは、SMイベントで女王様に来てもらって、客のM男さんたちが集まったりとか。

基本的にはそういったアングライベントが多いですが、お客さんとか個人での利用でも大丈夫です。客で来たホストの社長が辞めようとするホストと、ボクシングで戦ったこともありますよ。社長が勝ったら、辞めるのを先延ばしにするというルールで。ちょうどお客さんにボクサーがいたのでレフェリーをしてもらって」


──辞めるなら俺を倒してから辞めろという感じですか


佐々木愼さん「そうですね。結局、その試合は社長が勝って、でも部下にも先の人生があるので、1カ月だけ延長という形で丸く収まりました」

──社長よっぽど引き止めたかったんだなあ。グローブもあるし、ボクシングルールでレフェリーありなので、ストリートファイトよりもあと腐れがなさそうな気がした。



・なぜ歌舞伎町?

とは言え、やっぱり最後の使い方には歌舞伎町を感じる。コンプライアンスが息してなさそうな感じが。私なら、そんな歌舞伎町で商売したいと思えないのだが、店を出すにあたってなぜ歌舞伎町を選んだのか?

佐々木愼さん「実は僕、元役者でして。劇団に所属したり、漫才コンビを組んだりしながら、ずっと歌舞伎町界隈で活動していたんですね。歌舞伎町って、外から見ると、東横とかホストとか物騒なイメージが強いんですが、中で活動していると、実はアングラなものの宝庫なんです

それで飲み屋をやる時に、なんか他と違う面白いことがやりたいと思って、リングを置こうとなった時に、そのアングラ感は歌舞伎町が1番ウケるんじゃないかと思い当たりました」

──とのこと。さすが、ずっと活動してきただけあり、住所が歌舞伎町というだけで「怖い」と感じた私からしたら、何段も掘り下げられた歌舞伎町観であった。

・知らなかった世界の扉

確かに、言われてみると、この店は歌舞伎町と言っても2丁目で区役所通りより東側の東新宿駅の近くなので、危ない雰囲気のあるゴジラ前の辺りからは離れている。夜の雰囲気もどちらかと言うとゴールデン街みたいなしっぽりした静けさだ。

雑居ビルの薄暗い階段を降りるだけでも不安になるのに、その先のドアに書かれた『地下闘技場』の文字が謎すぎるこの店。しかし、その実態は、歌舞伎町の地下に広がるもう1つの世界を教えてくれたのであった。

・今回紹介した店舗の情報

店名 BAR & FIGHT 地下闘技場
住所 新宿区歌舞伎町2-14-12 光凜ビルB1F
営業時間 火曜~木曜19:00~2:00、金曜・土曜19:00~5:00(お客さまの状況で閉めることもあります)、日曜・祝日19:00~24:00、リング・店内貸切24H OK
定休日 月曜日・第5日曜日

執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
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▼メニューはこういう感じ

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