ヒーローモノといえば、「マーベル」よりもどちらかといえば「DC」が好きな佐藤です。現状はヒーロー作品はDCよりもマーベルの方がメジャーな印象が強い。DC好きとしては少しさみしいのだが、2022年12月2日公開の映画『ブラックアダム』の先行試写会に参加して、私は確信した!
これからDCの時代が来るかもしれない!!
ひと足先に鑑賞したので、作品の気になる点を踏まえた率直な感想と、DCのこの作品を見ておくと割と楽しめるかも? ってのを紹介させて頂こう。
・序盤から終盤への心情の変化
今作についてはすでにP.K.サンジュンが「DC始まったかも!」と紹介している。私も彼の考えに異論はまったくなく、激しく同意する。まさしくこれは始まりの作品といって良い仕上がりだ。
しかしながらいくつか気になる点があった。作品を序盤・中盤・終盤に分け、感想を顔面で表現しつつ、物語に触れない形で説明させて頂こう。
【序盤】え? なんで?
序盤で「え? なんで?」となったのは、物語や映像についてではなく音楽が引っかかったから。冒頭のシーンでスマッシング・パンプキンズ(以下:スマパン)の『Bullet With Butterfly Wings』が流れる。スマパンは90年代のオルタネイティブバンドで、私も20代前半の頃によく聞いていた。
「懐かしい!」と思うと反面「なんでこの曲なの?」と疑問を感じてしまったのだ。何か意図的にこの曲を使ったという感じが全然なくて、懐メロ流しておこうみたいな安易な意図を感じて、映画を見る熱が一気に冷めてしまった。同じような感じでローリングストーンズの『黒く塗れ!』が唐突に流れ出して、そこで完全に作品に対するワクワクは消え去った。
「ああ、こりゃダメかも……」と、思いながら眠気を感じつつ、ただクリーンを見ていた……。選曲適当だろ、コレ。
【中盤】ほほ~
音楽は気になったけど映像は全般的に素晴らしく、とくに戦闘シーンは圧巻。ドウェイン・ジョンソンが演じるアンチヒーローのブラックアダムを迎え撃つのは、4人のヒーローで構成された「JSA(ジャスティス・ソサエティ・オブ・アメリカ)」だ。
スピード感のある展開と美しい映像は圧倒的! 何よりブラックアダムの立ち回りは壮絶で「破壊神」と呼ぶにふさわしい。序盤で失ったワクワク感がフツフツと蘇ってくるのを感じた。
【終盤】ドウェイン・ジョンソーーーーン!!
そして終盤、終わり30分で「そう来る!?」という驚きと共に、クライマックスで「ドウェイン・ジョンソーーーーン!!」と叫びたくなる自分がいた。
いやはやビックリだ。序盤は「スーン……」とした顔でスクリーンを見ていた自分が、最後に「イエーイ!ってなってる。こんな経験あまりない、というか初めてかも。普通は最初に心が折れると終わりまで持ち直すことはないのに。
・これは見ておいても良いかも?
今作は予備知識なしでも十分楽しめる。何人もヒーローは出てくるものの「DCエクステンデッド・ユニバース」(DC作品の世界観を共有する:DCEU)を感じさせる要素は非常に少ないので、予習がなくても置いてけぼりになる心配はない。
それでも少しだけ知っておくと、作品をより楽しめるかもしれないので、参考程度に見ておいた方が良い映画・ドラマを紹介しておこう。
『シャザム!』
2019年公開、14歳の少年があることをきっかけに「シャザム」というヒーローに変身する能力を持つ物語。シャザムはDCコミックス上でブラックアダムのライバルと位置付けられている。今作ではその関係に触れられることはないが、見ておくと良いかも。暗い物語の多いDC映画において、割とポップで明るく楽しい作品だ。
『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』
2021年8月公開、ジェームズ・ガン氏がDCで初めて監督を務めた作品。この作品に登場する人物がDCユニバース全般に関わっているので、見ておくと良い。とはいえ必須ではない。しかしながら、この作品はガン監督の才能が爆発しているので、ブラックアダムに関係なくおすすめしたい。
なお、2016年に同じタイトルの『スーサイド・スクワッド』が公開されているのだが、豪華なキャスティングにも関わらず「駄作中の駄作」として語られるほどの駄作なので、ブラックアダムに関係なくこちらは見なくても良いと思う……。
『レジェンド・オブ・トゥモロー』
2016年から米テレビネットワーク「The CW」で放送されているシリーズドラマ。現在(2022年)までにシーズン7まで続いている。
このドラマに、今作JSAのホークマン(カーター・ホール)とアトム・スマッシャー(アル・ロススタイン)が登場している。今作とドラマに設定や内容を共有するものはないが、ホークマンを知るうえで参考になるかも。
『ピースメイカー』
2021年1月、米ストリーミングサービス「HBOMax」で配信されたドラマ作品。このドラマは先に挙げたザ・スーサイド・スクワッドのスピンオフ作品であり、監督はジェームズ・ガン氏が務めている。したがって2作に共通の登場人物も何人かいる。
ブラックアダムとは大きく関係ないものの見ても損はないかも。というか、このドラマの音楽の使い方は最高! ブラックアダムもガン氏の音楽の使い方を参考にしてほしかったくらいである。近年見たドラマ作品のなかで「もっとも面白かった」という感想を付け加えておこう。
・今後のDCは本当にヤバいかも!?
ブラックアダムの登場で、本当に何かが始まる予感がしている。この作品だけで、キャラクターのポテンシャルを引き出し切っているとは到底思えない。正義でも悪でもない存在のブラックアダムが今後どう立ちまわっていくのか、他のDCヒーローとどんな関係を築いていくか、大いに気になるところだ。
実はこのほかにも、DCの未来が明るいのでは? と思わせる事実がある。ワーナー・ブラザーズ・ディスカバリーのCEOデビッド・ザスラフ氏は今後10年をかけてDC映画を再構築することを発表しており、その起点としてブラックアダムは十分に機能すると考えられる。
さらに同社は新設される「DCスタジオ」の共同会長兼CEOにジェームズ・ガン氏が就任することを発表している。マーベルを卒業したガン氏がDCで本格始動すれば、次々と名作を世に送り出すに違いない。
今後のDCはのホントにスゴイことになりそうだぞ!
最後に映画ブラックアダムを一言で表現させてくれ! これが1番言いたかったんだ!! この作品は「ドウェイン・ジョンソン祭り」です。彼がスクリーンで大暴れする姿を観たい人はぜひご覧あれ! きっとあのシーンで私と同じく「ドウェイン・ジョンソーーーーン!!」って絶叫するはずだ。
参考リンク:ブラックアダム公式サイト、シネマトゥデイ
執筆:佐藤英典
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