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【韓国の今】反日不買運動ならぬ「フランチャイズチキン不買運動」について / 韓国チキン業界に嵐が吹き荒れている

2022年9月8日

みんな元気セヨ! 「フライドチキン」、世界で愛されているこの料理はもちろん韓国でも大人気だ。韓国でチキンは基本的に出前で食べるものであり、スポーツの試合などある日はチキンを出前で取ってビールを飲みながら観戦するのが、韓国人の日常である。

そんなチキン大好き韓国では、今ネットを中心に「フランチャイズチキン不買運動」が始まっている。チキン大好きなんじゃないの? なんで不買運動? と思うかもしれないが、それにはその凄まじい愛が関係している。一連の流れをまとめてみた。


・韓国で鶏肉は格別な存在

韓国で鶏肉はただのタンパク質源、それ以上の意味がある。昔から暑い夏を元気に乗り越えるために鶏と高麗人参などを煮込んだ「サムゲタン」を食べてきたわけだし、フライドチキンが普及する前には給料日に「トンダック」という鶏一羽の丸揚げを食べるのが一般家庭の姿だったらしい。


1980年代にヤンニョムチキンを筆頭にチキンが普及してからは、年齢問わず誰もが好きな食べ物となり、韓国では「三大ヌニム」(韓国のネットで神様と等しい扱いをされてる存在たち。他には芸能人のユ・ジェソクと元フィギュアスケート選手のキム・ヨナがいる)の一角として「チヌニム」と呼ばれている。

他は実在人物なのに1つだけ食べ物。どれだけ愛されているのかよくわかる。


・チキンが愛されている理由

鶏肉がそもそも食べ慣れているってこともあるが、チキンがここまで愛されているのにはもう1つ大きな理由がある。それは「値段」だ。10年前まで韓国のフライドチキンは出前代込みで一羽15000ウォン(1500円程度)くらいだった。手軽くおいしいお肉を食べられるってことで、日常でのプチ贅沢として今まで活躍してきたのだ。


・インフレーションと人件費の高騰の影響で

そんないつまでも庶民の仲間でいてくれると思ってたチキンだったが、2020年になって相場が20000ウォンを超えはじめ、2022年、チキン代と出前代はさらに上がり、中には25000ウォン(2500円程度)を超すフランチャイズチキンも出てきた。


日本で1000円を超えるラーメンには抵抗感があるのと同じく、韓国人はチキンが20000ウォンを超すことに非常に強い抵抗感を持っており、不満が高まっていく中、日本にも進出している韓国の有名フランチャイズチキン会社の社長の一言がトリガーとなってしまった。その一言とは……


「チキンは一羽30000ウォンが妥当な値段である!!!!!!!!!!!」


そもそも今の値段でも不満が高まっていたが、火に油を注ぐような発言をしたせいでついにネット民を爆発させてしまった。そうして始まったのが……



フランチャイズチキン不買運動


この不買運動、ただ単に高すぎる!!!!!!! ってことに怒っているわけではなくて、丸鶏の原価は10年前に比べて20%くらいしか上がってないのに、チキンの値段はもう少しで倍近くまで上がってしまったのは油代や人件費を考えてもおかしい、ということだ。


そしてフランチャイズの契約上、支店は本社が販売している専用の丸鶏や油を購入して調理することになっているらしい。本社がチキンを値上げしても、本社が支店に納品する鶏や油の値段もさらに値上げされるから、支店の利益はそんなに変わらず、負担がさらに重くなるだけという。


この不買運動の目的は、支店長たちの負担を減らし、妥当な価格設定に戻すってことだ。チキンへの愛が凄まじいからこそ、いつまでも庶民の仲間でいてほしいからこそ、不買運動が始まったのだ。そんなフランチャイズに対する世論が悪化する中、不買運動にさらに油を注ぐような新たなるチキンが現れた。


・大手スーパーのチキン

韓国の大手スーパー、「Homeplus」から『ダンダンチキン』が発売された。なんとお値段一羽6990ウォン(700円程度)。30000ウォン発言をした会社のチキンの値段が20000ウォン(配達料別途)というのを考えると、破格である。

最初は一日30羽限定で発売されたこのチキンは、不買運動との相乗効果で今では一日100羽限定となり、並ばないと買えないレベルとなってしまった。実際に並んでみたところ……


チキン販売開始の前の行列がこちら。この店舗では1日5回、1人に1羽限定で、決まった時間に20羽ずつ販売されるらしい。1時間前から並び始めたにもかかわらず、わずか15分で20人が並び、売れ切れ確定となった。


・6990ウォンのチキン

そして、こちらが実際に購入した大手スーパーのチキン。700円くらいでこのボリュームはなかなかすごい。味は少し薄目だったが、普通においしいチキンだった。


鶏の大きさはフランチャイズより少し小さいと聞いたので、念のためドラムと呼ばれる部分の重さを量ってみると67グラムだった。


・20000ウォンのチキン


それに対して、こちらがフランチャイズのチキン。チキン代が20000ウォンで、別途の出前代を合わせて24000ウォン(2400円程度)だった。スーパーのチキンの3.5倍くらいのお値段だ。

味は揚げたてなのでめちゃくちゃおいしいが、値段の差の価値があるかというと微妙なところだった。


個体差や衣の厚さの違いもあると思うが、フランチャイズチキンは一回り大きい74グラム。他の部位は切り方が違ったので比較は難しかったが、全体的に大きかった。

食べ比べてみた結果、フランチャイズチキンのほうがおいしいが、大手スーパーのチキンでも満足できるレベルだと思った。今は1時間ほど並ばないと買えないが、その問題が解決されたらフランチャイズチキンを頼む理由がなくなるかも。


・まだ不買運動の効果は微々だが

実際のところ、不買運動というもののまだフランチャイズチキンの売り上げにそこまで影響はないらしい。だが、Homeplusを筆頭にいろんな大手スーパーが次々と格安チキンを発売し始めている。しかも店舗によっては、時間帯などの条件次第で配達もできるようになってしまった。


大手スーパーから格安チキンが販売されたのは12年前にもあった。だがその時はフランチャイズのイメージが全く違って、大手スーパーがチキン業界にも手を出し、街のチキン屋さんを潰そうとしていると言われていた。その結果、悪すぎた世論のためその大手スーパーのチキンは一瞬で販売中止となった。


でも今回は全く違う。消費者は高騰したチキンの値段に相当不満を持っているのだ。それをフランチャイズも意識しはじめたのか、私のいる地域ではいろんなブランドから割引イベントが行われている。鶏肉大好き韓国人だけあって、不買運動と大手スーパーチキンが及ぼすチキン業界の変化に要注目だ。それでは今回も読んでくれてカムサハムニダ!

参考リンク:フランチャイズチキン不買運動のまとめ(韓国語)、Homeplus公式サイト(韓国語)
執筆:すんぴょんす
Photo:RocketNews24.

▼ここ数年で韓国では一家に一台レベルとなったエアーフライヤー(ノンフライヤー)


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