日本中が注目していると言っても過言ではないだろう。2022年5月13日、いよいよ『シン・ウルトラマン』が封切られるのだ。
一体全体、どんなウルトラマン世界が我々を待ち受けているのか。おのおの予習に余念がないこととは思うが、記者なりにポイントになりそうな箇所をまとめてみた。ではいくぞ! シュワッチ!!
・キャッチコピーが意味するものとは
「そんなに人間が好きになったのか、ウルトラマン。」
ご存じ『シン・ウルトラマン』の、キャッチコピーのひとつである。ピンと来た人は少なくないだろう。このセリフはウルトラマン(1966年)第39話「さらばウルトラマン」から来ている。
衝撃の最終回として、今なお語り継がれるエピソードだ。該当シーンを、以下にざっと書いておこう。
ウルトラマンは自らの過失により死なせてしまった科学特捜隊のハヤタ隊員と一つになることで、これまで彼の命をつないできた。
そして最後、ウルトラマンは瀕死の危機にさらされる。無敵と思われたウルトラマンが、まさかの敗北。人間たちはウルトラマンに頼ることなく、敵をやっつけることとなる。
そうしてボロボロになり果てたウルトラマンのもとにやって来たのは、宇宙警備隊員ゾフィー。救いの手を差し伸べ、光の国へと帰還するよう促す。
しかし自身が地球を去ることは、ハヤタ隊員の死を意味すると説明。それ故に帰還を拒むウルトラマンに対しゾフィーが放った言葉が、こうだ。
ウルトラマン。そんなに地球人が好きになったのか。
根負けしたゾフィーは持ってきた二つの命のうち、ひとつをハヤタ隊員に授ける。ウルトラマンとハヤタはそれぞれ復活し、ウルトラマンは光の国へと帰還するのだ。
『シン・ウルトラマン』のキャッチコピーは、何を意図しているのだろう。仮にウルトラマンのエピソードと被ることがあるとすれば、シンにおいてもウルトラマンは負けてしまうのか。
『シン』は『ウルトラマン』のリブート作品であるが、どの程度まで過去のウルトラマン要素が反映されているか、いないのか。非常に気になる点である。
・登場する怪獣(禍威獣)たちは
またシン・ウルトラマンは、なにと戦うのだろうか。本作では禍威獣と表記される巨大不明生物たちであるが、それらは日本にしか出現しないという。
初期に発表された予告を見る限り、透明怪獣・ネロンガとウラン怪獣・ガボラの出現は確実だ。ともにウルトラマン(第3話「科特隊出撃せよ」、第9話「電光石火作戦」)に登場する古参の怪獣たちである。
おそらく作中では、ほかにも多数の禍威獣が登場するはず。敢えてこの2体がはじめに公表されたことに、何かしらの意味があるかもしれない。
加えて後からアップされた予告には、凶悪宇宙人・ザラブ星人や、悪質宇宙人・メフィラス星人の姿も見える。ザラブ星人においては、にせウルトラマン(ウルトラマン第18話「遊星から来た兄弟」)に変身する背景もある。
もしかすると我々が予告で見ているウルトラマンは、にせウルトラマンである可能性も……などと妄想が止まらない。
シンに登場しそうな怪獣等に関してその特徴を知りたい場合は、過去作を見返すと良いだろう。お節介ながら “TSUBURAYA IMAGINATION – ウルトラサブスク” に入会すると、TV放送作品が見放題で楽しめるほか、さまざまな特典があって便利だぞ。
・カラータイマーの行方
そして早い段階から注目を浴びていたが『シン・ウルトラマン』のウルトラマンには、カラータイマーが付いていない。
企画脚本の庵野秀明さんが公式サイトにもコメントしている通りで、シン・ウルトラマンのデザインコンセプトは、成田亨さんが描いたウルトラマンの油彩画『真実と正義と美の化身』。
成田亨さんと言えば今さら説明するまでもなく、ウルトラマンや彼と戦った怪獣達のデザインなどを手掛けた、ウルトラ世界になくてはならない存在だ。
そして成田さんの生み出した、あの美しい姿を何とか映像にできないか、というところから庵野さんたちはスタートしているという。『真実と正義と美の化身』には、カラータイマーが描かれていない。
この絵に限ったことでなく、成田さんがウルトラマンにカラータイマーを付けることを望んでいなかったというのは有名な話だ。シンのウルトラマンは代わりにビームランプがついているようにも見えないが、戦いに影響はないのだろうか。
とにもかくにも、あのシュッとしたウルトラマンのビジュアルは成田さんの意志を組んでのものではないか。映画館にてシンならではのウルトラマンに、目が釘付けになる未来が見える。
そのほかにも、気になることは山積みだ。例えば『ウルトラマン』で普段はハヤタとしか呼ばれない彼のフルネームは、ハヤタ・シン。そう……シンなのだ。これは偶然か、それとも必然か。
また『シン・エヴァンゲリオン』や『シン・ゴジラ』そして公開が予定されている『シン・仮面ライダー』とのつながりは。予告映像に写っていたクロード・レヴィ=ストロース著『野生の思考』が持つ意味とは。挙げはじめればキリがないので、このあたりでやめておくことにする。
とにもかくにも、その全貌が気になって仕方がない『シン・ウルトラマン』。幾度となく、映画館に足を運ぶことになるのは確実だ。諸君らの健闘を祈る!
参考リンク:シン・ウルトラマン
執筆:K.Masami
Photo:Rocketnews24.